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観測可能な宇宙にはさらに10倍の銀河が存在。その数2兆個

 米国航空宇宙局(NASA)、ESA(欧州宇宙機関)らは13日(現地時間)、我々が観測可能な範囲の宇宙には、これまでの調査結果の10倍の銀河が存在しているとの報告を行なった。

 これまで、宇宙望遠鏡「ハッブル」を使った超深宇宙の探査により、観測可能な宇宙には2,000億個の銀河が存在すると試算されていた。それぞれの銀河にはさらに数千万から数百兆個の星が存在している。

 このたびNASAの研究チームは、ハッブルが撮影した深宇宙の画像や他の研究者らが公開したデータを基に、画像を3D化した。これにより、宇宙の歴史の異なる時代においてどの程度の数の銀河が存在したかを正確に計算できるようになった。また、新しい数学モデルを用い、現在の望遠鏡の性能では観測できない銀河の存在を推定した。その結果、発見されている銀河の数では、それらの合計質量の10分の1しか説明できないことが分かった。すなわち、観測可能な宇宙には、遠すぎたり小さすぎたりするため、現代の望遠鏡では捉えることができない銀河がさらに10倍あるということになる。

 これらの望遠鏡では捉えられない銀河は、137億年の宇宙の歴史のかなり初期に存在していた矮小なもので、宇宙の進化の過程で、より大きな銀河の重力にひきずられ、飲み込まれてきた。そのため、現在の宇宙では銀河の数は減り、銀河の分布にはムラができている。

 今回の発見は、オルバースのパラドックスに対する回答を示すものでもある。オルバースのパラドックスとは「宇宙の恒星の分布がほぼ一様で、恒星の大きさも平均的に場所によらないと仮定すると、空は全体が太陽面のように明るく光輝くはず」(Wikipediaより引用)というものだ。実際そうならないのは、宇宙には確かに無数とも言える恒星が存在するが、その分布にはムラがあり、超遠方の恒星が発する光は宇宙の膨張と星間物質による吸収で弱められ、我々の目や望遠鏡には映らないためだ。