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ハーバード大の薄くて軽い繊維製パワードスーツ「Soft Exosuit」

 米ハーバード大の一部門であるWYSS INSTITUTEの18日(現地時間)付けの発表によると、機能性の繊維と伸縮方向に作用するアクチュエータなどを用いた歩行補助用パワードスーツ「Soft Exosuit」が、従来のものよりも着用時の違和感や負担となる重量を軽減しつつ、装着者が歩行に要するエネルギーを最大23%軽減することが確認された。

 従来のパワードスーツは脚全体に、サーボ制御によってアクチュエータが脚の動きに応じて動力を生じることでアシスト機能を実現していた。そのため、アクチュエータを駆動するためのバッテリや動力を発生するアクチュエータ、身体を支えるための骨格などを組み合わせた構造が必要だった。

 しかし、Conor Walsh助教授率いるチームの考えは違った。助教授らは、そういった従来のパワードスーツは先述の重量増などを生むため、重量から来る着用者の負担という点で非効率的だと考え、特定の関節に対してアシストを行なうパワードスーツを作成することにした。そうして作成された今回の実証実験用スーツは、伸縮方向に作動するアクチュエータを用い、バッテリの外付け化を可能にした。また、機能性繊維を用いることで外骨格構造を不要とし、重量減をはじめ着用者の負担を軽減することに成功した。

 同研究では、足首へのアシストが最も有効な要素だとしているものの、同スーツによって適切な形で足首と臀部が力学的に結合された場合、足首からほかの関節へエネルギーが伝達されるという脚の仕組みのために、さらなる消費エネルギーの低減ができるという発見事実があった。これは、同スーツの優れたデザインによって、1つのアクチュエータからより大きなアシスト力を得ることができたということだ。

 関係者らは、この新しい志向で創られたパワードスーツが、歩行の不自由な人や、重量物を運搬する兵士などへ提供されるまでの大きな一歩になったと自信をにじませている。

New Scientistによる動画