7月1日からのUQコミュニケーションズによる、モバイルWiMAXの有償サービス開始にあわせ、アイ・オー・データ機器からUSBアダプタが発売になった。その評価機を借用することができたので、使用感をお伝えしたい。
モバイルWiMAXは、UQがインフラを提供するワイヤレスWANの1つ。すでに、過去にいくつもレビューもしているので、詳細はここでは割愛するが、転送速度は理論値で最大下り40Mbps、上り10Mbpsと固定回線並みに速く、契約に使用年数やSIMカードによる縛りがなく、利用料金は4,480円の定額と、既存の3Gに比べメリットが多い。ただし、まだサービス開始から間もないこともあり、東京、神奈川、大阪、名古屋の一部都市でしか使えず、その範囲であっても特に室内などでは電波状況が芳しくないといったデメリットも抱える。
これまで、モバイルWiMAXの外付けアダプタは、UQの純正品のみが販売されていた。モバイルWiMAXは標準規格に基づいているので、海外で売られているアダプタでも接続できる。ただし、それはあくまでも理論上の話で、実際にはつながらない場合もある。
今回紹介するアイ・オー・データ機器のUSBアダプタ「WMX-U01」は、もちろんUQコミュニケーションズによる認定を受けたものだ。価格はオープンプライスで、実売価格は14,800円。UQ純正品のUSBタイプが12,800円なのと比べると、若干割高だ。ただし、UQ純正品は基本的に購入時にUQとの回線契約が必要だが、WMX-U01なら店頭で単体購入できる。また、UQ以外のMVNOでも利用できるというメリットがある。
本体サイズは、約27×63×15mm(幅×奥行き×高さ)と、表面の大きさはUQ純正の「UD01SS」とほぼ一緒だが、4mmほど厚い。といっても、十分小さく、ポケットに入れてもかさばらない。重量も約16gと軽い。
USBコネクタは回転収納式で、180度以上に回転できる。PCに対して垂直になるように取り付けると、内側に接続を示すLEDが見える。繋がっていれば普段は気にしないが、UQ純正品は外側にあり、いざというときに確認しづらいので、WMX-U01の方が好ましい。
WMX-U01の裏面。LEDはこの面にある。コネクタは回転式 | コネクタは180度を超えて広げられる |
表面的なサイズはUQ純正のUD01SSとほぼ同じ | 厚みは若干厚い |
PCに接続すると、CD-ROMドライブとしてまず認識され、内蔵メモリに収録されたインストーラから、ドライバおよびユーティリティをインストールできるので、光学ドライブがないネットブックでも困らない。ちなみに、ドライバはデジタル署名されておらず、Windows Vista環境ではインストールの最中に警告が表示される。マニュアルにもその旨が記載されているのだが、大手メーカーなのだからこのあたりはきっちり署名付きドライバを提供して欲しい。
インストールが終了したら、ユーティリティを起動する。電波が届いていれば、その状況が1~5本のアンテナで表示されるので、「接続する」ボタンを押す。
初回接続時は、ブラウザが自動的に起動し、「WiMAX統合ポータルスタートページ」にリダイレクトされ、ここでプロバイダを選ぶことになる。7月2日時点では、UQ以外に、MVNOとしてニフティ、NECビッグローブ、ダイワボウ情報システム、ヤマダ電機、ラネット(ビックカメラ)もサービスを提供している。この画面から新規に契約することもできるし、契約済みの場合はそのプロバイダを選ぶ。
ちなみに、編集部ではすでにUQと回線契約を結んでいる。UQでは1契約につき3台までのアダプタを使えるようになっている。今回のテストでは、UQの登録ページで、WMX-U01(のMACアドレス)が認識され、追加のボタンを押すだけで、簡単に追加登録できた。
WMX-U01をPCにつなぐと、内蔵メモリがCD-ROMドライブとして認識 | ドライバはデジタル署名されていないので、警告が出るが、利用に問題はない |
ユーティリティの画面。接続/切断操作のほか、電波状況が確認できる | 初回接続時は、プロバイダの選択/契約を行なう |
回線が繋がったところで、速度計測を行なってみた。比較にはUQのUD01SSを使った。なお、WMX-U01はミツミ電機製、UD01SSはシンセイ製だ。
当編集部のある建物周辺は、WiMAXの電波状況が芳しくない。実際、UD01SSをつなげて、電波状況を確認してみたところ、辛うじてアンテナが1本立つかどうかというレベル。建物の周囲100mくらいを歩いて回ってみたが、状況は変わりなかった。
しかしながら、編集部の中でもWMX-U01では、3本のアンテナが立った。ユーティリティが違うため、この結果をして、WMX-U01の方が感度が良いとは言い切れないものの、速度にも期待が持てる。
速度の計測はスピード測定サイト「speed.rbbtoday.com」を利用し、3回計測した平均を求めた。すると、UD01SSの下り8.9Mbps、上り328Kbpsに対し、WMX-U01は下り6.8Mbps、上り600Kbpsという結果になった。つまりWMX-U01の方が上りは速いが、肝心の下りが遅い。
続いて、編集部のある建物で一番電波状況の良い7階に移動して同じように測ってみた。ここでは、UD01SSはアンテナ3本だが、WMX-U01では4本たった。結果は、UD01SSの下りが6.9Mbps、上りが1.74Mbps、WMX-U01の下りが9Mbps、1.30Mbpsと状況が逆転した。
精密な検証ではないので、この結果を持ってして断言することはできないが、WMX-U01は、ユーティリティ上のアンテナ感度はUD01SSよりも良いが、実性能は必ずしも勝るとは限らない。とはいえ、UD01SSとWMX-U01の差は誤差の範囲内と言え、体感性能はほぼ同じと言っていいだろう。
(2009年 7月 3日)
[Reported by 若杉 紀彦]