イベントレポート

【CES Unveiled編】
Parrot、netatmoなどフランス企業が最新のデジタルガジェットを発表

~日本からはCerevoが出展。センサー付きスノーボードを展示

 Cerevoはストリーミング配信機器のLiveShellなど「グローバル・ニッチ」なとがった製品を開発、販売する日本企業。本社のある秋葉原でスタートアップ支援やクラウドファンディングなども行なっている。

netatmoはホームセキュリティカメラに参入

 デジタル百葉箱とも言えるパーソナル・ウェザーステーションを販売しているフランスのnetatmoは、新製品としてホームセキュリティカメラ「Welcome」を発表した。2015年第2四半期より発売をするとしている。価格は未定。

 機器間の連携はないものの、既存のパーソナル・ウェザーステーションとよく似たデザインとなっている。パーソナル・ウェザーステーションがシルバーなのに対して、こちらはゴールドのデザイン。

 ホームセキュリティカメラとしての特徴は、顔認識機能を搭載していること。視野角にある人物の顔を認識し、家族を中心として登録した人物をトラッキングする。この機能により、認識できない未登録の人物を検出した際には、連携するスマートフォンなどにプッシュ通知でアラートを送る機能を備える。カメラで撮影された映像や人物の識別情報などは、暗号化して内蔵するSDカードに記録するのも特徴。多くのホームセキュリティカメラがクラウドへのデータ保存をアピールするのとは逆にローカル保存をセールスポイントに置いている。

 カメラは130度の視野角を備える。録画されるデータは1080p。連携するスマートフォンへのプッシュ通知や、ストリーミング機能を搭載する。別売となる「タグ」と呼ばれるインドア、アウトドアのドアセンサーを追加することで、人の出入りも管理して、子供の帰宅などの情報を親のスマートフォンへプッシュ通知することも可能となる。

 専用アプリケーションはiOS 8以降のiPhone、Android 4.3以降のAndroidスマートフォンに対応し、App Store、Google Play経由でそれぞれ提供される見通し。現時点は明らかにされていないが、iOSの対応バージョンをiOS 8以降としていることから、HomeKitへの対応も推定される。

netatmoの新製品「Welcome」。既発のパーソナル・ウェザーステーションと同一のコンセプトに基づくデザインとなっているが、カラーはゴールド。全面に視野角130度のフルHDカメラとマイクロフォンを搭載する。インターネットにはEthernetあるいはWi-Fiで接続するが、これはプッシュ通知や登録デバイスへのストリーミング機能に利用され、撮影された映像などはローカル保存されるのが特徴。ドアセンサーとなるモジュールと本体ユニットとの接続はRFで行なわれているのも、パーソナル・ウェザーステーションと同一の設計

ドローン製品で知られるParrotはヘッドフォンやガーデニング向け製品を展示

 やはりフランスをベースとするParrotも、CESの開幕に合わせて新製品の発表を行なった。AR.Droneをはじめとするドローン機器で知られるが、2015年はドローンではなく、ヘッドフォン、ガーデニング、カーナビなど同社がすでに参入している他のジャンルの製品ラインを更新した。

 ヘッドフォンは「Parrot Zik」として初代モデルが登場。密閉型で、デジタルノイズキャンセリングやバーチャルサラウンド、タッチ操作、Bluetooth接続など多機能に加え、フィリップ・スタルク氏のデザインを採用したことでも注目を集めた。昨年(2014年)末には後継製品となる「Parrot Zik 2.0」も発売されたが、さらに新製品を投入する。

 過去モデルが密閉型ヘッドフォンであったのに対して、新製品はカナル型。ターゲットもリスナー層ではなく、ランナー層といった具合にまったく方向性が異なる製品となっている。多機能と言う点では同一で、カナル型イヤフォンのステム部分に心拍センサーを搭載してランニング中の心拍数のモニターおよび記録が行なえる。さらに加速度センサーを搭載することで、ランニング速度や歩幅、左右の足の接地時間などの測定も行なえる。いずれも、スマートフォンに専用アプリケーションをインストールして記録する。

 デザインは引き続いてフィリップ・スタルク氏によるもの。スポーツタイプの製品の多くが柔軟な素材を採用する中、金属を中心にして構成し、耳の穴や外耳ではなく側頭部で固定する構造になっている。なお、展示されている製品はプロトタイプということで、最終デザインではない。

高機能ヘッドフォンのParrot Zikシリーズでは初めてとなる、ランナーをターゲットとした製品「Parrot Zik Sport」
このジャンルのヘッドフォンは軟質の素材を使って耳の穴や外耳でランニング中もはずれないようにするものが多いが、Parrot Zik Sportは側頭部を使って固定するイメージ
従来のリスナー向けParrot Zikと同様に折りたたみ式の構造を採用する
カナル型ヘッドフォンのステム部分に心拍センサーを搭載。装着時に心拍数を測定し、連携したスマートフォンにデータを記録する
デザインは、これまでのParrot Zikと同様にフィリップ・スタルク氏の手によるもの
加速度、角速度のモーションセンサーも搭載し、速度や歩幅、ランニングスタイルの分析が可能
【動画】Parrot Zik Sportで、ランニングの状態をデータ化する

 ガーデニング製品も新製品が登場した。既存の製品「Parrot Flower Power」は、スティック型のデバイスを土に挿すことで、日照時間の観測や土中の水分量、肥料の状態などをセンシングして、スマートフォンなどを通じて水やりのタイミングや施肥のタイミングなどをアドバイスするものだったが、新製品となる「Parrot Pot」と「Parrot H2O」は、いずれも散水機能を備えて、水やりが必要になると自動的に適量を散水する仕組み。

 「Parrot H2O」はペットボトルの空きボトルなどを利用して水を貯め、土が乾いてくると必要に応じて適量を散水する。「Parrot Pot」は上位モデルの位置付けで植木鉢そのものがデバイスになっており、二重構造の鉢の内側に水を貯めて、やはり必要に応じて散水できる。

既発の「Parrot Flower Power」の進化形は「Parrot H2O」。従来は土の乾燥状態をセンシングして水やりをプッシュ通知でアドバイスする形だったが、H2Oでは自動的に適量が散水される。「Parrot Pot」では、鉢自体に水を貯めておける構造になった

日本発の尖ったガジェットを展開するCerevoもUnveiledに登場

 日本発で「グローバル・ニッチ」を戦略として掲げるCerevoもCES Unveiledに出展した。ストリーミング配信機器のLiveShellなどを中心にこれまでもCESには出展を続けてきたがUnveiledには初登場となった。

 展示されていたのは、スノーボードの滑走技術を分析するデバイスで「XON snow-1」。ブーツの下にあるセンサーで重心の移動や、エッジの角度などをセンシングする。接続したタブレットでは重心やバランスがどうなっているか視覚的に確認できるほか、ビデオオーバーレイ機能も備えており、滑走状態の映像にデータを重ね合わせて再生することができる。

 もちろん会場にゲレンデはないので簡易なデモンストレーションとなっているが、演者は同社の創業者で代表取締役CEOである岩佐琢磨氏が自ら行なっている。

Cerevoは、スノーボードの技術を分析可能なデバイス「XON snow-1」を出展
同社の代表取締役CEOである岩佐琢磨氏がデモを行なう
スノーボードの滑走状態における重心の位置やエッジの状況を数値化する。スマートデバイスに記録するが、画面も凝った作り

(矢作 晃)