イベントレポート
Buffalo、新クラウドサービス「BuffaloLink」対応NASや11ac対応ルーターを展示
(2013/1/11 00:00)
株式会社バッファローの米国法人Buffalo Technologyは、CES 2013のブースにおいて、独自の新クラウドサービス「BuffaloLink」に対応するNAS、11ac技術対応ルーターの最新モデルや、Thunderbolt対応のSSD内蔵外付けドライブなどの新製品を展示した。
「BuffaloLink」対応のLinkStationを発表
バッファローが発売しているNAS「LinkStation」シリーズでは、インターネット経由でNASに保存したデータにアクセスできる「Webアクセス」というサービスが提供されている。また、Buffalo Technology主導で開発された「リンクステーション クラウドエディション」(北米市場ではBuffalo CloudStor)は、米国CloudEnginesの「Pogoplug」をベースとしたクラウドサービスに対応している。基本的にはどちらも、外出先などからインターネット経由でNASに保存したファイルにアクセスするという共通の目的を実現するためのものだが、双方に互換性はなく、機能や操作性が大きく異なっている。また、設定もやや面倒で、初心者が使いこなすにはハードルが高いと認識されていたという。
そこで、より簡単にクラウドサービスを利用できるように用意されたのが、「BuffaloLink」という独自のクラウドサービスだ。基本的な機能は、Webブラウザを利用してインターネット経由でNASに保存されたファイルにアクセスし、写真の表示や動画のストリーミング再生を行なったり、外出先からNASにファイルを転送するという、WebアクセスやPogoplugベースの機能と同じだ。しかし、アクセスメニューをより分かりやすくして、目的のファイルに簡単にたどり着けるようなインターフェイスを採用している。
また、iOSやAndroid向けに専用アプリを用意し、スマートフォンやタブレットからのアクセスも簡単に行なえるように配慮されている。設定手順も従来より簡素化し、ルーター側の設定を一切変更することなく利用可能可能で、初心者でも簡単に使えるように考慮されているという。そして、サービス開始当初こそWebアクセスやPogoplugとほぼ同等の機能となるが、将来は機能を追加していく予定となっているそうだ。
BuffaloLinkは、Buffalo Technology主導で開発されたものだそうだが、北米だけでなく、ヨーロッパやアジア地域でもサービスの展開が予定されており、もちろん日本でも利用できるようになる。ただし、利用できるのは今後発売される新製品からとなり、出荷済みの製品への対応は行なわないそうだ。Webアクセスについては今後もサービス提供が継続され、今回発表されたBuffaloLink対応製品でも利用可能だが、Pogoplug対応製品の提供は終息に向かうそうだ。もちろん、出荷済みの製品でのサービスの利用は継続される。
このBuffaloLinkに対応するNASとして発表されたのが、「LinkStation 400」シリーズだ。HDDを1台内蔵する「LinkStation 410D」、HDDを2台内蔵する「LinkStation 420D」、出荷時はHDDレスで2台のHDDをユーザーが取り付けて利用する「LinkStation 421E」の3モデルをラインナップしている。
これまでのLinkStationシリーズから本体デザインが一新され、シンプルかつコンパクトなボディとなっている。アクセス速度は80MB/sec以上と、従来の高速モデルよりもさらに速度が高められている。また、背面にはUSB 2.0ポートが用意され、従来同様HDDを追加して容量を増やしたり、USBメモリやデジタルカメラなどを接続して保存データの自動コピーなどにも対応。NTFSおよびexFATへのアクセスにも新たに対応している。さらに、HDDレスのLinkStation 421Eは本体前面にUSB 3.0ポートを備える。
容量および価格は、LinkStation 410Dの2TBモデルが229ドル、3TBモデルが269ドル、4TBモデルが399ドル。LinkStation 420Dの2TBモデルが289ドル、3TBモデルが369ドル、4TBモデルが469ドル、8TBモデルが719ドル。LinkStation 421Eが149ドルとなっている。北米市場で2013年の早い時期に発売を予定。また、時期や価格は未定だが、LinkStation 410D/420D相当の製品は日本での発売も予定している。LinkStation 421Eは日本での発売予定はないそうだ。
11ac対応無線LANルーターはUIを一新し、QoSやペアレンタルコントロール機能を搭載
IEEE 802.11ac技術に対応した無線LANルーターの新モデルが「WZR-1750DHP」と「WZR-1166DHP」の2製品で、ブースではWZR-1750DHPが展示されていた。日本で2012年に発売された11ac対応無線LANルーター「WZR-D1100H」の最大転送速度600Mbpsから大幅な高速化が実現されており、WZR-1750DHPはMIMO 3x3対応で11ac時の速度は最大1,300Mbpsと、2倍以上の速度に達している。それに対し、WZR-1166DHPはMIMO 2x2対応で11ac時の速度は最大866Mbpsと、こちらも従来モデルより高速化を実現している。採用している11ac対応コントローラはBroadcom製で、正式なIEEE 802.11ac規格の策定後にはアップデートも予定。WZR-1750DHPにはデュアルコアCPUを搭載し、各種処理速度も高められている。
機能面では、ルーター、アクセスポイント、Ethernetコンバータ、Wi-Fiエクステンダと機能を切り替えて利用できるようになった。例えば、2台用意してルーターモードとEthernetコンバータモードで利用すれば、有線LANケーブルの置き換え用途として魅力がある。まだ11acはノートPCなどの対応が進んでいないため、11acの速度を活用する場面が非常に少ないが、モードを切り替えて利用できるようになったことで、2台用意すれば11acの速度を最大限活用できる、うれしい機能強化と言える。
また、設定メニューのUIが一新されている点も大きな特徴だ。従来のバッファロー製無線LANルーターの設定メニューは、多くの設定項目が羅列されており、ある程度知識がなければ設定が難しかった。それに対し新UIでは、トップメニューによくアクセスされる機能を大きなアイコンで表示し、通常利用しないような高度な機能を隠すことで、初心者でも迷わず設定できるように配慮されている。
設定メニューには、新たな設定機能もされている。利用するアプリケーションに応じて通信速度やレイテンシなどの通信品質を設定できる「Advanced QoS」(正式名称未定)という機能や、インターネットへのアクセス制限を実現できるペアレンタルコントロール機能が追加されている。
Advanced QoSは、「Video」、「Voice」、「Gaming」の3種類のプリセットが用意され、それらを選択するだけで、ストリーミング動画やVoIP、ネットワーク対応ゲームなどに最適となる通信品質設定が自動的に設定される。例えば、Videoでは通信速度を優先した設定に、VoiceやGamingではレイテンシを優先した設定になるようにあらかじめプリセットされているそうだ。もちろん、ユーザーが細かな設定をカスタマイズすることも可能となっているが、基本的にはプリセットから選択するだけで十分な効果が発揮されるように考慮されている。
ペアレンタルコントロール機能は、子供に有害なWebページへのアクセスなどを抑制する機能だ。ただし、この機能については、日本向け製品での採用は未定となっている。
WZR-1750DHPおよびWZR-1166DHPは、北米では2013年の早い時期での発売が予定されており、価格はWZR-1750DHPが179ドル、WZR-1166DHPが149ドル。日本での発売も予定しているが、時期や価格は未定。
また、今回は展示されていなかったが、USB 3.0接続の11ac対応無線LAN子機の発売も予定しているそうだ。2013年内に2チャネル対応モデルを発売予定で、さらに3チャネル対応子機の製品化も検討中としている。さらに、MIMO 1x1に対応するエントリークラスの11ac対応無線LANルーターの投入も検討しているそうで、11ac対応製品が一気に充実することになりそうだ。
Thunderbolt対応のSSD内蔵高速外付けストレージ
Thunderbolt対応ストレージデバイスとして、SSDを2台内蔵する外付けストレージの新モデルも展示していた。バッファローのThunderbolt対応ストレージデバイスとしては、HDDまたはSSDを内蔵するポータブルドライブが発売済みだが、今回展示されていたのは据え置き型モデルで、パフォーマンスに特化したモデルとなる。
内部には256GBのSSDを2台内蔵しており、非常に高速なアクセス速度を実現するという。実際にブースでは、MacBook Airに接続し、ソフトウェアRAID機能で領域を確保してアクセスするという形で、リード764.9MB/sec、ライト574.2MB/secと非常に高速な速度が確認できた。ただし、ソフトウェアRAIDのため、速度も接続するPCの性能に左右されるとしている。ちなみに、ハードウェアRAID機能は搭載せず、製品はソフトウェアRAIDに対応する領域を設定して出荷する予定。そのため当初はMac向けとしての発売となるが、Windows向けとしての展開も予定しているそうだ。
また、据え置きモデルということで、Thunderboltコネクタが2個用意されており、Thunderbolt対応周辺機器のデイジーチェーン接続もサポート。バスパワーでの動作には対応せず、利用時には付属のACアダプタを接続する必要があるが、Thunderbolt経由での給電には対応しており、Thunderbolt対応周辺機器の充電も可能だ。
こちらも日本での発売が予定されているが、発売時期及び価格は未定だ。
海外向けの周辺機器も多数展示
バッファローは、マウスやキーボード、LANケーブルなどの各種周辺機器も取り扱っているが、海外向けの周辺機器も多数展示されていた。この中には、USBコネクタを上下どちらの向きでも差せる「どっちもハブ」や、ツメが折れないLANケーブルなども含まれており、日本でおなじみの製品も順次海外でも発売していくそうだ。
また、海外向けオリジナルモデルも用意されていた。デザイン性を追求し、豊富なカラーバリエーションを用意するとともに、ほかの製品とは異なるパッケージを採用。発売自体は未定だそうだが、家電量販店などではなく、Apple Storeなどの専門店向けに展開を想定しているそうだ。製品としては、ワイヤレスマウス、Bluetooth接続のヘッドセット、バランスドアーマーチュアドライバ採用イヤフォンをラインナップしており、それぞれ40ドル前後での販売を想定しているそうだ。