英国のTV番組が究極のBattlefield 3シミュレータを制作
英国のTV番組であるthe Gadget Showは24日(現地時間)、さまざまなハイテク技術を組み合わせることで、「Battlefield 3」を仮想体験できるシミュレータの制作・体験記を放映した。同番組はYouTubeでも公開されている。
Battlefield 3は、海外では10月25日、日本でも11月2日に発売を控えた最新のミリタリーFPS。これまでのシリーズも大ヒットとなったが、最新作は抜きんでたグラフィック表現ですでに高い評価を得ている。
もちろん通常のゲームなので、プレイするに当たっては、画面に向かって、キーボードやマウスあるいはゲームコントローラを使って手で操作することになる。しかし、Gadget Showでは、その没入感を究極のレベルにまで高めようと、さまざまな企業のさまざまな最新技術を集めたシミュレータを制作した。
まず、画面については、直径9mの半球ドームの中にスクリーンを横360度に渡って張り巡らせたIgloo Visionの全方位投影システム「360°cinemax」を採用。フルHDのプロジェクタ5台を用い、半球の上半分がカットされた形状のスクリーンに切れ目なくパノラマ映像を投影できる。
そして、その床にはMSE Weibullの「Omni-Directional Treadmill and Motion Tracking」という移動検知装置を設置した。直径数mある円形の土台には、中心から16方向にローラーが敷き詰められており、ユーザーがこの上歩くとローラーが回転するので、同じ場所に居続けながら、歩行することができる。これに10台の赤外線モーショントラッキングカメラを使うことで、ユーザーが移動する速度や方向をリアルタイムに検知し、PCに送信でき、ユーザー自身が移動することで、それに追随してゲーム内でもキャラが移動する仕組みだ。
ゲームではジャンプやしゃがむという動作もあるが、これについては、Xbox 360用モーションセンサーコントローラ「Kinect」を使って検知する。
なお、1人でプレイするにあたり360度の映像は不要なので、今回はゲーム画面は前方180度だけを常に表示するようにし、ユーザーの向いている方向に合わせて、プロジェクタの投影場所を随時変更するシステムになっている。
銃のエイミングおよび弾の発射については、iPhoneを使ったガンコントローラ「AppBlaster」を用いた。元々この製品は、小銃を模したコントローラにiPhoneを設置し、カメラを通じて表示される実写映像にUIや敵キャラクタなどを重ね合わせ表示し、やっつけるというAR玩具。今回は、この製品の、引き金を引くと、ジグがiPhoneの画面に当たる部分の仕組みを利用し、iPhoneがそれを検知すると無線でPCに信号を送るようにした。これで、実際に銃を構え、弾を撃つことができる。また、AppBlasterにも赤外線センサーを取り付け、銃の方向、つまりエイミングを検知させるようにした。
映像については、没入感を増すため、画面の描画内容に合わせて、LEDを全方位に照らすExtra Dimensional Technologiesの照明システム「Ambient LED Lighting Kit」も利用した。
本来、この装置は投影した画面を取り込んだ上で、800個のLEDを使って画面に応じた環境光を周囲に再現するものだが、今回はシミュレーションにも活用することにした。というのは、ゲーム内で自分が撃たれると、画面に血しぶきが表示されるので、それを検知したときに、撃たれたことをユーザーにフィードバックさせることにしたのだ。
そのフィードバックには、12台のエアガンを用いた。ドーム内の4隅に3台ずつのエアガンを設置し、ユーザーのキャラが撃たれると、それに合わせて、本当にエアガンでユーザーも撃たれるようにした。
結果として、番組のパーソナリティは非常に満足のいく興奮する体験をできたようだ。今回の内容は実験的なものであり、装置の総額は約5千万円に達し、商業施設レベルでもこれと同等のものを導入するのは難しそうだが、近い将来、こういった体験が実際にできるようになる可能性はあるだろう。
(2011年 10月 25日)
[Reported by 若杉 紀彦]