イベントレポート

Oculus Rift製品版と、Project Morpheusを体験

〜 E3で存在感を増すVRエンターテイメント

製品版として展示されている「Oculus Rift」。開発モデルだったCrescent Bayに比べると、コンシューマ向け製品らしく、軽くソフトな仕上がりとなっている

 E3に先駆ける形で、Oculusは製品版の「Oculus Rift」を発表した。2015年後半に予約受付を開始して、2016年第1四半期の出荷を目指す。価格は現時点では未発表。

 E3会場でも例年通りデモンストレーションが行なわれている。毎年大変な行列ができる同社のブースだが、2015年はスマートフォンアプリで体験時間枠を予約できる仕組みが導入されて、やや混雑が緩和された。体験希望者は、Google PlayとApp Storeで提供されているAndroid用、iOS用のアプリをインストールして、枠の空き情報を確認して予約ができる。指定した時間にブースに行くと、最小限の待ち時間で体験が可能。Oculus Riftの場合の枠の数は30分に40〜50のようだ。ちなみに、Sony Computer Entertainmentが開発中のVR「Project Morpheus」も、まったく同じ開発元の予約アプリを使っていて、こちらも待ち行列が緩和されていた。

スマートフォンを使うOculus RiftとMorpheusの体験予約アプリ。面白いことに、アプリの開発元は同じ
Oculusのブース。1階はオープンスペースとなっており、提携しているSamsungのGalaxy S6シリーズとGEAR VRを使ったVRデモが行なわれている。2階は個室となっており、そこでOculus Riftが体験できる
Samsung GEAR VRの体験エリア
Oculus Touchのプロトタイプ。今回は展示のみで、実際に操作はできない。アナログスティックと2個のボタン、1つのトリガーが左右にそれぞれ搭載されている。

 Oculus Riftの体験時間は1人あたり約15分。製品版として発表された「Oculus Rift」でプレイができる。開発版だったCrescent Bayに比べて軽く、フィッティングもしやすいなど製品版として完成度が高まっている。専用コントローラの「Oculus Touch」も発表されているが、こちらは展示のみで、今回の試遊は製品への同梱が発表されたXbox Oneコントローラで実施されている。

 試遊は椅子に腰掛けてプレイする座位で行なわれている。Oculus Riftを装着して簡単にキャリブレーションすると、眼前にホーム画面にあたるメニューが表示される。メニューには9つのゲーム登録されており、体験者が好きなゲームを選べる。希望のジャンルをインストラクターに伝えると、オススメも教えてくれる。体験できるゲームは下記の通りで、シューティング、アクションアドベンチャー、スポーツなどが一通り含まれている。

  • EVE:Valkyrie /CCP
  • Edge of Nowhere / Insomniac Games
  • Chronos / Gunfire Games
  • AirMech VR / Carbon Games
  • Lucky's Tale / Playful
  • Herobound:Spirit Chanmpion / Gunfire Games
  • VR Sports:Challenge /Sanzaru
  • Esper / Coatssink
  • Damaged Core / High Voltage

 試遊時間は15分間だが複数のゲームは体験できない。ゲームを1つ選んだら15分間たっぷりそのゲームに浸ることになる。今回はマリオ64タイプのアクションアドベンチャーである「Lucky's Tale」を選んだ。

アクションアドベンチャーである「Lucky's Tale」。いわゆるマリオ64タイプのアクション

 Oculus Riftの解像感はそれなりに高いが、とはいえドットの格子が完全に見えないというほどではない。一方でフレームレートは十分に出ており、あまり3Dタイトルが得意とは言えない筆者が15分連続でプレイしても3D酔いにはならなかった。選んだゲームが3人称視点で、ファンタジー風味だったという理由もある。VR体験に関しては文字通り「百聞は一見にしかず」なので、興味のある読者の皆さんは是非とも何らかの折りに体験してもらいたい。

 Oculusのブースでは、2014年に提携を発表したSamsungの「GEAR VR」を用意してデモンストレーションを行なっている。前述の「Oculus Rift」は、個室内のデモで予約制だが、GEAR VRのデモはオープンスペースに通常の行列を構成して行なっている。GEAR VRのデモは日本国内でも家電量販店などで行なわれているので、VR未体験という人はまずそのあたりから体験してみるのがいいだろう。ただし、再生デバイスにスマートフォンを利用するGEAR VRと、専用デバイスであるOculus Riftでは、解像感やフレームレートなどが段違いということは知っておきたい。

 体験プレイに使われていたPCのスペック等は未発表。高機能VRの負荷に耐えるそれなりのスペックを持つPCが利用されているものと推測される。

リビング用としてエンターテイメントに特化するProject Morpheus

ブースに展示されている「Project Morpheus」のHMD

 Sony Computer Entertainmentのブースでは「Project Morpheus」のデモンストレーションが行なわれた。前述した通り2015年からは予約アプリが導入されたことで、待ち行列の管理は格段に向上している。予約時間直前に着けば、約10分程度の待ち時間でブースに案内された。

 Oculusとは違って,Morpheusでは案内されるブース毎に体験できる内容が異なる。特に希望がなければその時点で空いているブースへ、指定したいタイトルがあれば、後ろの客を前に送りながら、ある程度は待つこともできる。2014年まではテクノロジーデモの側面が強かったが、2015年はゲームとしての体裁を整えたものが増えている。

Sony Computer Entertainmentのブースの「Project Morpheus」のエリア。体験エリアは1階と2階の両方に設置されている。一般向けエリアは予約制で体験ができる
基本的には着席して体験する。介添えするインストラクターが付いてプレイ画面は正面のTVを通して第三者も見ることができる
主に利用されているコントローラは「PS Move」。仮想空間ではサイリウムになったり、銃になったり、ハンドルになったりする
「Project Morpheus」のHMD側面。頭部をトラッキングするためのセンサーは、後頭部にも付いており、真後ろを向いた時にも頭部の位置をトラッキングし続ける

 筆者は特に希望がなかったので、そのまま案内されるブースへと進んだところ、セガがテクノロジーデモとして提供している「SEGA feat. HATSUNE MIKU Project: VR Tech DEMO」を体験できた。これはセガがE3に合わせて公開した技術デモでMorpheusで初音ミクのVRライブが体験できる。HMDを着けてデモがスタートすると、アリーナ席ほぼ中央の視界が開ける。ステージ正面から周囲を見渡せば、観客が皆サイリウムを持ってミクさんの登場を待っている。

 負けじと手渡された「PS Move」コントローラを振るとライブがスタート。数列先にミクさんが登場した。PS Moveコントローラの位置が視界に入っていれば、仮想空間ではサイリウムとして認識されており、頑張って応援すると何らかの反応も返ってくる模様。音響もちゃんと3D処理されており、向いている方向によって大きく聞こえたりリバーブする様子が異なっている。

 体験タイトルにはボカロPのMitchie M氏による楽曲がメドレーで収録されており、前半はステージ上のライブを鑑賞、後半はなぜか自分もステージに上ぼって、体験者の周囲をミクさんが動き回るという演出がとられている。臨場感は十分で、これなら帰って来られなくなる人がいるのもうなずける(筆者はなんとか現実へと帰ってきた)。

最初はアリーナからスタート。周囲のPさんたちに負けじとサイリウムを振る。後半はなぜかステージ上にと上がっていて、周囲をミクさんが走りまくる

 映像エンジンがPlayStation 4なので、Oculus Riftに比べると画面の解像感は足りないと思えるが、ゲームコンテンツと割り切れるという部分で最適化される要素も大きい。高解像度を目指さない分、オブジェクトが軽くなりフレームレートも十分に確保できるので、リビングをターゲットにしたVRとして十分に成立しそうな感じだ。

PlayStation 4向けに提供されている現実のプレイ環境をシェアするPlay Room。VR空間のPlay Roomも開発中
ヘディングのゲームは、立ってプレイする。飛んでくるサッカーボールに頭部をあわせて、シュートする

 リビングでの鑑賞では、設定次第でVR空間における自分の視点がTV画面にも反映されるという部分も面白い。PlayStation 4向けのPlay Roomが、Share Roomとして、VR空間を共有するというのも興味深いアイディアだ。TV画面へのVR映像の反映はFPSなどの神プレイを第三者にも共有できる一方で、Tekken Projectによる「サマーレッスン」などでは、視線が丸分かりになるのでなかなかスリリングと言える。サマーレッスンがいかなるコンテンツかは、各自でググるなりしてもらいたい。

サマーレッスン(E3版)。これまで国内で行なわれたデモは、ポニテ女子高生の家庭教師だったが、E3版は金髪留学生のホームステイのような内容

よりリアリティを求める入力機器の数々

 Oculusのブースがある会場の一角には、Oculus向けを中心とした入力装置がいくつか展示されている。2年ほど前からデモンストレーションを行なっている製品もある。

 FPS、TPS用の歩行補助機は浅いすり鉢状の台座で足を摺り足で動かすことで、前進といった行動を認識させる装置。周囲にはガイドが付いており、VRで現実の視界が遮られていても立位での位置を逸脱することがない。見た目はなかなかシュールだが、プレイする側はリアリティの高い経験ができるはずだ。コンシューマ向け製品として、700ドル程度で販売される。設置に必要なスペースはざっと一畳四方といったところ。現実視界が遮られるVRではケーブルマネジメントが重要。このタイプは頭上から吊す。そうしないと、自分の身体に絡みついてしまうのだ。個室での座位によるデモでは、大抵介添えするインストラクターがケーブルを頭上で確保している。

2年ほど前から展示されているVirtuixの「Omni」。浅いすり鉢状の台座で足を摺り足で動かすことで前進動作を行なう。700ドル程度で販売する
「Omni」の動画

 同じように歩行と方向を制御するデバイスの新作は、ダンパーを使って腰の位置を認識するタイプも登場した。太ももの部分にハーネスを着けて、ちょうど赤ちゃんの歩行補助具のような体制になる。ダンパーによって支えられるので、腰を落とすとテンションが保たれ、仮想空間上では物陰に身を潜めて立ち上がったり、ダッキングと言ったアクションを、身体でコントロールすることが可能だ。通常のコントローラではボタン操作で行なうこれらのアクションを、実際の身体を使って行なえる。

CYBERITHのVIRTUALIZER。底面のマットで前進行動を認識するほか、ダンパーの上下によって屈む、立つ、ジャンプといった行動を認識させることができる。現在、予約受付中
「VIRTUALIZER」の動画

 Oculus Touchは、VR空間上の座標をコントローラと一致させて、任意の場所に手を触れるといったアクションをとるものになるが、指先を含めた手首全体の情報をセンシングするデバイスも登場していた。グローブ形式のコントローラで、拳を握っている状態や、グーチョキパーといった、指先の状態を仮想空間へとフィードバックする。例えばボタンクリックによる「つまむ」という動作が、よりリアルに実際の指先を使って、つまむ動作を行なうことで実行できるようになる。他にも加速度センサーを使った指輪上の入力装置などが展示され、ボクシングゲームなどのデモが行なわれていた。

コンコースで行なわれているゾンビゲーム「OVERKILL'S THE WALKING DEAD」のデモンストレーションもVRタイプ
リング型の加速度センサー付き入力装置「nod」。両指につけて、ボクシングゲームなどを行なうデモや、ドローンを指先でコントロールするデモを行なっていた
「nod」の動画
「nod」の動画その2
コンシューマー向け初を謳うVR対応のグローブ型入力装置。手の位置や、指の開き具合などを認識して、VR空間に反映させる

(矢作 晃)