レビュー

“おもてなし”の風情を取り入れたiiyama PC「雅」フォトレビュー

iiyama PC「雅 MN7260-i5-SRB [Windows 8.1 Update]」

 株式会社ユニットコムが先日来ティザー広告などで告知していた、新PC「雅 Miyabi project」が発売になった。本製品は、日本の伝統的な建築工法である「鎧張り」、照明の陰影表現を愉しむ「行灯」、襖の開閉における“おもてなし”を連想させる動きなどをデザインに取り入れたとしており、非常にユニークな仕上がりとなっている。

 雅は、ミドルタワーのMD7、ミニタワーのMN7、スリムタワーのSL7の3種類があるが、いずれもデザインは共通化されている。今回はMN7を取り上げ、外観を中心にご紹介する。

 製品名からも分かる通り、本製品は「和」をテーマとしたデザインとなっている。デザインを手がけたのは、宇宙航空有用機器や天文用機器からiPhone用ケースまでを手がけるYs design。日本的なデザインというのは当初からユニットコム側からの要望だったというが、和でありながらも、オフィスなどモダンな環境とも調和することを目指した。

 そこで、取り入れたのが直線によるパターン。本製品の前面パネルは、5インチベイの高さで繰り返し段差になっており、縦にも細い溝が幾重にも掘られている。これにより、PCなどの製品ではなく、建材のような見栄えとなり、モダンな空間にも馴染む。と、同時に、このパターン的なラインは、日本の伝統的な建築工法である「鎧張り」を意識したものでもあり、PCでありながら、古き日本を彷彿とさせる。また、この表面処理によって樹脂素材でありながら高級感を演出したという。

 もう1つ凝らされた趣向が、光だ。多くのデスクトップPCは、前面に電源やアクセスランプなどのLEDがある。本製品も下段3カ所にLEDが埋め込まれているが、その光は直接、目に届くのではなく、段差部分をほのかに照らし出すようにぼんやりと光る。デザイナーによると、鎧張りの壁は、段差になっているところに朝日が当たるときれいに映えるというが、そういった美しさに加え、行灯のような雰囲気も醸し出している。

 デザイナーとしては、白や黄色の灯りが本製品に最もそぐうというが、ユーザーの好みは千差万別ということで、LEDの灯りは、ユーザーが自由に変えられるようになっている。この点は、追って細かく紹介する。

 では、実機を見てみよう。

 製品の色は、標準のキーボード、マウス含め黒で統一されている。検討段階ではいろいろな色が候補に挙がっていたそうだが、最終的にはPCとして標準的な色となった。

 前述の通り、前面は樹脂製で、マットな仕上がりとなっているため、ゴムのような柔らかそうな質感となっている。と言っても、実際に柔らかいわけではなく、普通のプラスチックと同じ固さだ。

 基本的に繰り返しパターンのデザインだが、最上部だけやや細く、左端には「iiyama」のロゴ、右端には光沢のある電源ボタンがある。この電源ボタンにはLEDはないので光らない。

 上部2段は5インチベイで、光学ドライブを搭載した場合、そこが開閉することを知らせるためのステッカーが貼ってある。また、3段目の部分にも同じステッカーが貼ってある。上のステッカー部分を押すと、当然光学ドライブのトレーが出てくるが、下の方は、押すと2段分がすっと下がり、SDカードスロット、USB端子、音声入出力が現われる。

 このドアが下がる挙動にもこだわっており、襖の開閉におけるおもてなしを連想させるものにしたという。実際、スイッチを押すと、音を立てず、かなりゆっくりとしとやかにドアが下がる。最初は電動かと思ったが、バネをうまく使って、この動作を実現している。

 なお、この2カ所のシールは、スイッチの場所を確認したら剥がすように書かれている。貼りっぱなしでは、せっかくのデザインに差し障るし、かといってマニュアルにしか書いていないと、分かりにくい。その辺りを配慮して、剥がしやすいステッカーにしたのだろう。

本体正面
本体側面
側面を開けたところ
本体背面
I/Oパネル部
前面ドアを開けたところ
左上部にiiyamaロゴ
出荷時はこのように、光学ドライブとドアのスイッチの部分にシールが貼られている
前面LEDは下に行くにつれ幅が狭くなる
このように見ると、鎧張りのデザインがよく分かるだろう。また、縦にも細い溝が切られているのも見える
付属のキーボードとマウス
【動画】前面ドア開閉の様子

 このフロントインターフェイスには、オプションで利用可能な3.5インチベイのほか、Micro USBがある。デスクトップPCではまずみかけないコネクタだが、これは、LEDの変更用のものだ。LEDの制御を行なう基板は、PCとは内部では繋がっていないので、USBシリアルドライバと、制御ソフトをインストールし、隣にある通常のUSBポートとMicro USBポートをケーブルで繋ぎ、設定を行なうのだ。

 LEDは上から下にだんだんと小さくなっているところにもこだわりが見える。また、その色と点滅・変化間隔を指定できる。色については、通常の基本色と、3段目に割り当てられているアクセスランプ用の2つの色を指定可能。例えば、基本色が青で、アクセスランプを赤にすると、普段は3つのLEDが青く光るが、HDD/SSDにアクセスがあると、一番下だけ赤く点滅する。また、レインボーモードなどもあり、時間経過とともに7色に変化するパターンも選べる。やや余談となるが、このLED制御ソフトのマニュアルは実に26ページもあり、事細かに説明されている。

MIYABI LED Controller。アイコンも本体を模したものとなっている
起動したところ。詳細モードを選べば、完全に自由な色を選べる
色と変化のパターンは、プリセットからも選べる
【動画】LED変化の様子。たまに最下段のLEDが点滅しているのはHDD/SSDアクセス

 本製品は、デザイン主体で、BTOによって構成も大きく変わるため、性能で選ぶものではないが、簡単にベンチマークも実施した。

 評価機の構成は、Core i5-4460(3.2GHz)、メモリ8GB、SSD 120GB、HDD 1TB、DVDスーパーマルチドライブ、Windows 8.1 Update(64bit)。税別価格は84,980円。

【表】ベンチマーク結果
【PCMark 8】
Home Conventional 2791
Creative Conventional 2961
Work Conventional 3321
【3DMark】
Fire Strike Extreme 269
Sky Diver 2933
Cloud Gate 5381
Ice Storm Unlimited 53729

 以上のように、雅は、和というテーマで、デザイン性を追求したPCだ。デザイン性を高めすぎると、奇をてらう形になり、使い勝手が損なわれることもあるが、本製品はあくまでもPCとしてのフォームファクタは護りつつも、今までPCにはなかったテーマを持ち込み、うまくまとめ上げたと感じる。さすがにリビングには厳しいかもしれないが、個人の書斎や会社オフィスなど、きちんとした机のある場所では、周囲のインテリアと調和することだろう。

 iiyama PCは、「国内(飯山/出雲工場)でディスプレイにおいて40年の歴史と技術力を持つiiyamaの高い製品開発力/技術力を受け継いだ国内ブランドのPC」として2013年10月に立ち上げられた。ショップブランド系で国内生産を行なうところはほかにもあるが、ここまで日本を意識したものはユニークだし、完成度も高い。雅は、iiyama PCの一里塚の1つとして記憶に残る製品になるのではないだろうか。

(若杉 紀彦)