元麻布春男の週刊PCホットライン

SuperDiskの内蔵をやめた理由


●ついにSuperDiskの内蔵をやめる

 前回、845GLチップセットと845Gチップセットの比較を行なってみたが、現行の価格を前提にする限り、845GLは個人ユーザー(秋葉原でマザーボードを1枚単位で購入するユーザー)にはあまり魅力がない、という結論になってしまった。この結論は今も変わらないのだが、845GLとPC133メモリの組合せだって、使えないハズはない。何より筆者の手元には、D845GLLYが1枚存在している。何とかこのマザーボードを生かしてやりたいところだ。

 というわけで、とりあえずD845GLLYを手元にあったMicroATX専用のミニタワーケースに収めてみた。用いたのはソルダムのMT-PRO700F。Bettyの鉄(スチール版)というヤツで、展示品現品限りで特売されていたのを買っておいたものだ。MicroATX専用ケースと、ATX用のミニタワーケースのどちらでも良いのだが、MicroATX専用ケースの方が若干小さい(特に奥行きが)傾向はあるように思う。

 このマシンを組むにあたって筆者が考えたのは、ついに内蔵SuperDiskドライブを外す時がきた、ということだ。このコラムを読んでいる人なら、筆者がSuperDiskドライブ(旧称LS-120)の愛用者であることをご存知だと思う。使用頻度はそれほど高くないのだが、筆者の場合たとえばデバイスのファームウェアやBIOSのアップデート、実験マシンでのシステムパーティション操作など、DOSでチャッチャとやりたいことがまだ残っている。こうした各種作業を行なうツールを1枚のリムーバブルメディアに書きこんでおき、そのメディアからシステムを起動できる、というのは結構便利なもので、いまだに手離せない。1枚で120MBの容量は筆者にとって十分だし、必要な際は通常の(1.44MBタイプの)FDの読み書きも速いし、というわけだ。一応、240MBのメディアやドライブも実験用に持っているのだが、ウチの主流は相変わらず2倍速タイプの120MBドライブである。

 にもかかわらず、内蔵SuperDiskをやめる決心をしたのは、この845E/845G/845GLの世代からIntel純正マザーボードで、USBの外付けSuperDiskドライブからのシステム起動が可能になったからだ。1つ前の850Eのマザーボード(D845EMV2等)でも、USB Bootのオプションが提供されるようになったのだが、筆者がテストした時点のBIOSではUSB外付けSuperDiskからのシステム起動はできなかった。それが、845E/845G/845GLの世代からは、可能になったのである(ハードウェア的なものが理由とは思えないので、BIOSの更新でD845EMV2以前のマザーボードでも可能になるかもしれない)。少なくとも、Panasonicブランドで市販されているLK-RF240Uと、そのOEM品であるImationブランドのSDD-240USBSL(本体表示はLKM-FK73-D)の2つで、システム起動可能なことを確認した。



●新宿西口戦争のおかげで安く購入

ようやく購入できたSDD-240USBSL。普通のUSB FDDが6,000円台後半で売られていることを考えても、SDD-240USBSLの4,980円は安いと思う。これが撤退等の兆しでなければよいのだが
 実は、このSDD-240USBSLは、新宿西口量販店戦争のおかげで、安価に買えたものである。ことの始まりは、5月23日に正式オープンしたBic P Kanのオープニング記念特価品の目玉として、「SDD-240USBSLが50台限定で4,980円」というのをチラシで見つけたことだ。通常の売値が14,000円前後であることを考えると、約1万円引き。絶対金額でも安いが、値引率的にも申し分ない。ただ、5,000円弱のもののために、徹夜で並ぶ気など毛頭なかったし、世の中にUSB外付けのSuperDiskドライブを欲しい人がそれほどいるとも思わなかった。

 そこでオープンの日、ある記者説明会の帰り道、午後から立ち寄ったところ、Bic P Kanは大変な混雑。さすがに入れないことはなかったが、店内も周辺も大変な人出だった(朝は都庁近くまで人が並んだというが、それは見ていない)。しかし、この時点でも筆者は、初日のうちなら買えるでしょ、くらいのつもりでいたのだからお気楽なものである。筆者はこの時点で、手元にあったPanasonicブランドのLK-RF240Uで、最新のIntel純正マザーボードがシステム起動可能なことを確認していた。それを知っていて買いに行ったわけだが、この事実が売れ行きに影響したわけではないだろう。

 しかし売り場に着いて、かなり念入りに探したつもりなのだが、ついにSuperDiskドライブは見つからなかった。失意のうちに? 同じ新宿西口のヨドバシカメラに立ち寄ったところ、買い損なったSDD-240USBSLが、Bic P Kanと同じ4,980円で山積みになっているではないか。迷わず早速1台ゲットした、というわけだ。もちろん、ウチに帰って、OEM品であるSDD-240USBSLでもシステム起動可能なことを早速確認したことは言うまでもない。

 その翌日、筆者はもう1台買おうとヨドバシカメラに向かった。何より4,980円なら安いし、これから主力にするのであれば、1台くらい箱入りのままで予備を持つのも悪くない、と考えたからだ。しかし、昨日の夕方、40~50台はあったと思われたSDD-240USBSLの在庫は、きれいサッパリと無くなっていたのだった。SuperDiskドライブの開発元・製造元である松下寿電子工業は、松下電器グループ全体のリストラ計画の中、松下電器産業本体に吸収されてしまった。まだ、吸収後の事業戦略等はハッキリしていないが、リストラの中SuperDiskドライブが消えてしまう可能性も否定はできない。万一に備えるためにも、さらにもう1台予備を持とうと思ったのだが、筆者痛恨のミス? であった。



●空いたベイにはUSB 2.0ハブを装着

 それはともかく内蔵SuperDiskドライブを外付けで置き換えることによるインパクトは色々とある。大きなプラスは、ケース内のIDEケーブルの引き回しがグンと楽になる、ということだろう。Serial ATAの時代になれば、こんなことを気にする必要もなくなるのだろうが、今のATAは規格を遵守する限り、ケーブル引き回しの自由度が極めて低い。SuperDiskドライブの内蔵をやめ、ATAデバイスを1つ減らすだけで、その効果は絶大である。

 もう1つ、これはプラスかどうか分からないのだが、ケースを選ぶ際に、フロッピードライブが矩形の「ベイ」としてではなく、ケースのフロントパネルにスリットとしてメディア挿入口だけが用意されているタイプはもう買えない、ということも、筆者にとって重要なポイントだ。筆者は、以前からメディア挿入口タイプの3.5インチベイが用意されたケースは好きではないのだが、予算や入手性の都合から、ウチにも若干このタイプのケースが存在する。USB環境の向上(USBブートやUSB 2.0の普及)は、使用頻度の低い3.5インチタイプの内蔵リムーバブルストレージ(SuperDiskドライブに限らず)の必然性を減少させるだろうから要注意だ。

 さて、話を元に戻して、今回組んでみたマシンだが、SuperDiskドライブを内蔵する代わりに、3.5インチフロッピーディスクベイの位置に、内蔵タイプのUSB 2.0ハブを組み込んでみた。用いたのはAKIBA PC Hotline!で見つけたJustyのUHB-0421だ。UHB-0421には、リアのI/Oパネルに用意されたUSBポートから引き回すためのケーブルと、ケーブルを通過させるためのブラケットが付属しているが、前回も触れたように、D845GLLYは、USBポートの数が少ない。筆者は自分でケーブルを用意して、マザーボード上のヘッダピンと内蔵ハブを結線した。

UHB-0421と付属のケーブル。他に電源ケーブルが付属する。ハブコントローラはNEC製 UHB-0421のフロントパネル。左側上部のMODE LEDがUSBの動作モードに合わせて点灯/消灯するハズなのだが

 実際に使ってみてだが、問題なくUSB 2.0のHigh Speedモードで使えているようだ。USB 2.0に対応したハウジングに収めたハードディスクに約650MBのファイルをコピーするのに約1分。High Speedモードの理論値(480Mbps)とはかけ離れているが、USB 1.1では実現不可能な(しかも比にならない)データ転送速度であることは間違いない(USB 2.0に対応した第1世代のホストコントローラであるICH4で、どれくらいの実効データ転送レートが達成されているのか、疑問がなくもない)。

 実は、UHB-0421には、ハブの動作モードを示すLEDがあり、点灯でUSB 1.1、消灯でUSB 2.0を示すハズなのだが、上記のハードディスクを接続した場合もモードLEDは点灯のままだった。この状態でデバイスマネージャで、ハードディスクがEHCIコントローラにぶら下がっているUSB汎用ハブ(UHB-0421のこと)に接続されていることを確認しており、LEDの表示と一致しないのだが、とりあえず使えているのでよしとすることにした(ちなみに、USB外付けSuperDiskドライブからのシステム起動は、リアのI/OパネルのUSBポートと、このハブ経由の両方で確認した)。

 というわけで、とりあえずマシンとして組みあがったD845GLLYだが、まずは順調に動いてはいる。だが、やはりというか、筆者が常用する1,600×1,200ドット解像度ではアナログ的な表示品質がかなり厳しいことが分かった。また、1,600×1,200ドット、32bitカラーモードでは、DVDの全画面表示も不可能であった(ハードウェアオーバーレイ機能は有効なため表示はできるが、コマ落ちや音声の途切れが生じる)。PC133メモリの帯域が辛いのか、BIOSで設定できるフレームバッファの容量が8MBどまりなのが原因なのかは不明だが、そこまで期待してはいけない、ということなのだろう。


□関連記事
【2001年7月25日】【元麻布】第3世代の内蔵型SuperDiskを試す
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010725/hot156.htm
【5月23日】ビックカメラ Bic P kan新宿西口店オープン
~ヨドバシカメラは18%ポイントセールで迎撃の構え
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0523/bic.htm

バックナンバー

(2002年6月5日)

[Text by 元麻布春男]


【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp
個別にご回答することはいたしかねます。

Copyright (c) 2002 impress corporation All rights reserved.