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修理や建造ができる空飛ぶ3Dプリンタが開発

 米New Scientist誌が7日付け(現地時間)で、インペリアル・カレッジ・ロンドン校のミルコ・コバック氏らが開発した「空飛ぶ3Dプリンタ」に関して報じている。

 コバック氏らは既製品のクアッドコプターと3Dプリンタのヘッドを組み合わせ、「Micro Aerial Vehicle」(MAV)と呼ばれる安価な空飛ぶ3Dプリンタを開発した。MAVには、混合するとウレタン樹脂を生成する2種類の化学物質が搭載されており、飛びながらこの樹脂を3Dプリンタヘッドから出すことで、造形を行なうことができる。

 昨今のドローンと3Dプリンタの隆盛ぶりを見ていると、想像に難くない組み合わせだが、意外にも(?)、これが世界初の空飛ぶ3Dプリンタだという。

 主な用途としては災害対策となっており、複数台で協調して壊れた屋根を修理したり、橋を建設したりするほか、核施設から廃棄物を移送するといったことも想定されている。廃棄物の移送にあたっては、樹脂をコンテナの上に垂らし、それが固まったところで引っ張り上げ、空輸する。

 MAVは半自動制御が可能で、New Scientist誌が公開している動画では、目的地の座標を入力すると、GPSやセンサーを使ってそこまで飛んでいき、箱の上に樹脂を垂らす。続いて、3Dプリンタを内蔵しないヘキサコプターが飛来し、箱の上にしばらく留まると、樹脂が固まるので、その後に飛び去る様子が収められている。動画には写っていないが、改造したKinectを搭載し、周囲の地形状況などを解析する機能を持ったものも開発した。

 ヘキサコプターは2.5kgまでのものを持ち上げられるが、今後40kgまで耐えられるよう改良予定。また、現在は一般的バッテリを搭載しているが、ソーラーパネルによる充電機能も搭載の予定。3Dプリンタ搭載機が、木の上の方に「巣」を作り、そこで充電しては、繰り返し任地に赴き、使命を遂行するといったことも考えられている。

(若杉 紀彦)