【Macworld 2010レポート番外編】
MacworldからCESへ。大きくシフトするサードパーティ

会期:2月9日~13日(現地時間)
会場:San Francisco The Moscone Center (モスコーニセンター)



 2月11日正午(現地時間)より開始されるMacworld 2010のおよそ1カ月前に開催されたInternational CES 2010にあわせて発表されたiPod、iPhoneそしてMacに関連した新製品情報を紹介する。

Las Vegas Convention CenterのNorth Hallほぼ中央に位置していたiLounge Pavilion。2010年は100社余りが出展して25000平方フィートの床面積を使用していたとのことだが、2011年開催では倍増となる50000平方フィートになるという。

 Macworld 2010の事前レポートでも紹介したが、International CESを主催するConsumer Electronics Association(CEA)は2月3日にニュースリリースを出した。2011年1月に開催されるInternational CES 2011において、iPod、iPhoneそしてMacに関連した製品やサービスを集めたパビリオン「iLounge Pavilion」の規模を2010年開催時と比較して倍増するという内容だ。

 International CESのiLounge Pavilionには、Appleが2009年を最後にMacworldへの出展を見送ることから、Macworldへの出展者をCES側に取り込むという明確な目的が存在する。2009年までは毎年ほぼ同時期に開催されていた2つのイベントだが、その内容からある程度出展者側にも住み分けと言えるものが存在した。しかしAppleのビジネスがMacに加えてiPod、iPhoneへと広がることによって、Macworldの展示ホールにもCES寄りとでも言うべき出展者が増加していく傾向ははっきりと見えていた。そこにApple自体の出展見送りがアナウンスされたことで、出展者のシフトが急激に活発化した。以前はiLoungeがMacworldにコミットしていたこともあったのだが、これはCEAの営業活動が功を奏したと考えるべきだろう。

 もちろん出展者側から見ても2010年はMacworld側の規模が縮小して来場者数が減るのは充分に予測が可能な状況であった。ならばより多数の来場者が見込め、ビジネスチャンスの広がるCESへのシフトを考えるのも当然である。しかも単独ではなく、iLoungeという船と船頭までが用意されていた。また、CES側も世界的な不況の影響から出展者数の減少が否めないなかで、これを大規模な出展者獲得の好機と捉えてこの結果が生まれることになった。

 こうして、言うなればMacworldからInternational CESへと鞍替えしたMac周辺機器やiPod、iPhone関連製品を扱うサードパーティのなかには、Macworldの常連だった会社も少なくなかった。Internetional CESの会場で一通り取材したあとで、Macworld 2010のサイトに掲載されている出展予定者リストと突き合わせてチェックして「ああ、あの企業を2月に見ることはできないのか」と思わされたところも数多い。

 そこで、2010年のCESのiLounge Pavilionは、プレMacworldだったという認識のもと、CES会場で見かけたiPod、iMacそしてMac関連のプロダクトを遅ればせながら紹介する。残念ながら、これらの製品のほとんどは、明日以降のMacworld展示会場では見ることができないものだ。

●Griffin Technology編

 ほぼ毎回と言っていいほどMacworldに合わせて新製品を発表し、Macworld展示ホールレポートの常連だったGriffin Technology。昨年末に会社のロゴマークを一新するとともに、ホールに展示してあるVWのオールドバンは全米各地でiPhoneを使った情報発信とプロモーションを続けながらLas Vegasに向けて走り抜いてきたクルマという趣向になっている。

CES 2010でのGriffin Technologyのブースの様子。社名のロゴを昨年末に一新。写真左のVWがLas Vegasに向けて走り抜けてきたバン。同社のサイトでも紹介されている「Griffin Video Display Converter」。いわゆるユニボディのMacBook、MacBook Proに搭載されているmini DisplayPortを、DVI-D対応のディスプレイに出力するアダプタ。解像度は1,920×1,200に対応する。コネクタ自体はHDMI変換とHDMI to DVI-D変換の組み合わせとなっているので個別に買うよりはお買い得か。3月頃に出荷され、予価は39.99ドル
「PowerJolt Plus」。クルマの12Vシガーソケットから電源を取るアダプタだが、PowerJolt PlusとPowerJolt moblieを組み合わせてスタック利用できるのが特徴。個別に販売されるので、最初に追加ソケットのあるPlusを導入しておけば、デバイスを追加したくなったときにminiそしてmicro USBのポートを追加できる。3月頃に出荷予定で、予価はいずれも29.99ドル。

□Griffin Technologyのホームページ(英文)
http://www.griffintechnology.com/

●Macally編

 前述したGriffin Technolog同様に、2009年まではMacworldの常連とも言えたカナダに本拠を置く周辺機器メーカー。過去にCESにも出展していたことはあったが、2010年はCESに一本化した形。CESでは同じMaceというグループに属するSecurityManと一緒にブースを構えていた。

「PowerLink」。iPod/iPhone、そして母艦となるMac/PCに向けた3in1の製品。30ピンのiPod/iPhoneの同期/充電ケーブルと、小容量のリチャージャブルバッテリ、そして2GBのUSB Flashメモリが1つのパッケージに収まっている。バッテリの容量は270mAhでiPhoneの内蔵バッテリがピンチのときにほんのちょっとチャージして利用する目的で、緊急用に鞄に忍ばせておくのがいいかも知れない機器。49.99ドルこちらは完全に参考出品と言うことで、何も語られなかったiPhoneとiPod touch用のクレジットカードスキャナー「QuickSwipe」。iPhone Appと組み合わせてクレジットカード決済を行なうための周辺機器と思われる。ほかにもCESの会場内では、Mophieがジャケットタイプで同様のソリューションを紹介していた。ちなみにMophieは、明日から開催のMacworldの展示会にブース出展が予定されている

□Macallyのホームページ(英文)
http://www.macally.com/

●XtremeMac編

 社名にMacの文字が入ったこちらも老舗のMac周辺機器メーカーである。International CES 2010では、iPod/iPhoneへのバッテリチャージャ関連で多数の新製品を発表。従来製品や2色トーンのシリコンケースとともに展示を行なっていた。

Appleの思惑とは異なり、特にiPhoneのヘビーユーザーからは内蔵バッテリの持続時間に対する不満、不安の声は高い。そのためXtremeMacに限らず、追加バッテリパックの付いたジャケットは数多くのメーカーから出展されている。写真は、今回XtremeMacが出展したチャージャ各種ジャケットタイプの「InCharge_Mobile」。1,200mAhのバッテリパックは下部に付くようになっていて、バッテリパックのないケースにできるカバーアダプタも付属している。1,200mAhの容量は、3G通話ならばおよそ4時間分の余分に利用できる。販売価格は79.99ドル
iLounge Pavilionに出展したXtremeMacのブース。Macworldへの出展時よりはかなり小規模になっているが、CESに併催されたDigital Experiecneなどにも出展しているUSB出力の付いたチャージャ「In Chrage Home」。29.99ドル各国版電源アダプタが付いて出張族に向く「InChrage Home Plus」は39.99ドル

□XtremeMacのホームページ(英文)
http://www.xtrememac.com/en/

●その他編
シリコンジャケットやハードケースなどを販売するCaseMateやINCIPIO(http://www.myincipio.com/)こうしたアクセサリ関連のブースがフロア内の大多数を占めている状況はMacworldでもInternational CESでもさほど変わらない。以前はこうしたケースメーカーで小規模のものはLVCC South Hallの奥に点在していて、口の悪い取材仲間などはカオス状態と呼称していた。2010年からは「Made for iPhone」「Made for iPod」のようにAppleによって認定された製品を扱う企業がiLounge Pavilionに集まるようになっており、ある程度はブースの整理が進んだ印象を受けた。もちろん、(*)speckのように、アクセサリメーカーでもiLaounge Paviion内ではなく、独自にブースを構えるところも少なくない
320mAhのバッテリと、MicroSDカードリーダー、30ピンケーブルが一体になったMiPLUG(http://miplug.com/)。Mac本体側にはUSB 2.0コネクタで接続するが、そのコネクタ部分も収納式。搭載する機能が異なるが、ペンダントタイプの製品もある
「L5 Remote」。L5 Technologyの製品で、iPhone/iPod touchのDockコネクタ部分に赤外線ユニットを付けることで、iPhone/iPod touchを学習機能付きのリモコンにする製品。専用のアプリケーションをApp Storeからダウンロードして利用する。赤外線ユニットは本体下部に付くことになるが、上下反転して画面表示されるのでリモコン部分を操作したい機器に向けて取り扱うことができる。赤外線ユニットを含めた価格は49.95ドル。2月中の出荷を予定している

 繰り返しになるが、本稿で紹介した製品のほとんどは明日のMacworldの展示ホールでは見ることができない。さて、こうした出展者を呼び戻す手段を今後Macworld側が講じることができるか、明日オープンする展示ホールにそれを読み解く術はあるのか。それともこのままCESのiLounge Pavilionが、ポストMacworldとしての役割を確立することになるのか興味を持ってその行方を見守りたい。

(2010年 2月 12日)

[Reported by 矢作 晃]