イベントレポート

Apacer、NFC搭載や防水SSD、光るSATA+USB 3.1対応SSDを展示

NFC搭載のSSD

 台湾Apacerは、COMPUTEX TAIPEI 2015にブースを構え、NFC搭載SSDと防水SSD、光るSSDなど各種製品を展示した。

 DRAMを本業とするApacerだが、そもそもあまり馴染みがない読者がいるのも仕方ない。ApacerはPCメーカー向けの出荷や組み込み向けのメモリが主なビジネスのため、特に日本国内においては、リテール市場ではあまり見かけない。

 しかしメモリモジュールを長年手がけていることもあり、高品質さは業界内随一で、プロのオーバークロッカーの中にはApacerにメモリモジュールを発注する人や、好んで使っている人もいるほどだ。加えて、2010年からはSSDも手がけ始めており、メモリの総合メーカーへとなりつつある。

 さてそんなApacerだが、今回のCOMPUTEXでは特殊用途向けにNFCを搭載したSSDを展示した。一見通常の2.5インチSATA SSDだが、NFC通信モジュールを内蔵しており、NFC対応スマートフォンに専用アプリをインストールし、タッチすることで、SSDのブートロックを解除したり、S.M.A.R.Tステータスを読める機能を搭載する。

 例えば企業内において第三者にPCを起動されたくないと言った場合、スマートフォンのタッチで起動をロックすることで安全性を高められる。とは言え実際にシステムに組み込む際は、NFCが反応する距離内にSSDを設置する必要があり、PCシステムの構造を考慮する必要があるのだが、ワンタッチでセキュリティ性を確保できるユニークな機能と言えるだろう。

NFC搭載SSDの展示
AndroidのアプリをNFC対応スマートフォンに入れることで、起動のロックやS.M.A.R.T監視が行なえる

 もう1つユニークな展示は「防水SSD」だ。仕組みは簡単(と言っても技術は複雑)で、表面を防水素材でナノコーティング処理を施すことで実現した。従来の防水材を塗布する方法と比較すると、さらに高いレベルで保護でき、長期間使用における寿命にも優れるという。

 加えて、実装するチップや部品全てにおいて85℃対応品を採用し、急激に温度が変化するような環境にも耐えるとしている。Apacerは2014年のCOMPUTEXでも同様の防水デモを行なっていたが、今回は新たに短時間で高温に達する環境のデモが加わり、より一層SSDの耐久性をアピールするものとなった。

防水SSD
急激に温度が変化する環境でも動作するという

 さらに今回、使用環境と状況を自動的に集計して分析し、Apacerの最適なSSDソリューションを提案するソフトウェア「CoreAnalyzer」を展示した。

 ご存じの通りSSDはNANDフラッシュメモリを採用しているため、書き込み回数に寿命があり、一定の回数に達すると書き込めなくなる。そこでさまざまな書き込みアルゴリズムを用意して寿命を延ばす手段が採られたり、そもそも長寿命を実現できるSLCのような製品も存在したりするのだが、アルゴリズム実装によって性能がスポイルされてしまったり、SLCの採用で価格が高くなったりとさまざまな問題があり、エンドユーザーが自分の使い方にピッタリあったSSDを選ぶのは難しい。

 CoreAnalyzerはそうした問題を解決するソフトウェアで、システムのリード/ライト統計情報を集計し、どのようにドライブが使われているのかを分析する。例えばリードとライトの割合や、ランダムアクセスとシーケンシャルアクセスの割合、リードとライトの連続セクタ長などを可視化した上で、その使い方に最も適したSSD製品を提案する。

 ただしCoreAnalyzerは無料ダウンロードや有償販売などを行なっておらず、あくまでもSSD導入時の一環として提供するとのことだった。

CoreAnalyzerによる分析

光るデュアルインターフェイスSSD

 以上が企業向けの製品だが、個人向けにも製品を展示した。

 うち1つが“光る”デュアルインターフェイスSSD「Turboll-AS730」。正直SSDが光るというだけでもかなりインパクトがある製品だが、本製品ではさらにそのLEDの色と発色パターンをソフトウェア上で自由にカスタマイズできるという。

 そして何と言ってもSATA 6GbpsとUSB 3.1 Type-Cに双方対応した“デュアルインターフェイス”を備えるのが最大の特徴。つまりPC内蔵のSSDとしても、ポータブルのSSDとしても使えるわけだ。USB接続時はWindowsのEnterprise Editionにのみ搭載されているリムーバブルディスクへのインストール機能、「Windows-To-Go」への対応も謳われている。

 容量は120GBまたは240GBのいずれかで、最大リード速度は120GBモデルが500MB/sec、240GBモデルが520MB/sec。最大ライト速度は順に300MB/sec、450MB/secとなっている。

Turboll-AS730
説明がなかったが、銃のマガジンをモチーフとしたPCI ExpressのSSDも展示された

 このほかブースでは、USB 3.1 Type-Cに対応したUSBメモリや、指紋センサーの搭載により非認証時は半分の容量を見えなくするUSBメモリ、USBのモバイルバッテリ、防水HDDなどを多数展示した。

USBのモバイルバッテリやケーブルも製造しているという
IPX4準拠の防水HDD
USB Type-Cに対応したUSBメモリ「AH185」
指紋センサー付きのUSBメモリ
そのほかさまざまな形状のUSBメモリも自社で開発/製造しているという

(劉 尭)