イベントレポート
ワコム、紙に書いたデータをタブレットに転送できる「Bamboo Spark」
(2015/9/4 11:24)
株式会社ワコムは、IFAの開幕前日に報道関係者を集めて行なわれたShowStoppersで、新製品「Bamboo Spark(バンブースパーク)」を展示して注目を集めた。Bamboo Sparkは、電磁誘導方式のペンを利用したデジタルメモパッドで、紙に書いた内容がそのままデジタルデータとして内蔵のメモリに保存される。保存されたデータは、本体に用意されているボタンを押すことで、ワンタッチでiOS/Androidのスマートフォンやタブレットに転送できる。
既にワコムのWebサイトにも専用サイトができており、直販などを通じて日本でも販売される予定だ。
汎用のA5サイズのメモ帳を利用し、記録した筆跡をデジタルデータとして残せる
Bambooブランド製品と言えば、ワコムが単体で販売しているスタイラスペンのブランドとして知られている。同社としては初めて紙に記録したものをデジタルデータとして取り込めるようになったのがBamboo Sparkで、関係者によれば“アイディアが閃く”という意味を込めてSparkという名前が与えられたという。
本体はブックカバーのように開くようになっている。左側にタブレットやスマートフォンを置くスペースが用意されおり、何らかの形で端末を固定する。右側には、A5の紙を置くスペースと、電磁誘導方式のデジタイザーが内蔵されており、ペンで書いた筆跡をデジタルデータとして本体のメモリに保存する。
ペンは電磁誘導方式で、かつ紙に書けるようにボールペンの機能を持っていないといけないので、このBamboo Spark用に新規設計されたペン(1,024段階の筆圧検知)がバンドルされている。この電磁誘導方式のデジタイザーは、間に紙を100枚挟んでも認識できるように設計されており、初期バンドルされているA5サイズのノート(30枚)ではもちろんのこと、一般的なA5サイズのメモ帳でも利用できる。
保存されたデータは、中央部に用意されているボタンを押すことで、iOSないしはAndroidに用意されている専用アプリケーションにBluetooth SmartないしはUSBを経由して転送される。
タブレットがない状態でも利用が可能で、例えばミーティング時にBamboo Sparkだけを持って行きメモを取り、ミーティング終了後にタブレットに転送して整理するという使い方も可能だ。
同社のサイトによれば、ガジェットポケット付きスマートフォリオ(スマートフォン汎用)、タブレットスリーブ付きスマートフォリオ(タブレット汎用)、iPad Air 2専用スマートフォリオの3種類が用意されており、一緒に使うデバイスに応じて選ぶことが可能になっている。
Android/iOSアプリのBamboo Paperでデジタルデータとして柔軟に編集が可能
ユニークなのはその使い勝手だ。書かれた筆跡のデータはペンのIDと時間のデータも持っているので、AndroidないしはiOSのアプリ(Bamboo Paper)に転送した後で、時間軸を戻して途中までのデータを表示したりという使い方ができる。また、筆跡はデータとして保存されているので、不要な部分だけを消したり、後から複数のページの筆跡をマージしたりできる。さらに、保存したデータをEvernoteやクラウドにアップロードしたり、JPEGファイルなどの画像ファイルに保存することもできる。
なお、Bamboo Paperはデジタルデータのページとして管理しており、データを区切った時(ボタンを押したとき)が1ページとなる(紙のページがどのようにめくられたのかはBamboo Sparkからは検知できないからだ)。逆に言えば、同じ紙のページでも、デジタル的には複数のページに区切る使い方も可能だ。なお、紙の上では同じページでも、デジタル的には分離してしまったとしても、既に述べたように後からマージできる。
本体のサイズはどのフォリオを選ぶかで異なっており、ガジェットポケット付きスマートフォリオが535g、タブレットスリーブ付きスマートフォリオが670g、iPad Air 2専用スマートフォリオが580gとなっている。欧州地域での価格は119ユーロだが、関係者によれば日本では2万円を切る価格帯に設定されることになりそうだ。
デジタイザー対応のタブレットとペンでメモを取るのはちょっと……と思っているユーザーでも、Bamboo Sparkであれば、これまでと同じようにボールペンでメモを取ることができ、それをデジタル化して残すことができる。かつ、そのデジタルデータは後でアプリで編集可能で、思った通りの形で残すことができるので、汎用性が高いと言えるだろう。