最後のPGA370対応CPU「Celeron 1.40GHz」を試す |
Celeron 1.40GHz |
IntelはNetBurstマイクロアーキテクチャベースのCeleron 1.70GHzと同時に、P6アーキテクチャベースでPGA370(いわゆるSocket370)に対応したCeleron 1.40GHzもリリースした。発表と同時にCeleron 1.70GHzは秋葉原で発売されたが、Celeron 1.40GHzはそれより一週間遅れて流通が開始されている。
今回はこのCeleron 1.40GHzを取り上げて、そのパフォーマンスに迫っていきたい。
●システムバス、L2キャッシュなどに従来モデルと大きな違いはなし
システムバスは100MHz、L2キャッシュ容量は256KBと、スペックに変更はない |
今回リリースされたCeleron 1.40GHzは、従来モデルのCeleron 1.30GHz、1.20GHzなどの高クロック版で、システムバスは100MHz、L2キャッシュの容量は256KBと、基本的な仕様に変化はない。
なお、Intelがサーバー向けにPentium III 1.40GHz-Sをリリース済みであるため、Celeron 1.40GHzはP6マイクロアーキテクチャベースのCPUで最高性能のCPUというわけではない。Pentium III 1.40GHz-Sは、システムバス133MHz、L2キャッシュは512KBと上回っており、Celeron 1.40GHzよりもパフォーマンスでは上回っている。
ただ、価格面ではPentium III 1.40GHz-Sが4万円弱となっており、もっと高クロックのPentium 4を買えるぐらいの価格設定となっているため、あまり現実的な選択ではないのに対して、Celeron 1.40GHzは実売1万円強と、安価な価格設定になっているという違いがある。
なお、IntelはすでにPentium IIIの製品化を終了しており、今後新たなPentium IIIがリリースされる予定はない。さらにCeleronに関してもすでに1.70GHzがリリースされていることからもわかるように、今後はNetBurstベース、つまりP4コアに置き換えられることが確実となっている。
実際、OEMメーカー筋の情報によれば、Intelは6月中旬にCeleron 1.80GHzを正式にリリースする予定といわれており、すでに秋葉原ではセット販売ながら販売が開始されている。そういう意味では、このCeleron 1.40GHzは、まさに最後のPGA370対応CPUとなっているのだ。つまり、すでにPGA370システムを持っているユーザーにとっては“最後の”アップグレードパスなのだ。
●Duronも若干下回り、Celeron 1.70GHzにはかなわない
それでは、Celeron 1.40GHzのパフォーマンスをチェックしていこう。ベンチマークに利用したのはCeleron 1.70GHzのレポートでも利用したBAPCoのSYSmark2002に含まれるOffice ProductivityとInternet Contents Creation、MadOnion.comの3DMark2001 Second Edition、id SoftwareのQuake III Arena、BAPCoのWebMark2001、さらにMadOnion.comのPCMark2002に含まれるCPU Testの6つで、結果はそれぞれグラフ1~グラフ6、環境は表の通りだ。
【テスト環境】CPU | Pentium 4 | Celeron 1.7GHz | Celeron 1.4~1.2GHz | Athlon XP |
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チップセット | Intel 850 | Intel 845 | Intel 815E | VIA Apollo KT266A |
マザーボード | Intel D850MDL | Intel D845BG | Intel D815EEA2 | EPoX EP-8KHA+ |
チップセットドライバ | 3.10.1008(2001/10/8) | 3.10.1008(2001/10/8) | 3.10.1008(2001/10/8) | 4in1 v4.38 |
メモリ | Direct RDRAM | DDR SDRAM | SDRAM | DDR SDRAM |
メモリモジュール | PC800-45 | PC2100(2-2-2) | PC133 SDRAM(3-3-3) | PC2100(2-2-2) |
容量 | 256MB | |||
ビデオチップ | NVIDIA GeForce3(64MB、DDR SDRAM) | |||
ビデオドライバ | NVIDIA Detonator XP(v28.32) | |||
ハードディスク | IBM DTLA-307030 | |||
フォーマット | NTFS | |||
OS | Windows XP Professional |
グラフ1 | グラフ2 | グラフ3 |
グラフ4 | グラフ5 | グラフ6 |
オフィスアプリケーションを利用する際のパフォーマンスを示すSYSmark2002のOffice Productivityの結果だが、Celeron 1.40GHzはDuron 1.3GHzとほぼ同じ程度になっている。コンテンツ作成ソフトを利用する際のパフォーマンスを示すInternet Contents Creationでは、Duron 1.3GHzにも、Duron 1.2GHzにも劣っている。残念ながらCeleron 1.40GHz~1.20GHzは3DMark2001 Second Editionが動作しなかったので、Quake III Arenaでみると、やはりDuronを下回っている。これはPCMark2002のCPU Testでも同様で、やはりDuron 1.3GHzを下回った。
こうした結果から、Celeron 1.40GHzは、Celeron 1.70GHzはもちろんのこと、Duron 1.3GHzをも下回っているというあたりが性能であると考えることができるだろう。
●すでにPGA370環境を持っている人のアップグレードパスとしてお奨め
以上のように、性能面からみるとCeleron 1.40GHzは、Duronも下回るなどみるべきものはあまりないといってよい。先週末時点でのAKIBA PC Hotline!の調査によれば、Celeron 1.70GHzとCeleron 1.40GHzの価格差はほとんどなく、性能差やCeleron 1.40GHzには今後のアップグレードパスがないことを考えるとこれからマザーボードなども含めて新たに購入する場合にはCeleron 1.70GHzやDuron 1.3GHzなどを検討した方がいいだろう。
ただ、すでにTualatinに対応したPGA370環境を持っているユーザーであれば、価格も1万円強とこなれており、アップグレードパスとしてCeleron 1.40GHzを購入するというのも悪くはないだろう。
□バックナンバー(2002年5月31日)
[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]