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生きたゴキブリの体内で動作し、8bitの演算性能を持つDNA型コンピュータ

 イスラエル バル・イラン大学の研究チームが、生きたゴキブリの体内で、任意の場所に薬を投与するナノボットを開発したとNewsScientist誌が8日付けで報じている。

 このナノボットは、DNAの結着性を利用したもので、DNAはある種のたんぱく質と出会うと2本鎖がほどかれるが、DNAの配列を人工的に調整することで、特定の分子に出会った時に鎖をほどくようにすることができる。これを応用し、ナノボットが特定の細胞にたどり着いた時に折り畳み構造がほどかれ、ナノボットが中に抱えていた薬が投与されるという具合だ。同チームは今回、生きたゴキブリにさまざまな種類のナノボットを投与し、送出および制御精度をコンピュータシステムと同レベルにまで高めたという。

 実際この仕組みを使って、ナノボットによる演算を行なうこともできるといい、ゴキブリの体内でコモドール64やAtari 800などの8bitコンピュータに匹敵する演算性能を実現することすらできるとしている。

 とは言え、研究の目的はゴキブリ型コンピュータの開発ではなく、免疫反応を回避しながら、特定のがん細胞にだけ的確に投薬できる技術の確立だという。

(若杉 紀彦)