各社の2009年最新Bluetoothマウスを試す


今回試した5製品

 ネットブックの普及によって、1つ身近になったものとして挙げられるのがBluetoothだ。Bluetoothという規格自体は古くからあったが、ライセンス料が高価であったためかPCへの搭載がなかなか進まず、ノートPCではハイエンドモデルのみに搭載されるという状況が続いた。

 ところが2008年7月からこの状況は一変した。MSIのネットブック「Wind Netbook U100(当時の名称はWind Notebook U100)」がBluetoothの増設サービスを開始したことを筆頭に、ASUSTeKもネットブック「Eee PC 901-X」にBluetooth 2.0+EDRを標準搭載。その後瞬く間に各社のネットブックにBluetoothがほぼ標準装備となり、一気に身近なものとなった。

 そこで今回は、Bluetoothをあらかじめ搭載しているネットブックやノートPCなどに最適な、各社のBluetoothマウスを一通り試してみた。


●Bluetoothマウスのメリットとデメリット

 まずBluetoothマウスを購入する前にメリットとデメリットをおさらいおこう。

 メリットは、Bluetooth内蔵PCで使う場合、ドングルなどが本体からはみ出さずに済むことだ。無線マウスなどを利用する場合、ドングルなどが本体からはみ出してしまい格好悪いが、BluetoothがPCに内蔵されていればその問題はない。

 もちろん、はみ出しが少ないドングルを利用した製品なども登場しているが、それでもはみ出すことには変わりがないし、いざ抜こうとすると力が入らずなかなか大変だ。その点、Bluetooth内蔵であればそのような心配もない。

 一方デメリットは、OS上でペアリングされていないと利用できないという点が挙げられる。BluetoothマウスはHIDプロファイルを利用するため、OSインストール時などには使えない。よって、基本的にOSインストール済み環境での利用が前提である。

 また、電池寿命が短いというのも欠点だ。独自の無線方式を使う無線マウスの場合、例えばロジクールの「V550 Nano」のように最長18カ月の電池寿命を謳う製品も登場しているが、Bluetoothマウスでは一例として最も長いマイクロソフトの「Bluetooth Notebook Mouse 5000」でも約3カ月だ。

 このようにBluetoothマウスを選ぶ前に、デメリットも承知した上で検討すると良いだろう。

●マイクロソフト「Bluetooth Notebook Mouse 5000」

 Bluetooth Notebook Mouse 5000は3月に発売された製品。価格は4,935円だが、実売は3,500円前後からとなっている。小型の筐体を採用するほか、収納ポーチが付属し、モバイル向けを謳っている。

 一見、オーソドックスな左右対称デザインだが、サイドボタンは左にしかついておらず、右利き用である。電池は単4型×2を利用し、本体底面に収納される。電池寿命は3カ月だ。なお、製品情報などには記されていないが、電池は並列接続のため、1個でも駆動可能だ。本体底面には電源スイッチとペアリングボタンも用意されている。

 センサーはレーザー式で解像度は1,000dpi。ホイールはチルト非対応のクリック感のあるタイプだ。本体サイズは約56×91×36mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約88gとなっている。

 さすがにモバイル向けを謳っているだけであって、非常に軽量だ。クリックはいずれのボタンも軽快で、特にサイドボタンは軽くて押しやすい。ホイールはしっかりとしたクリック感が得られる一方で、やや煩く感じた。

Bluetooth Notebook Mouse 5000 本体前面 本体後部
本体右側 本体左側 本体底面
携帯ポーチが付属する 本体重量

 本製品はマイクロソフトマウス製品でお馴染みのユーティリティ「IntelliPoint」には対応していない。これはノートPCにあらかじめ組み込まれているユーティリティとの干渉を防ぐためだろう。なお、今回試した製品の中で唯一、Windows 7 RCのデバイスセンターにおいて独自のアイコンで表示された。

Windows 7のデバイスセンターで、唯一独自のアイコンで表示される レポートの間隔が2回ずつつめられている

 実際の使用感だが、残念なことにポインタがややブレ気味であまりよろしくない。シグマA・P・Oシステム販売から提供されているMouseTestで調べたところ、レポートレート自体は100回/秒を超えるものの、レポートの間隔が2回ごとに詰まっていることがわかった。これがブレの原因だろう。通信の問題かセンサーの問題かははっきりしないが、改善を望みたい。

 ただ、約3カ月の電池寿命や電池1本駆動、88gの軽量性など、携帯性は今回試した製品の中でトップクラスだ。レポートレートの不安定さを差し引いても、外出先で使うには最も有力な選択肢になるに違いない。

□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/ja/jp/
□製品情報
http://www.microsoft.com/japan/hardware/mouse/bl_note5000.mspx
□関連記事
【2009年3月9日】マイクロソフト、Bluetooth対応のサイドボタン付きマウス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2009/0309/microsoft.htm

●ロジクール「M555b」

 M555bはロジクールが7月3日に発売した最新の製品だ。価格はオープンプライスで、実売価格は4,980円前後となっている。

 本製品の最大の特徴はやはりホイールの「Hyper-fastスクローリング」機能だろう。ホイールをクリックすると、クリック感のある回転と、スムーズに慣性で回転するモードを切り替えられ、後者では長い文書を高速にスクロールできるのが特徴だ。

 本体のデザイン(ロゴの位置の違いはあれど)は左右完全対称であり、左右どちらの手にもフィットする。欠点は「進む」、「戻る」ボタンがないことで、これらを多用するユーザーには不便だろう。電池は単3型×2で、電池寿命は約2.5カ月だ。今回取り上げた機種で唯一単3形乾電池を2本使用するため、重量は一番重い117gとなっている。

 センサーはレーザー式で解像度は1,000dpi。ホイールはチルト対応となっている。また、ホイール下部にプログラムの切り替えが行なえるスイッチを装備する(ドライバ必須)。底面には電源のON/OFFスイッチと、ペアリング用ボタンを備える。本体サイズは58×99.4×34mm(同)だ。

M555b 本体前面 本体後部
本体右側 本体左側 本体底面
バッテリ室は外枠を外すと見える 本体重量 本製品最大の特徴のHyper-fastスクローリング付きホイール

 本製品はマイクロソフト製品とは対照的に、基本的にはユーティリティソフト「SetPoint」のインストールを要する。そうでなければホイール下部のプログラム切り替えスイッチが一切働かないからだ。なお、このSetPointはBluetoothマウス専用版で、VAIO type PのAlps製ドライバとは干渉することはなかった。

 また、Windows 7 RCでは非対応のOSであるとインストール時に警告されるものの、インストール自体は完了した。Windows 7ではマウスのプロパティから設定しようとするプロパティのシートが落ちてしまうが、タスクトレイに常駐しているのでそこからアクセスすればよい。独自のアプリケーション スイッチャも機能する。

 実際に利用してみると、特に縦の解像度が限られている環境では、特徴であるホイールが便利に感じた。筆者が常時利用しているのはVAIO type Pで、横の解像度こそ1,600ドットあるわけだが、縦が768ドットと情報量が少なく、長いWebページなどではHyper-fastスクローリングが重宝する。これがネットブックなどになると縦600ドットになるわけで、その恩恵はさらに大きくなるだろう。

 一方、ポインタの飛びやブレなどは感じられない。MouseTestでは、レポートレートは90回/秒とやや少ないが、レポートの間隔は均等であるため、実用上特に問題はない。

付属のSetPointユーティリティではさまざまな設定が行なえる レポートレートは90回/秒とやや少なめ

 本製品はユーティリティのインストールが前提で、重量がやや重いという観点からすると、持ち運びよりも機能性や快適性を重視するユーザー向けの製品だと言える。ノートPC内蔵のポインティングデバイスに不満があり、本製品に完全に置き換えたいなら有力な選択肢になるだろう。

□ロジクールのホームページ
http://www.logicool.co.jp/
□製品情報
http://www.logicool.co.jp/index.cfm/mice_pointers/mice/devices/5747&cl=jp,ja
□関連記事
【2009年6月17日】ロジクール、高速スクロール対応ホイール搭載のBluetoothマウス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20090617_294361.html

●シグマA・P・Oシステム販売「SBTP01」

 SBTP01は、シグマA・P・Oシステム販売のBluetooth周辺機器ブランド「bluetribe」シリーズの名を冠する、同社初のBluetoothマウスだ。価格はオープンプライスで、実売価格は4,680円〜5,980円となっている。

 この製品の特徴はボタン1つで800/1,200/1,600dpiを3段階切り替えられること。解像度を切り替えられるマウスはゲーム用途向けでは多いが、一般用途向けでは少なく、ましてBluetoothになると珍しい(後述するエレコムの製品も対応するが)。

 本体は右手専用のデザインで、本体両側に大型の滑り止めラバーを装備しており、フィーリングは良い。親指を添える箇所の上に「戻る」と「進む」ボタンを装備しており、Webブラウズなどでは便利だ。

 センサーはレーザー式。ホイールはチルト非対応となっている。本体サイズは66×109×38mm(同)と、今回試した製品の中では大きい部類に入る。重量は電池を入れた状態で約104gと中堅クラスだ。電池は単4型×2で、電池寿命は約36日と短い。

 余談だが、今回試した製品の中で唯一Bluetoothのロゴが印刷されていない。Bluetooth製品としては珍しいのではないだろうか。

SBTP01 本体前面 本体後部
本体右側 本体左側 本体底面
本体重量
レポートレートは100回/秒で、ブレもなく快適だ

 実際に利用してみると、人体光学デザインのフォルムもあいまって使いやすい。ポインタの飛びなどもなく、MouseTestではレポートレートが100回/秒で、レポート間隔も均等化されている。左右クリックのスイッチもオムロン製なので、安定したクリック感が得られる。ただし解像度を切り替えたときのポインタ速度の変化はあまり感じられなかった。

 ユーティリティなどは付属しておらず、ノートPCでの利用も特に支障はない。ただ持ち運ぶ場合にサイズが気になるユーザーは多そうだ。同社によれば、今回はBluetoothマウス第1弾製品ということで、スタンダードなMサイズから展開したとのことだが、他シリーズのようにSサイズでの展開も期待したい。

 本製品はブルー、ブラック、レッドの3色によるカラバリ展開となっている。無彩色が多いBluetoothマウス製品の中、本製品は魅力的ではないだろうか。

□シグマA・P・Oシステム販売のホームページ
http://www.sigma-apo.co.jp/
□製品情報
http://www.sigma-apo.co.jp/front/products/detail/SBTP01
□関連記事
【2009年6月10日】シグマA・P・O、サイドボタン×2付きのBluetoothマウス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20090610_283060.html


●エレコム「M-BT4BL」

 エレコムの「M-BT4BL」は7月上旬に発売された新製品だ。定価は7,035円となっているが、ビックカメラ有楽町本店で4,980円+10%ポイント還元で購入できた。

 目立った特徴はSBTP01と同様、解像度変更ボタンを備えている点。解像度も同じく800/1,200/1,600dpiの3段階に設定可能なので、同じセンサーを搭載している可能性はある。

 本体の形状はほぼ左右対称だが、本体左側に「進む」、「戻る」のボタンを装備しているため、右手専用だ。ボタン部はツルッとした素材、側面はザラッとした素材で構成されており、グリップ感はなかなかだ。

 センサーはレーザー式。ホイールはチルト非対応のタイプ。本体サイズは66.7×95×37.5mm(同)、重量は電池を入れた状態で約81gと今回試した中では最軽量だ。電池は単4型×2で、駆動時間は約81日間となっている。

M-BT4BL 本体前面 本体後部
本体右側 本体左側 本体底面
電池収納部 本体重量
レポートレートは100回/秒で、ブレはない

 実際の使用感だが、マウスカーソルの追従性などは問題なく、レポートレートは100回/秒でレポート間隔は均等だが、上記の3モデルと比較して左右クリックの感触がやや劣る。クリック感はあるのだが、プラスチックが凹んだような感触でチープさが伝わってくる。サイドボタンでは特に顕著だ。次モデルではブラッシュアップを望みたい。

 今回試用したのはホワイトモデルだが、このほかにシルバーとブラックモデルがある。また、センサーを光学式に変更した「M-BT3BR」シリーズ、より小型で3ボタンになった「M-BT2BR」シリーズも用意されている。エレコムらしく幅広い製品展開で、ニーズにあわせて選ぶと良いだろう。

□エレコムのホームページ
http://www.elecom.co.jp/
□製品情報
http://www2.elecom.co.jp/peripheral/mouse/m-bt4bl/
□関連記事
【2009年6月30日】エレコム、Bluetooth対応のレーザー/光学式5ボタンマウス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20090630_298509.html

●バッファローコクヨサプライ「BSMLB01」

 バッファローコクヨサプライの「BSMLB01」は2月下旬に発売された製品だ。定価は7,035円だが、ビックカメラ有楽町本店で3,980円+10%ポイント還元で購入した。

 これと言って目立った特徴や付属品はないが、量販店でも安価に入手できるのが大きなメリット。また、この価格帯でしっかり「進む」と「戻る」ボタンを装備している点も評価できるだろう。

 デザインは右利き用であり、上面から見ると本体左側が大きく凹んでいるのがわかる。後部はほどよい盛り上がりがあり、手のひらへのフィット感は良い。左右クリックの感触は良い。ただし「進む」と「戻る」ボタンが前方にあり、かつ堅いため、アクセスしづらい。他製品のように親指の上部に装備すべきだろう。

 センサーはレーザー式で解像度は1,200dpi。ホイールはチルト非対応のクリック感のあるタイプ。本体サイズは57×105×37mm(同)、電池を装備した状態の重量は約84gと軽量だ。電池は単4型×2で、駆動時間は約81日間と、エレコムの製品と同じだ。

BSMLB01 本体前面 本体後部
本体右側 本体左側 本体底面
電池収納部 本体重量
レポートレートは100回/秒で反応も良好

 実際の使用感は、マウスカーソルの追従性などに問題はなく、レポートレートも100回/秒で、間隔も均等で快適だ。センサーがやや後ろ寄りに配置されているため、動きがやや遅く感じる人もいるかもしれない。一方、ホイールは適度なグリップ感と滑らかなフィーリングで、今回テストした機種の中でもっともよかった。

 今回購入したのはブラックモデルだが、ホワイトとシルバーモデルも用意されている。さらに、実売価格で約500円前後廉価な光学式版も用意される。こちらもニーズや予算にあわせて選ぶとよいだろう。

□バッファローコクヨサプライのホームページ
http://buffalo-kokuyo.jp/
□製品情報
http://buffalo-kokuyo.jp/products/catalog/supply/bsmlb01/
□関連記事
【2009年2月10日】バッファローコクヨサプライ、Bluetooth対応の光学式/レーザー式マウス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2009/0210/bks.htm

●どれも甲乙付けがたく、用途に合わせて複数購入するのもアリ

 以上、各社の5製品を見てきたが、どれもほかにはない特徴があり、ベストチョイスはなかなか決めがたい。携帯性とバッテリ寿命で選ぶならマイクロソフト、機能性で選ぶならロジクール、品質で選ぶならシグマA・P・O、選択肢の豊富さで選ぶならエレコム、コストパフォーマンスで選ぶならバッファローコクヨサプライ、と言ったところだろうか。

 Bluetoothのマウスは、一度PCとペアリングされ、マウスが電源ONになってさえいれば、複数個あっても切り替えなどを意識せずに使えるので、職場と家庭、外出用など、別々に購入して常備しておくのが一番楽だ。

 5機種ともに甲乙付けがたいと記したが、個人的にこの中であえて選ぶならシグマA・P・OのSBTP01としたい。バッテリ寿命の短さが難だが、安心して使える一品だ。

(2009年 7月 9日)

[Reported by 劉 尭]

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