AMD、Fusionプロセッサのデモを初公開
Fusionのウェハを披露するリック・バーグマン氏 |
会期:6月1日~6月5日(現地時間)
会場:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall
Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/3
Taipei International Convention Center
米AMDは2日(台湾時間)、COMPUTEX会場近くでプレスカンファレンスを開催。この中で、同社プロダクトグループ上級副社長兼ジェネラルマネージャのリック・バーグマン氏が、Fusionプロセッサのウェハとその実動デモを初めて公開した。
Fusionは、かねてからAMDが予告している、CPUとGPU機能を統合したプロセッサで、同社ではAccelerated Processing Unit(APU)と呼んでいる。ArrandaleなどのIntel製CPUも1つのチップにCPUとGPU機能を内蔵しているが、APUは1つのダイに両者を統合する。
最初のAPUは、「Llano」(リャノ)および「Ontario」(オンタリオ)の2種類が用意される。Llanoはメインストリーム向けで、3Dゲームなどにも対応可能なDirectX 11準拠のビデオコアを内蔵。Ontarioは、低消費電力なチップで、薄型ノート向けとなる。両モデルともHDビデオの再生が可能で、動画エンジンはUVD3に進化している。
いずれも現在同社の顧客にサンプル出荷を開始しており、2011年上半期に量産が開始される予定。
Fusionのブロックダイヤグラム。1つのダイにCPUとGPUを統合し、両者は高速バスで接続される | Llanoの概要 | Ontarioの概要 |
会場でバーグマン氏は、Fusionのウェハを披露するとともに、このチップを使ったデモを初めて公開した。1つはDirectX 11対応のゲームで、システム構成などは不明だが、スムーズに動作していることが確認できた。また、Internet Explorer 9では、描画にDirectXを利用するということでそのデモも公開され、ブラウザが60fpsで描画する様子が示された。
デモ機自体は公開されなかったが、バーグマン氏によると、これは動画ではなく実機を使ったリアルタイムの動作デモだという。
【動画】FusionによるDirectX 11ゲームのプレイ |
【動画】FusionによるIE9のデモ。後半からGPU機能をオンにする |
また、バーグマン氏は、Fusionを使うハードウェア/ソフトウェアを開発する企業を支援するための基金「AMD Fusion Fund」プログラムを開始することを明らかにした。
さらに会場では、ノートPC向けの外付けGPUを使った「ATI XGP Technology」のデモも公開された。この技術自体は2008年に発表されているが、現在まで目立った製品化の事例がない。
今回のデモは、係員がいなかったため、GPUがMobility Radeon HD 5870ということ以外、詳細は不明だが、ExpressCard/34型のアダプタを使って、セカンダリGPUとして動作していた。
ExpressCardはPCI Express x1接続なので、ここにGPUをつなげても、帯域が不足して満足な性能が得られないことが懸念されるが、デモ機ではGPUボックスに3台の液晶ディスプレイが接続され、その状態で3Dゲームが十分にプレイできるフレームレートで動作していた。
また、AMDのGPUを利用したものかも不明だが、シャッター式メガネを使った立体視のデモも行なわれていた。
【動画】ATI XGP Technologyデモ機によるゲームプレイの様子 |
(2010年 6月 2日)
[Reported by 若杉 紀彦]