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GeForce GTX TITAN Zの半額で同性能? デュアルGPUカードRadeon R9 295X2を試す

 AMDは4月8日、4K解像度を想定してデザインされたエンスージアストゲーマー向けビデオカード「Radeon R9 295X2」を発表した。今回、借用する機会を得たので、ベンチマークテストでその実力を探ってみた。

フルスペック版Hawaiiを2基搭載するデュアルGPUカード

 Radeon R9 295X2(以下、R9 295X2)は、28nmプロセスで製造されたGraphics Core Nextアーキテクチャ採用のハイエンドGPUコア「Hawaii」を2基搭載するデュアルGPUカード。HawaiiベースのGPUコアは、シングルGPUカードのハイエンドモデル、Radeon R9 290XおよびRadeon R9 290でも採用されている。

 R9 295X2が備える2基のGPUは、それぞれ2,816基のSP(Streaming Processor)と176基のテクスチャユニットを備えており、最大1,018MHzで動作する。メモリには、5.0GHz動作のGDDR5メモリを合計8GB搭載。メモリは各GPUと512bitのメモリインターフェイスで接続されており、1GPUあたり320GB/secのメモリ帯域幅を有する。そのほか、DirectX 11.2、AMD独自APIのMantle、AMD True Audioに対応する。

 デュアルGPUカードは発熱や消費電力の制約から、搭載GPU 1基あたりのスペックを同世代のシングルGPUカード最上位モデルと同等以下に抑えていることが多いが、R9 295X2に搭載された2基のGPUは、シングルGPUカード最上位モデルのRadeon R9 290Xのスペックを超える最高スペックのGPUである。この強力なスペックの代償として、R9 295X2のTypical Board Powerは500Wとなっており、Radeon R9 290Xの250Wから2倍に増加している。

Radeon R9 295X2の主なスペック

GPU冷却にオールインワン水冷ユニットを採用したリファレンスボード

 R9 295X2のリファレンスボードは、500Wという極めて大きな消費電力とそれに伴う発熱に対応すべく、空冷と水冷のハイブリッド式冷却ユニットを搭載している。この冷却ユニットは、2基のGPUをASETEK製のオールインワン水冷ユニットで冷却し、GPU以外の電源回路やメモリの冷却をヒートシンクとファンの組み合わせで冷却するというものだ。GPUの冷却を担当するオールインワン水冷ユニットは、120mmサイズのラジエータを備えており、R9 295X2の利用には、このラジエータを固定できるケースが必要となる。

水冷と空冷のハイブリッド式冷却ユニットを採用

 R9 295X2が500Wもの電力を消費するためには、当然ながら相応の電力供給が必要となる。しかし、R9 295X2のリファレンスボードに用意された補助電源コネクタは8ピンコネクタ2系統のみとなっている。供給容量150Wの8ピンコネクタ2系統では、PCI Expressスロットからの75Wを加えても500Wには届かない。

 AMDによれば、R9 295X2の補助電源コネクタについては、8ピン1系統あたり28A以上の出力が可能な+12V出力に接続する必要があるとしており、電源ケーブル1本あたりで接続可能な補助電源コネクタは1系統のみ。電源ユニットに対しては、2系統の補助電源コネクタ合計で50A以上の+12V出力、電源の総出力としては最低でも1,000W以上が必要とされている。

 +12V出力を1系統にまとめたシングルレールの電源ユニットは電源ケーブルの繋ぎ方を気にする必要はないが、+12V出力を多系統に分けたマルチレールの電源は、ケーブルの繋ぎ方に加え、ケーブルが接続されている+12V系統の容量に十分な注意を要する。

ビデオカード前面を覆う空冷クーラーは、電源回路やメモリの冷却を担当する
基板裏面は金属製バックプレートで覆われている
GPU冷却用のラジエーター。CPU向けのオールインワン水冷クーラーでもよく見かける120mmサイズ
カードの全長は1世代前のデュアルGPUカード「Radeon HD 7990」と同程度
ブラケット部のディスプレイ出力。1系統のDVI-Dと、4系統のMini DisplayPortを備える
補助電源コネクタは8ピン2系統。接続するケーブル1本あたり、R9 295X2に対して28A以上の+12V出力が可能であることが求められる

テスト機材

 それではベンチマークテストの結果紹介に移りたい。比較対象には、Radeon R9 290X(以下R9 290X)と、NVIDIA GeForce GTX 780 Ti(以下GTX 780Ti)、1世代前のデュアルGPUカードであるRadeon HD 7990(以下HD 7990)を用意した。このうち、R9 290XとGTX 780 Tiについては、2枚のビデオカードを用いたマルチGPU時のスコアも取得している。

 なお、今回、機材調達と時間の関係で、各GPUのテストは下記の組み合わせと設定でテストを実施している。変則的な組み合わせとなっている点をご了承いただきたい。

【表1】比較製品の組み合わせと設定について
R9 295X2 Radeon R9 295X2 リファレンスボード
R9 290X【2-way】 Radeon R9 290X リファレンスボード ×2枚
R9 290X ASUS R9290X-DC2OC-4GD5
※リファレンス相当にダウンクロックして使用
HD 7990 Radeon HD 7990 リファレンスボード
GTX 780 Ti【2-way/OC】 ASUS 780 Ti MATRIX
ASUS GTX780TI-DC2OC-3GD5
※ASUS 780 Ti MATRIXの設定下限にダウンクロックして使用
[Boostクロック 967MHz(リファレンスは928MHz)]
GTX 780 Ti GeForce GTX 780 Ti リファレンスボード
Radeon R9 290X リファレンスボード
ASUSのRadeon R9 290X搭載ビデオカード「R9290X-DC2OC-4GD5」
Radeon HD 7990 リファレンスボード
ASUSのGeFore GTX 780 Ti搭載ビデオカード「ASUS 780 Ti MATRIX」
ASUSのGeFore GTX 780 Ti搭載ビデオカード「ASUS GTX780TI-DC2OC-3GD5」
GeForce GTX 780 Ti リファレンスボード

 その他の機材については、以下の表の通り。

【表2】テスト機材
GPU R9 295X2 R9 290X【2-way】
R9 290X
HD 7990
GTX 780 Ti【2-way/OC】
GTX 780 Ti
CPU Intel Core i7-4770K
(3.5GHz/Turbo Boostオフ)
マザーボード MSI Z87A-GD65 GAMING
メモリ DDR3-1600 8GB×2
(9-9-9-24、1.5V)
ストレージ 120GB SSD(Intel SSD 510シリーズ)
電源 Antec HCP-1200(1,200W/80PLUS GOLD)
グラフィックスドライバ Catalyst 14.4 Beta Catalyst 14.3 Beta GeForce 337.50 Driver
OS Windows 8.1 Pro 64bit

Mantle、DirectX 11対応ベンチマークテスト

 まずは、DirectX 11に対応するベンチマークテストの結果からチェックする。実施したベンチマークテストは、「BATTLEFIELD4」(グラフ1)、「3DMark Fire Strike」(グラフ2〜4)、「3DMark11」(グラフ5〜7)、「Alien vs. Predator DX11 Benchmark」(グラフ8)、「Stone Giant DX11 Benchmark」(グラフ9)、「Unigine Heaven Benchmark 4.0」(グラフ10)

 DirectX 11とMantleの両方に対応するBATTLEFIELD4では、1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドットの3つの解像度で、Mantle利用時のR9 295X2がもっとも高いfpsを記録した。DirectX 11時はSLI構成のGTX 780 Tiに遅れをとっているR9 295X2だが、Mantleによってその差を覆している。

 CrossFire構成のR9 290Xとは同程度のパフォーマンスとなっているR9 295X2だが、4K解像度である3,840×2,160ドット時に関しては、Mantle利用時のパフォーマンスの伸びでCrossFire構成のR9 290X引き離している。グラフィックスドライバの違いによるものである可能性も考えられるが、R9 295X2がターゲットにしたという4K解像度でMantleの恩恵が得られていることは確認できた。

【グラフ1】BATTLEFIELD4 DirectX 11/Mantle[描画設定:最高]

 DirectX 11系ベンチマークでは、R9 295X2とCrossFire構成のR9 290Xがほぼ同程度のスコアを記録している。Unigine Heaven Benchmarkの1,920×1,080ドット時に、CrossFire構成のR9 290Xのスコアが振るわず、20fps弱の差がついているが、それ以外の解像度では同程度の結果となっており、R9 295X2はR9 290Xを2枚用いたCrossFire構成と、おおむね同じ程度のパフォーマンスであると言って差し支えない。

 GeForce GTX 780 TiのSLI構成との比較では、テッセレーションを多用するStone Giant DX11 Benchmarkで一定の差をつけられている。このあたりはシングルGPU同士の比較でも見られる傾向であり、強力なテッセレータを有するKeplerアーキテクチャの優位性だ。

【グラフ2】3DMark - Fire Strike[Default/1,920×1,080ドット]
【グラフ3】3DMark - Fire Strike[Extreme/2,560×1,440ドット]
【グラフ4】3DMark - Fire Strike[Extreme/3,840×2,160ドット]
【グラフ5】3DMark11[Extreme/1,920×1,080ドット]
【グラフ6】3DMark11[Extreme/2,560×1,440ドット]
【グラフ7】3DMark11[Extreme/3,840×2,160ドット]
【グラフ8】Alien vs. Predator DX11 Benchmark
【グラフ9】Stone Giant DX11 Benchmark
【グラフ10】Unigine Heaven Benchmark 4.0[DX11]

DirectX 10、DirectX 9対応ベンチマークテスト

 続いて、DirectX 10、DirectX 9に対応するベンチマークテストの結果をチェックする。実施したベンチマークテストは、「3DMark - Cloud Gate」(グラフ11)、「3DMark Vantage」(グラフ12〜14)、「3DMark06」(グラフ15)、「3DMark - Ice Storm Extreme」(グラフ16)、「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」(グラフ17)、「MHFベンチマーク【大討伐】」(グラフ18)、「PSO2ベンチマーク」(グラフ19)、「Unigine Heaven Benchmark 4.0」(グラフ20)。

 R9 295X2とCrossFire構成のR9 290Xの関係については、DirectX 11対応ベンチマークテストの結果と変わらず、多くのテストでほぼ同程度と言えるスコアを記録している。例外として、MHFベンチマークではR9 295X2が全ての解像度で1割前後の差をつけている。

 GTX 780 Tiとの関係は、DirectX 11時以上にタイトルによって得手不得手がはっきりした印象だ。SLIの効果が十分に発揮できていないMHFベンチマークではR9 295X2が圧倒的に優位となっている。一方で、R9 295X2とCrossFire構成のR9 290Xが、R9 290X単体のスコアを下回るという逆効果が確認されたPSO2ベンチマークでは、少ないながらもスコアを伸ばしたSLI構成のGTX 780 Tiに4割程度の差をつけられている。

【グラフ11】3DMark - Cloud Gate[Default/1,280×720ドット]
【グラフ12】3DMark Vantage[Extreme/1,920×1,200ドット]
【グラフ13】3DMark Vantage[Extreme/2,560×1,440ドット]
【グラフ14】3DMark Vantage[Extreme/3,840×2,160ドット]
【グラフ15】3DMark06 [3,840×2,560ドット/AA 8x/AF 16x]
【グラフ16】3DMark - Ice Storm Extreme[1,280×720ドット]
【グラフ17】ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編
【グラフ18】MHFベンチマーク【大討伐】[DX9]
【グラフ19】PSO2ベンチマーク(1,920×1,080ドット/フルスクリーン)
【グラフ20】Unigine Heaven Benchmark 4.0[DX9]

消費電力の比較

 最後は各GPU搭載時の消費電力を比較する。サンワサプライのワットチェッカー「TAP-TST5」を利用して測定した、システム全体の消費電力を比較した。

【グラフ21】システム全体の消費電力

 アイドル時の消費電力は、CrossFire構成時に使用していないセカンダリGPUの電源を切るAMD ZeroCore Powerテクノロジーの恩恵により、R9 295X2はSLI構成のGTX 780 Tiより17Wほど低い71Wに留まっている。これは、CrossFire構成のR9 290Xより12Wほど高い数値だ。

 R9 295X2のベンチマークテスト実行中の消費電力は、600W弱から650W前後と非常に高い。R9 290XのCrossFire構成と同程度かやや高い消費電力で、パフォーマンスを考えれば特におかしくは無いが、単体のR9 290Xより300W程度高い消費電力からは、Typical Board Powerの500Wが過大な数字ではないことを実感させられる。

AMD最速のGPUを2基備えた最速のビデオカード

 以上の通り、R9 295X2は、R9 290Xの2-way構成と同程度のパフォーマンスを実現しており、単体のビデオカードとしては現時点で最速の製品だ。今回実施したベンチマークテストの結果から伺えるR9 295X2のパフォーマンスなら、4K解像度でも何とか動くというレベルを超え、リッチな描画設定でゲームを楽しむことができるだろう。

 単体ビデオカードとしては、非常に強力なパフォーマンスを持つR9 295X2だが、電源への要求は極めてシビアだ。安全に動作させるためには、組み合わせる電源ユニットのスペックをよく把握しておく必要がある。また、水冷ユニットのラジエーターを設置するスペースを必要とするため、コンパクトなケースへの組み込みは難しい。

 デュアルGPUカードであるR9 295X2には、2枚でQuad CrossFireを構築可能というメリットもあるが、1枚で50Aの+12V出力を要求するR9 295X2を2枚動作させる場合、電源ユニットは2台必要となる。良くも悪くも、エンスージアスト向けらしい強烈な仕様の製品なのである。

 R9 295X2の米国での価格は1,499ドルとされている。日本での価格は未定だが、ライバルであるNVIDIAが3月25日に、最上位GPUコア「GK110」を2基搭載したデュアルGPUカード「GeForce GTX TITAN Z」を、2,999ドルで発売することを予告している。そのわずか半額だと考えれば、ズバリお買い得だ。

 GeForce GTX TITAN Zの性能は未知数だが、従来のコンシューマ向けウルトラハイエンドGPUの枠を超える、2つのモンスタービデオカードの激突にも注目したい。

(三門 修太)