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NEW PRODUCTS TESTREPORT

ソニー
it WEGA PED-W17M
D4端子装備のチューナーボックスがセットになった高輝度CRT
TEXT:天野 司 Amano Tsukasa


ディスプレイ部側面は鏡面仕上げになっており、外部環境が映り込む。これにより、CRTの存在感を少なくする効果を狙っていると言う
 ソニーが発売した「PED-W17M」は、17型FDトリニトロン管を採用し、さらにテレビチューナーやビデオ入力などのAV機能を強化したCRTディスプレイだ。「it WEGA」という愛称からも分かるように、この製品はPC向けディスプレイではなく、同社のテレビラインナップ「WEGA」シリーズに含まれる。つまり、PCにも接続できる「テレビ」なのである。

 テレビチューナーを搭載したり、ビデオ入力に対応したりと、なんらかのAV機能を持ったPC用ディスプレイはこれまでにもいくつか存在した。しかし、それらが持つAV機能は、おまけ的な要素が強く、機能的には見るべきものが少なかった。対してこのPED-W17Mの場合、WEGAという名を冠するだけあって非常に充実したAV機能を備える。VHF/UHF/CATVに対応のテレビチューナーはもちろんのこと、D4入力端子を搭載することでプログレッシブDVDやBSデジタルハイビジョン入力にも対応する。

テレビチューナーボックスの背面にはD4のほか、AVマルチ、S-VIDEO、VIDEOの各種入力端子が備えられている。これにより、本製品をさまざまな機器に接続し、AVセンター的な使い方をすることも可能だ
 通常のNTSC画像に対しては、波形整形と倍速スキャンによって4倍密度相当の高画質に変換する、同社製テレビお得意のDRC-MF(Digital Reality Creation -Multi Function)回路も搭載しており、まさにPED(パーソナルエンターテインメントディスプレイ)という型番にふさわしい本格的なAV機能を備える。

 製品の構成はビデオ入力端子などが備わるテレビチューナーボックス部と、ディスプレイ本体部とが分離したセパレートタイプだ。液晶ディスプレイなどではよく見かけるが、CRTディスプレイでこうした例はかなりめずらしい。操作ボタン類はすべてディスプレイ側にあり、コントローラ側には、稼動状態を示すランプが配置されているだけだ。また当然、ワイヤレスリモコンも付属する。

 チューナーボックス部とディスプレイ部とは専用ケーブルで接続される。ただし、PCからのアナログRGB入力端子だけは、ディスプレイ部に搭載されている。これはアナログ信号を引き回すことによる画質劣化を避けるためであろう。なお、この端子を経由したアナログRGB入力は最大で1,280×1,024ドット/60Hzに対応する。

 ディスプレイのスタンド部には、RGB端子やコントローラ部との接続端子、また100V電源やメインスイッチなどが集中的に配置されている。そのためスタンド部はかなり大型だ。本体色はダークグレーを基調としているが、コントローラ部側面とディスプレイ部の後部は反射率の高いミラー状の仕上げとなっている。

台座部には、立体音響システムWOWと映画向けサラウンドシステムTrusurround対応のスピーカーシステムを内蔵 台座部背面にはチューナーボックスからのケーブルを接続する専用端子と、アナログRGB入力用のD-Sub 15ピン端子が存在する

S-VIDEO入力、DRC-MF ON時の画像。写真ではジャギーが出てしまっているが、実際はもっと鮮明な画像だ
 気になる画質であるが、D端子やAVマルチ端子からの入力時はさすがに美しい。PCのディスプレイにも使える表示管を採用するだけあって、BSデジタルのハイビジョン映像を表示させても解像度不足を感じることはまったくない。17型という画面サイズのため、いわゆる「大画面の迫力」を感じることこそできないが、ピーク時500cd/平方メートルにも達する輝度は、テレビとして利用するには十分過ぎるほどだ。また、PCからのRGB入力時の画質も、17型クラスのディスプレイの水準は確保している。

 この製品を購入する際の最大の注意点は、これが「テレビも映るPC用ディスプレイ」ではなく、あくまで「PC画面も映せるテレビ」であるという点だろう。つまりPCの周辺機器ではなく、テレビを購入するという考えでいないと、この製品の本質を見誤ってしまう。17型ディスプレイとしては高価な製品だが、テレビとして見た場合のコストパフォーマンスは非常に高い。魅力的なAV機器と言えよう。

  • 製品名:it WEGA PED-W17M
  • 標準価格:オープン(実売120,000円前後)
  • 問い合わせ先:ソニーマーケティング株式会社
  • TEL:0570-00-3311
  • URL:http://www.sony.co.jp/
  • ディスプレイ部
  • ブラウン管:17型アパーチャーグリル管
  • グリルピッチ:0.24(中央部)~0.25(周辺部)mm
  • 水平走査周波数:30~70kHz
  • 垂直走査周波数:48~170Hz
  • 最大表示解像度(推奨):1,280×1,024ドット(1,024×768ドット)
  • 消費電力:最大約135W(テレビチューナーボックス部含む)
  • 本体サイズ(W×D×H):448×213×268mm
  • 重量:約22kg
  • テレビチューナーボックス部
  • インターフェイス:PCディスプレイ(D-Sub 15ピン)×1、テレビアンテナ(F型コネクタ)×1、S-VIDEO/VIDEO IN×2、コンポーネント入力(D4端子)×1、AVマルチ入力×1、LINE OUT×1
  • 本体サイズ(W×D×H):156×213×268mm
  • 重量:約3.0kg

    ■写真撮影
    若林直樹(STUDIO海童)

    □ソニーのホームページ
    http://www.sony.co.jp/
    □製品情報
    http://www.sony.co.jp/sd/products/Consumer/Peripheral/Display/CRT/PED-W17M/
    □関連記事
    【2001年11月12日】ソニー、AV機能にこだわった液晶とCRT
    http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011112/sony2.htm


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