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TITANより安くて速い「GeForce GTX 780 Ti」ベンチマーク

 NVIDIAは11月7日、新たなハイエンドGPU「GeForce GTX 780 Ti」を発表した。今回、同GPUを搭載するビデオカードをテストする機会を得たので、ベンチマークテストでその実力を探ってみた。

ゲーム用途での最上位モデルとなるGeForce GTX 780 Ti

 GeForce GTX 780 Ti(以下GTX 780 Ti)は、28nmプロセスで製造されたKeplerアーキテクチャ採用GPUコア「GK110」ベースのハイエンドGPUだ。GK110コアは、GeForce GTX TITAN(以下GTX TITAN)やGeForce GTX 780でも採用されている。

 GTX 780 TiのGK110コアは、CUDAコア192基とテクスチャユニット12基などから構成されるStreaming Multiprocessor eXtreme(SMX)を15基備える。これは、GeForce GTXシリーズの最上位モデルであるGTX TITANの14基より1基多い数であり、合計2,880基のCUDAコアと、240基のテクスチャユニットを備える。

 GPUクロックは875MHz。なお、GTX 780 Tiは、自動オーバークロック機能「GPU Boost 2.0」をサポートしており、負荷状況やGPU温度に応じてより高いクロックで動作する。GPU Boost 2.0動作時の平均的な動作クロックである、Boostクロックは928MHz。

 ビデオメモリには、7GHz相当で動作する3GBのGDDR5メモリを備えており、384bitのメモリインターフェイスでGPUと接続している。メモリ容量については、GTX TITANの6GBから半減となるが、メモリクロックは6GHzから7GHzへと向上しており、メモリバスの帯域幅は288.4GB/secから336GB/secへと強化された。

 価格はGTX TITANの999ドルより安い699ドルに設定されているが、NVIDIAはGeForce GTX 780 Tiのポジションについて、ゲーミング用途では最高のGPUであるとしている。

【表1】GeForce GTX 780 Tiの主要スペック
  GeForce GTX 780 Ti GeForce GTX TITAN GeForce GTX 780
アーキテクチャ Kepler (GK110) Kepler (GK110) Kepler (GK110)
プロセスルール 28nm 28nm 28nm
GPUクロック 875MHz 836MHz 863MHz
Boostクロック 928MHz 876MHz 900MHz
CUDAコア 2,880基 2,688基 2,304基
テクスチャユニット 240基 224基 192基
メモリ容量 3GB GDDR5 6GB GDDR5 3GB GDDR5
メモリクロック(データレート) 1,750MHz(7,000MHz相当) 1,502MHz(6,008MHz相当) 1,502MHz(6,008MHz相当)
メモリインターフェイス 384bit 384bit 384bit
ROPユニット 48基 48基 48基
TDP 250W 250W 250W
GTX 780 Tiのスペック

リファレンスボードはGTX TITAN、GTX 780のデザインを踏襲

 今回、テスト用としてNVIDIAより借用したGTX 780 Ti搭載ビデオカードは、同GPUのリファレンスボードだ。GTX TITANで採用されたものとよく似たVGAクーラーを搭載している。VGAクーラーの設計そのものに大きな変更点は無いが、VGAクーラー表面に刻印されたGTX 780 Tiの文字と、アクリル製ウインドから覗くヒートシンクの放熱フィンに、黒色のカラーリングが施された。

 ディスプレイ出力ポートは、DVI-D、DVI-I、HDMI、DisplayPortを各1系統ずつ備えており、補助電源供給用コネクタは6ピン+8ピン仕様となっている。

GTX 780 Tiのリファレンスボード
放熱フィンとGPU名の刻印が黒くカラーリングされた
基板上部のSLI端子
ブラケット部のディスプレイ出力
補助電源コネクタは6ピン+8ピン

テスト環境

 それでは、ベンチマーク結果の紹介に移りたい。GTX 780 Tiの比較対象として、GTX TITANとRadeon R9 290X(以下R9 290X)のスコアを用意した。なお、GTX TITANとR9 290Xのベンチマークスコアについては、Radeon R9 290Xレビュー記事より流用した。

【表2】テスト機材
GPU GTX 780 Ti GTX TITAN R9 290X
CPU Intel Core i7-4770K (3.5GHz/Turbo Boostオフ)
マザーボード MSI Z87A-GD65 GAMING
メモリ DDR3-1600 4GB×4
(9-9-9-24、1.5V)
ストレージ 120GB SSD (Intel SSD 510シリーズ)
電源 Antec HCP-1200 (1,200W/80PLUS GOLD)
グラフィックスドライバ GeForce 331.70 GeForce 331.58 Catalyst 13.11 BetaV5
OS Windows 8 Pro 64bit

DirectX 11対応ベンチマークテスト

 まず、DirectX 11対応ベンチマークテストの結果から確認する。実施したテストは、「3DMark - Fire Strike」(グラフ1、2)、「3DMark11」(グラフ3、4)、「Stone Giant DX11 Benchmark」(グラフ5)、「Alien vs. Predator DX11 Benchmark」(グラフ6、7)、「Unigine Heaven Benchmark 4.0」(グラフ8)。

【グラフ1】 3DMark - Fire Strike [Default / 1,920×1,080]
【グラフ2】 3DMark - Fire Strike [Extreme / 2,560×1,440]
【グラフ3】 3DMark11 v1.0.5 [Performance / 1,280×720]
【グラフ4】 3DMark11 v1.0.5 [Custom(Extreme) / 2,560×1,440]
【グラフ5】 Stone Giant DX11 Benchmark
【グラフ6】 Alien vs. Predator DX11 Benchmark [1,920×1,080]
【グラフ7】 Alien vs. Predator DX11 Benchmark [2,560×1,080]
【グラフ8】 Unigine Heaven Benchmark 4.0 [DX11/2,560×1,440]

 GTX 780 Tiのスコアは、多くのテストでGTX TITANを上回っている。両GPUのスコア差は概ね5%前後と1割に満たない差だが、999ドルのGTX TITANを699ドルのGTX 780 Tiが上回ることの意味は大きい。

 ライバルとなるRadeon R9 290Xとの比較では、テストによって優劣が分かれる結果となった。大半のテストでは互角と言ってもさしつかえ無い程度のスコア差だが、テッセレーション処理を多用する「STONE GIANT」では、テッセレーションをExtreme設定にR9 290X相手に30%弱という大差をつけている。Keplerアーキテクチャ採用GPUの強みである強力なテッセレータは、R9 290Xに対してもアドバンテージとなっている。

DirectX 9/10対応ベンチマークテスト

 続いて、DirectX 9対応ベンチマークと、DirectX 10対応ベンチマークの結果を紹介する。実施したテストは「3DMark Vantage」(グラフ9、10)、「3DMark - Cloud Gate」(グラフ11)、「3DMark06 v1.2.1」(グラフ12、13)、「3DMark - Ice Storm」(グラフ14)、「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」(グラフ15)、「MHFベンチマーク【大討伐】」(グラフ16)、「BIOHAZARD 6」(グラフ17)、「PSO2ベンチマーク」(グラフ18)、「Unigine Heaven Benchmark 4.0」(グラフ19)。

【グラフ9】 3DMark Vantage v1.1.2 [Performance / 1,280×1,024]
【グラフ10】 3DMark Vantage v1.1.2 [Custom(Extreme) / 2,560×1,440]
【グラフ11】 3DMark - Cloud Gate [Default / 1,280×720]
【グラフ12】 3DMark06 v1.2.1 [1280×1024 / Default]
【グラフ13】 3DMark06 v1.2.1 [2,560×1,440 / 8x AA / 16x AF]
【グラフ14】 3DMark - Ice Storm [Default / 1,280×720]
【グラフ15】 ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編
【グラフ16】 MHFベンチマーク【大討伐】 [DX9]
【グラフ17】 BIOHAZARD 6 [DX9 / 高負荷設定(FXAA3HQ)]
【グラフ18】 PSO2ベンチマーク(1,920×1,080/フルスクリーン)
【グラフ19】 Unigine Heaven Benchmark 4.0 [DX9/2,560×1,440]

 GTX TITANとの比較では、DirectX 11対応ベンチマークテスト同様、多くのテストで5%前後のGTX 780 Tiが高いスコアを記録しているのだが、「PSO2ベンチマーク」では約12〜15%と、他のテストに比べ大きなスコア差がついている。PSO2ベンチマークは比較的GPUのメモリ帯域幅がスコアに反映されやすいベンチマークテストで、この差がついたのは、メモリクロックの向上により、メモリ帯域幅が288.4GB/secから336GB/secへと強化されたことによるものであると考えられる。

 R9 290Xと比較すると、DirectX 9世代の代表的なベンチマークテスト「3DMark06」ではR9 290Xの後塵を拝するものの、同じDirectX 9対応ベンチマークの「BIOHAZARD 6」、「ファイナルファンタジーXIV」ではR9 290Xを上回り、「PSO2ベンチマーク」でも描画設定を高めるとR9 290Xを逆転している。実際のゲームをベースにしたベンチマークテストでR9 290Xに対して優位なのは好印象だ。

消費電力の比較

 最後は、消費電力の測定結果だ。消費電力は、サンワサプライのワットチェッカー(TAP-TST5)を利用して、各テスト実行中の最大消費電力を測定した。

【グラフ20】 システム全体の消費電力

 アイドル時の消費電力において、GTX 780 Tiは比較製品中もっとも低い数値となる43Wを記録した。明らかにアイドル時消費電力が抑制されていると言えるほどの結果ではないが、最も高かったR9 290Xとの差は7Wと、それなりに差がついている。

 各ベンチマークテスト実行中の消費電力は、GeForce GTX TITANとほぼ同等の結果となった。PSO2ベンチマーク実行中の消費電力のみ、GTX TITANより20W高い消費電力となっているが、同ベンチマークテストではGTX TITANとのスコア差も比較的大きい。消費電力の差は、発揮したパフォーマンスの差であると考えて良いだろう。

 競合製品となるR9 290Xとの比較では、いずれのテストでもR9 290Xの消費電力を下回っており、その差は29〜59W。消費電力あたりの性能という点においては、GTX 780 Tiが優位な結果と言えよう。

699ドルでGTX TITANを超えるゲーミング向けGPU

 以上の通り、GTX 780 TiはGTX TITANを超えるパフォーマンスを持ったGPUだ。ゲームでの性能に期待してビデオカードを購入するユーザーにとって、999ドルのGTX TITANを超えるパフォーマンスを実現したGPUが、699ドルで購入できるというのは魅力的だろう。

 ライバルとなるRadeon R9 290Xに対しては、DirectX 11環境ではテッセレーション、DirectX 9環境では実ゲームベースのベンチマークテストで強みを見せた。R9 290Xには、AMD独自API「Mantle」という、パフォーマンスアップの余地が存在するが、これがどれだけの効果を発揮するのか、どれだけ普及するかは未知数だ。既存のゲーム、特にNVIDIA製GPUへの最適化が行なわれているタイトルをプレイするのであれば、GTX 780 Tiを選ぶ意義は大きい。

 Radeon R9 290X/290の登場により、GTX TITAN一強時代は終わりを告げ、NVIDIAとAMDの競争が一気に激化した。GTX TITANを超える性能を持つGTX 780 Tiが、699ドルという価格で登場することになったのは、549ドルで発売されるRadeon R9 290Xがあってこそだろう。高性能なGPUがより安く購入できるようになる両社の競争を歓迎したい。

(三門 修太)