【速報】“Northwood”こと0.13μm版Pentium 4登場!
~Pentium 4 2.20GHz vs Athlon XP 2000+激戦を制するのはどっち?



 昨日、AMDがAthlon XPの最高グレードとなるAthlon XP 2000+を発表したが、本日はIntelがPentium 4プロセッサ(以下Pentium 4)の最新クロックグレードとなる2.20GHz、2A GHzの2製品を発表した。

 この2.20GHzと2A GHzのPentium 4はこれまで“Northwood”のコードネームで呼ばれていた、製造プロセスルールが0.13μmに微細化された新コアを採用している。従来のWillametteコアに比べてL2キャッシュの容量が倍の512KBとなっており、同クロックの従来型Pentium 4に比べてもパフォーマンスが向上することが予想される。今回はこのPentium 4 2.20GHzと2A GHzの2製品を利用して、新Pentium 4のパフォーマンスに迫っていきたい。



●プロセスルールの微細化により低消費電力を実現するが熱設計の難易度は変わらず

左側がNorthwood

 今回発表された“Northwood”ことPentium 4 2.20GHzと2A GHzは、Intelがすでにモバイル向けのモバイルPentium III-Mで利用していた0.13μmの製造プロセスルールを利用した、進化バージョンだ(従来のPentium 4は0.18μmの製造プロセスルールで製造されていた)。

 製造プロセスルールを微細化したことによる恩恵は2つある。1つは、駆動電圧を下げることが可能になったため、消費電力量を低減できることだ。WillametteコアのPentium 4では1.75Vであったのが、1.5Vに下げられており、消費電力の指標の1つとなっている熱設計電力はWillametteコアのPentium 4 2GHz(478ピン)が75.3Wであるのに対して、NorthwoodコアのPentium 4 2A GHz(Willametteコアの2GHzと区別するために“A”がついている)は52.4Wと消費電力が大幅に下がっている。

 しかし、だからといってNorthwoodコアのPentium 4がWillametteコアのPentium 4と比べて熱設計がしやすい(自作ユーザー向けにいうのなら、より小型のファンにすることができる)ということはない。実は、NorthwoodではTdieと呼ばれるCPUの稼働保証温度が摂氏68度と、Willametteの摂氏75度に比べて下げられており、熱設計の難しさはWillametteとさほど変わりない(というより今後クロックがあがればより厳しくなる)。このため、リテールボックスに添付されているCPUクーラーも従来と変わらず大きなもので変更はなく、バルクCPUを利用して自作する場合には従来同様大型のCPUクーラーを利用するようにしたい。


●高いパフォーマンスを期待できるL2キャッシュの増量

 微細化によるもう1つの恩恵は、L2キャッシュの容量アップだ。製造プロセスルールを微細化することは、全く同じ回路をシュリンクしただけの場合、全体的に縮小されることになるので、ダイの面積であるダイサイズを小さくすることができる。そこで、従来は経済的な理由で搭載することが難しかった大容量キャッシュを入れても、従来よりも安価に作ることができるようになる。NorthwoodでもL2キャッシュは、従来の倍となる512KBが搭載されている。キャッシュを増やすことにより、多くのアプリケーションで性能向上を期待することができるので、同じクロックであってもWillametteよりもNorthwoodの方が高速であるということが予想される。

グラフ1

 実際にベンチマークをとってみると、その傾向がでていることがわかる。グラフ1はPentium 4 2GHz(Willamette、256KB)とPentium 4 2A GHz(Northwood、512KB)を比較しているグラフで、左にグラフが伸びていればPentium 4 2GHzが高性能であることを意味し、右に伸びていっている時にはPentium 4 2A GHzが高性能であることを意味している。見てわかるように、どのアプリケーションでもPentium 4 2A GHzが高性能という結果を残している。その割合はアプリケーションにより異なるが、3D系では実に8%近い性能向上を見せている。こうしたことから、L2キャッシュが増えた効果はそれなりにあることが確認できるだろう。

 なお、これ以外の点は従来のWillametteと変更はない。CPUのマイクロアーキテクチャはNetBurstマイクロアーキテクチャで、システムバスは400MHz、パッケージはFCPGA2(478ピン)となっており、CPUソケットはmPGA478(いわゆるSocket 478)で利用できる。今回のNorthwoodからは、すべて478ピンのFCPGA2パッケージだけに統一され、423ピンのPGAパッケージのNorthwoodというのは、今後リリースされる予定は今のところない。なお、Northwood登場前にリリースされたマザーボードでNorthwoodコアのPentium 4を利用する場合には、BIOSをNorthwood対応版にする必要があるので注意したい。


●Athlon XP 2000+をおおむね上回るPentium 4 2.20GHz

 今回はNorthwoodコアのPentium 4 2.20GHz、2A GHzの性能を確認するために、WillametteコアのPentium 4 2GHz、さらには昨日発表されたばかりのAthlon XP 2000+(1.67GHz)、Athlon XP 1900+(1.6GHz)を用意し、ベンチマークテストを行なってみた。

 テスト結果は項目が多いので、すべての結果は別ページにしてある。興味がある読者は参照してみて欲しい。環境は表の通りで、基本的にはCPU、チップセットに依存するマザーボードとメモリをのぞき、どちらの環境も同一の環境であり、差はCPU、チップセット、メモリの差であると考えてよい。なお、利用しているベンチマークプログラムは昨日のAthlon XP 2000+の記事と同一であるので、ベンチマークの説明などについては昨日の記事( http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0107/hotrev146.htm )を参照して欲しい。

CPUPentium 4Athlon XP
チップセットIntel 850VIA Apollo KT266A
マザーボードIntel D850MDLEPoX EP-8KHA+
チップセットドライバ3.10.1008(2001/10/8)4in1 v4.35
メモリDirect RDRAMDDR SDRAM(PC2100,CL=2.5)
容量256MB
ビデオチップNVIDIA GeForce3(64MB、DDR SDRAM)
ビデオドライバNVIDIA Detonator XP(v23.11)
ハードディスクIBM DTLA-307030
フォーマットNTFS
OSWindows XP Home Edition

■ベンチマークテスト結果
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0108/bench.htm

グラフ2 グラフ3 グラフ4

グラフ5 グラフ6

 グラフ2はSYSmark2001のOffice Productivityの結果だ。見てわかるように、Pentium 4 2GHz(Willamette、256KB)は、Athlon XP 2000+に大幅に負けていたのが、Pentium 4 2.20GHz(Northwood、512KB)では同スコアと同等になっている。グラフ3のInternet Contents Creationでは、もともとPentium 4 2GHzがAthlon XP 2000+を上回っていたため、Pentium 4 2.20GHzが大幅に上回っている。なお、Windows Media Encoder 7のパッチを当てたAthlon XP 2000+は、231と大幅にスコアが向上するが、それでもPentium 4 2.20GHzの237にはかなわない。

 グラフ4の3DMark2001のスコアだが、Pentium 4 2.20GHzとAthlon XP 2000+はグラフがほぼ重なっており、どちらも同じようなパフォーマンスを持っているといっていいだろう。なお、グラフ5のQuake III Arenaではメモリの帯域幅が利いてくるため、3.2GB/secという2チャネルのDirect RDRAMを利用しているPentium 4が最もよいスコアを出している。なお、グラフ6のVideo2000/MPEG2 Encoderテストでは、Pentium 4 2GHzはAthlon XP 2000+に大きな差を付けられていたが、差は縮まっている。

 これらの結果を基に、Athlon XP 2000+ vs Pentium 4 2A GHz、Athlon XP 2000+ vs Pentium 4 2.20GHzのそれぞれに対する伸び率を示したグラフがグラフ7グラフ8だ(破線はWindows Media Encoder 7にパッチを当てた結果)。

グラフ7 グラフ8

 まず、Athlon XP 2000+ vs Pentium 4 2A GHz(グラフ7)では、Pentium 4 2GHzとの比較のように、ほとんどのアプリケーションでAthlon XP 2000+が優勢、という結果にはなっていない。あるアプリケーションではAthlon XP 2000+が優勢だが、他のアプリケーションではそうではないという結果になる。これは総合的に見て互角であるといっていいだろう。ただ、Windows Media Encoder 7にパッチをあてるとAthlon XP 2000+が5項目中4項目制覇となる。そうした意味ではAthlon XP 2000+がやや優勢だが互角に近い結果と表現したい。したがって、Pentium 4 2A GHzというもう1つの2GHzとの比較でも、2000+のモデルナンバーは十分妥当だと思う。

 Athlon XP 2000+ vs Pentium 4 2.20GHz(グラフ8)では、Athlon XPが2項目(Video2000/MPEG2 Encoder、3DMark2001)で勝利したが、わずかなリードであり、逆にPentium 4 2.20GHzがリードしている項目では大きくリードされているので、総合的に見て2.20GHzの方が高い処理能力を持っているといっていいだろう。


●絶対パフォーマンスはPentium 4だが、コストパフォーマンスで上回るAthlon XP

 以上のように、絶対的なパフォーマンスという意味では、Athlon XP 2000+をおおむね上回っているPentium 4 2.20GHzのほうが高性能と言っていいだろう。現時点でとにかく高性能なPCが欲しいというのであれば、Pentium 4 2.20GHzを搭載したマシンを買うというのがベストな選択だ。

 ただ、この高性能はあくまでIntel 850+2チャネルDirect RDRAMという組み合わせを選択した場合だ。以前、このコラムでも検証したように、Intel 845 Bステップ+DDR SDRAM、Intel 845+SDRAMという組み合わせにすれば、性能は確実に低下する。前者で-0.1GHz、後者で-0.2GHz分ぐらいの性能低下があることは付け加えておきたい。Pentium 4の性能をフルに発揮したシステムが欲しいという場合には、あくまでDirect RDRAMを利用する必要があるのだ。したがって、性能重視でPentium 4マシン、特に高クロックのCPUを購入する場合にはDirect RDRAMベースのシステムを選択すべきだろう。

 これに対して、Athlon XPはDDR SDRAMでこれだけのスコアを残している。価格という意味でも、Pentium 4 2A GHzが364ドル(日本円で約47,000円)であるのに対して、Athlon XP 2000+は339ドル(日本円で約45,000円)と若干安価であり、さらにDirect RDRAMとDDR SDRAMの価格差分を考えると、Athlon XPがお得ということになる。したがってAthlon XPのコストパフォーマンスは依然として高く、コストパフォーマンスを追求したいというユーザーには、Athlon XPは依然として優れた選択肢であると言えるだろう。

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(2002年1月8日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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