レビュー
インテルのコンシューマ向け最上位SSD「730」試用レポート
(2014/3/13 11:00)
インテルから、コンシューマ向けでは最上位となるSSD「730」シリーズが発表された。今回480GBモデルをお借りできたので、外観および内部分解レポート、「CrystalDiskMark」と、「ATTO Disk Benchmark」の結果を合わせて掲載する。
まずは外観から見ていこう。2.5インチで7mm厚の筐体に、同社のExtreme(最上位)シリーズを示すドクロマークが入ったシールが貼られたデザインとなっている。従来の530と比較しなければわからなかったが、530が左下からのカーブデザインだったのに対し、730は上からのカーブデザインとなっている。
このため表面から見た場合、730は右側にコネクタを備えるのに対し、530は左側となる。ただし背面のラベルは共通方向のため、あくまでも表のデザインが違うだけだ。
表面にラメが入ったようなシルバーケースなのは共通だが、背面は相変わらず平らに削っただけの簡素な仕上げとなっている。PCケースに入れてしまえば気にならないと言われればごもっともだが、価格もそれなりなのでこだわって欲しかったところだ。
シール下部に隠されたネジも含めて4本を外すだけで本体内にアクセスできるようになっていたので、分解してみた。
開けてまず驚いたのは基板上に日本ケミコンの「KZH」シリーズに属する35V/47μFのアルミ電解コンデンサが2個装着されている点。SSDでは9.5mmや7mmの薄さを実現するためにチップコンデンサを使うのが当たり前だと思うが、大胆にも横に足を折り曲げて横たわるように配置している。また、基板でわざわざこのためのスペースを用意しているのもユニークだ。
断電時に、キャッシュに残ったデータをNANDに書き込むために大容量コンデンサを搭載するSSDは多いが、本製品もその機能を実現するための回路の一部だと思われる。
コントローラは「PC29AS21CA0」、キャッシュはDRAMはMicron製の4Gbit/DDR3-1600/1.35V駆動「D9QBJ」×2、NANDフラッシュはIM Flashの「29F32B08MCMF2」(32GB)が16枚使われていた。
コントローラは完全に内製のためデータシートはないが、データセンター向けSSD「DC S3500」や「DC S3700」に搭載されているものと同じと思われる。基板もほぼ同一だ。製品紹介で「データセンターのDNAを受け継いだ」とあるが、これがそれと言われる所以だろう。
530シリーズとベンチマーク比較
ベンチマークのテスト環境は、CPUがCore i7-4770K(3.5GHz、ビデオ機能内蔵)、メモリ8GB(DDR3-1600×2)、マザーボードがASRock「Z87 OC Formula」、OSがWindows 7 Ultimate(64bit)。比較用として、530シリーズSSD(480GBモデル)も用意した。
まずはSandForce系コントローラが得意とするCrystalDiskMarkの0Fillだが、730はシーケンシャルリード458.6MB/secと、530の500.4MB/secに後塵を拝する結果となった。512KBランダムリードも同じく振るわない。しかし書き込みに関してはほぼ同じ数字を叩きだしている。
特筆すべきなのは4KBランダムライトと、4KB QD32ランダムリード/ライトの結果。いずれも530シリーズを大きく上回るため、細かいファイルのコピーなど、実際の利用ではかなりの差があると思われる。
一方でSandForce系が苦手の圧縮しにくいCrystalDiskMarkランダムデータでは、530と大きく差が開きトップクラスの書き込み性能を発揮した。ただしこのベンチマークでは公称の550MB/secには程遠い結果となった。
SSDのベンチマークに適したと言われるATTO Disk Benchmarkでは、4KB~32KBサイズのデータの書き込みを除いては530シリーズに敵わない結果となった。512Byte~2KB程度のデータの書き込みは極端に遅いが、ここはNANDを長く使おうとするアルゴリズムが働いているのかもしれない。ATTOでも550MB/secの数字を拝むことはできず、やや残念なところだ。
ベンチマークこそ最高速ではないが、一般的な利用で20GB/日の書き込みが前提で3年程度の保証をつけているSSDが数多く存在する中、70GB/日の書き込みで5年の寿命を謳っており、無圧縮のフルHD/4K動画編集を行なうヘビーユーザーや、「確かに20GB/日使うかと言われたら使わないだろうが、それでも心配する」ユーザーにとって、良い選択肢となるだろう。