2014年7月23日

2014年7月22日

2014年7月19日

ZOTACの127mm角超小型ベアボーンを試す

ZBOXNANO-AD10-PLUS。女性の手でも軽々持ち上げられる

発売中
価格:オープンプライス



 株式会社アスクから、AMD E-350(1.60GHz)を搭載したZOTAC製の超小型ベアボーンキット「ZBOXNANO-AD10」(以下ZBOXNANO)が発売された。価格はオープンプライスで、実売価格は27,500円前後だ。今回、メモリ2GBと320GB HDDを組込み済みの「ZBOXNANO-AD10-PLUS」(実売価格は35,000円前後)を借用することができたので、レポートをお届けしたい。

●CDケースのフットプリントにフルPCを搭載

 まずはパッケージと付属品から見ていこう。

 パッケージはMini-ITXのマザーボードほどの大きさであり、その大きさからとてもPCが入っているとは思えないほど。内容物はマニュアルのほかに、ドライバCD、Windows Media Center用リモコン、リモコンレシーバ、リモコン用電池、無線LANアンテナ、VESAマウンタ、ACアダプタと、PCとしても非常に豊富だ。

 では早速、注目のZBOXNANO本体を見ていこう。本製品の驚くべきところは、なんといっても本体サイズが127×127×45mm(幅×奥行き×高さ)と、非常にコンパクトであることだ。そのフットプリントは、12cmのCDを入れるプラスチック製ケースよりも小さく、机の上に置くにしてもディスプレイスタンドの上で十分なほどだ。

 また、仕上げのクオリティも高く、筐体のフレームはアルミ製のマット仕上げで質感が高い。Core 2 Duo世代のMac miniを彷彿とさせるデザインだ。一方、天板は黒をベースとしたプラスチック製のもので光沢があり、指紋やホコリが目立ちやすい。天板は電源ON時に緑の円が中央に浮かび上がるデザインであり、これもまた(良い意味で)Macのリンゴマークを模倣したようなものとなっている。

ZBOXNANO-AD10-PLUSのパッケージ パッケージの内容。付属品はかなり豊富 ZBOXNANO本体
本体上面は光沢仕上げ 電源をONにすると緑の円が浮かび上がるギミック 本体は127mm角。フットプリントはかなり小さい
Appleの外付けSuper Driveよりもフットプリントが小さい CDのスリムケースよりも奥行きがやや少ない CDケースと並べると、本体の小ささがよくわかる

 このサイズを実現した低消費電力CPUを搭載した小型ベアボーンキットなら、かなり前からいくつか発売はされているものの、どちらかと言えば組込み用途や工業用途向けのような、無骨なデザインのものが多い。そのため、本製品のデザインは好感が持てる。

 本体は小型ではあるものの、PCとしてのインターフェイスは一通り揃っており、前面にSDカード/メモリースティック(PRO)/xD-Picture Card対応カードリーダ、リモコンレシーバ、音声入出力を、背面にUSB 3.0×2、USB 2.0×2、eSATA、DisplayPort、HDMI出力、Gigabit Ethernet、無線LANアンテナコネクタなどを装備している。このサイズでUSB 3.0、DisplayPortを搭載したことは評価できるだろう。

 排気口は本体左側面、吸気口は背面下部に装備。今回は時間の都合上、マザーボードを取り外して確認できなかったが、動作音や排気の状況からみてファンを内蔵しているようだ。Windowsインストール中など、CPUのクロックコントロールが効かない環境下では、それなりの排熱を持つ。動作音に関しても、HDDを利用している関係もあって、無音ではない。とは言うものの、フルロード時の排熱は一般的な15.6型ノートPCよりやや低め、騒音に関してはノートPCと同等ぐらいだと感じた。デスクトップPCとして見れば、熱と騒音はかなり抑えられている印象だ。

本体前面にSDカード/メモリースティック(PRO)/xD-Picture Card対応カードリーダを装備 本体右側面はフラットだが、底面を開けるときに指を引っ掛ける場所をエンボス加工でプリント
本体背面のインターフェイスは非常に豊富。底部に吸気口も見える 本体左側面に排気口が見える

 付属のリモコンは、基本Windows Media Center準拠のものだが、電源のON/OFFが行なえるのが特徴だ。

 本体前面にリモコンレシーバを装備しながらも、USBレシーバが付属している時点で、既にお気づきの方はいると思うが、実は本体側のリモコンレシーバは電源のON/OFFのみができるもので、USBレシーバはWindows Media Centerの操作のみができるものだ。 

付属のリモコン 電池はマザーボードでもお馴染みのCR2032ボタン式で、背面に装着する USBレシーバはMedia Center専用で、電源のON/OFFは本体前面のレシーバを利用

 つまり、本製品はせっかくディスプレイの後ろに本体をマウントできるVESAマウンタが付属しているのにもかかわらず、USBレシーバを前面から見えるところに設置して、本体の電源をリモコンでON/OFFする、といった使い方はできず、電源ONのたびにディスプレイの後ろに回りこまなければならない。

 おそらく、本製品の想定ユーセージは2つあるのだろう。1つ目は本製品をリビングのTVの横に置いて、HDMIで出力しながら、Windows Media CenterやYouTubeなどを楽しむ家庭でのシーンを想定。2つ目は電源を付けっぱなしにしておいて、VESAマウンタでディスプレイと一体化してDisplayPortで接続し、店頭でのデモ展示などのシーンを想定しているのだろう。両方のニーズにも応えられるようにした結果、この形になったと思われる。というわけで、家庭における一般的な用途では、付属のVESAマウンタを利用せず、TVやディスプレイの横に置くのが良いだろう。

 さて、ベアボーンとして、組込みの容易度も重要だが、本製品は底面の足にもなっているネジを4本外すだけで、メモリスロットとHDDにアクセスできる。仕様表によると、搭載チップセットはAMD M1。対応メモリはDDR3 SO-DIMM×1で、容量は4GBまでをサポートする。空きベイは2.5インチシャドウ×1。SATAは6Gbpsをサポートする。なお、先述のようにお借りしたのはメモリとHDDを組込み済みのモデルだが、試用した個体にはMicron製メモリモジュールとSamsung製HDDが搭載されていた。また、無線LANモジュールも見えるが、チップはAtheros製(現Qualcomm Atheros)のコンボチップのようだ。

 付属のACアダプタは65Wのタイプ。本体の消費電力から考慮するとかなり余裕のある選択と言えよう。大きさも一般的な65Wアダプタとそれほど変わらず、大きすぎず小さすぎずといった印象。電源コードは太い3ピンタイプだが、持ち運びを想定していないので、特に問題にはならないだろう。

本体底面の足にもなっているネジを取り外すと、内部にアクセスできる 基本的にユーザーはHDDとメモリだけを装着すれば良い 付属のACアダプタは65Wタイプ

 全体的にハードウェアの仕様を見る限り、(マザーボード製品もそうであったが)ZOTACらしい豊富な内容であり、満足度は高い。

●BIOS/ソフトウェア、実際の使用感など

 続いて、BIOSとソフトウェア周りを見ていこう。

 本製品はベアボーンという製品の性質上、単体のマザーボード製品と比較すると、BIOSでカスタマイズできる項目がかなり限られている。CPUのクロックやベースクロック、メモリクロックなどは変更できず、唯一変更できるのはメモリの電圧のみ(とは言うものの意味があまりない)。しかしながら、CPUの機能やオンボード機能のON/OFF、ACPI関連の設定、CPUファンの速度設定など、ある程度カスタマイズの余地は残されており、このあたりはメーカー製PCよりも設定項目が多いと言える。なお、BIOSはUEFIベースで、マウスでの操作が可能だった。

BIOSに入るとお馴染みの日付/時計設定画面になる ACPIに関する設定 CPUに関する機能設定
USB関連の設定 ファンの設定も行なえる メモリの電圧設定が可能だが、あまり意味を成さないだろう
チップセット機能に関する設定。HD AudioのON/OFFなども行なえる ブートデバイス順番の設定 終了画面では、指定したブートデバイスから起動することも可能

 付属のDVDは、収録されているのはディスプレイドライバ、無線LAN/Bluetoothドライバ、ネットワークコントローラドライバ、USB 3.0コントローラドライバなど、ドライバのみとなっており、ユーティリティ類は一切ない。以前マザーボードをレビューしたときもそうであったので、ZOTACらしい仕様といえるのかもしれない。

 余談だが、無線LAN/BluetoothモジュールのドライバはWindows XP/7専用で、Vistaには非対応。無線LANのみ、Vista環境では別のフォルダに収録されているものを手動で導入可能だが、Bluetoothは動作しない。

 今回は試しにWindows 7 Ultimate(64bit)をインストールし、CrystalMark 2004や3DMark06などのベンチマーク類も取ってみたが、AMD E-350マシンとしては標準的なスコアであり、ネットサーフィンや動画視聴など、通常用途においてはストレスを感じることはなかった。

デバイスマネージャーで主要デバイスをみたところ 試用した個体の搭載HDDはSamsungの「HM321HI」だった YouTubeで1080pの動画を再生したところ。GPUアクセラレーションが効いており、余計なCPU負荷さえなければ、コマ落ちはなくなめらかだった
Windowsエクスペリエンス インデックスの結果 CrystalMark 2004R3の結果。E-350搭載マシンとしては標準的だ 3Dmark06で1,920×1,200ドット(WUXGA)のスコア。軽い3Dゲームなら動くであろうが、近年のFPSなどの3Dゲームはほぼ不可だと考えて良い

●リビングで置くにはちょうどいい

 この1週間ほどZBOXNANOを触って思うのは、やはりこの製品はリビングのTVに繋げて利用するのに適した端末であるということだ。

 もちろん、本製品はインターフェイスが非常に豊富であるし、筐体もコンパクトであるから、システムドライブにSSDを内蔵し、外付けUSB 3.0 HDDを使ってファイル共有で簡易サーバーとして使うことも、Blu-ray Discドライブを繋げて映画を観ることも、はたまた無線LANアクセスポイントとして設定することもできる。汎用PCであるだけに、自由度は無限大だ。しかしながら色々やろうとすると背面のケーブル配線が煩雑になり、せっかくのコンパクトさの魅力も半減してしまう。

 というわけで、本製品には必要最低限のインターフェイスのみをつなぎ、無線でネットのクライアントとして、インターネットの動画コンテンツやMedia Centerでの音楽鑑賞、SDカードなどに保存された写真の鑑賞など、スマートな用途にお勧めしたい。

(2011年 9月 8日)

[Reported by 劉 尭]