イベントレポート

ASUS、ZenUIを採用したAndroidタブレット「ZenPad」

ZenPad S 8.0を紹介するASUS CEOのジェリー・シェン氏

 ASUSは、COMPUTEX TAIPEIの開催前日となる6月1日に記者会見を開催し、同社スマートフォン「ZenFone」シリーズと同じZen UIを採用したタブレット「ZenPad」シリーズを発表した。

 ZenPadは主に、Atom x3-C3200/3230(開発コードネームSoFIA 3G)ないしはAtom Z3500シリーズ(開発コードネーム:Moorefield)を搭載したタブレットで、7型、8型、10.1型と3つのサイズのディスプレイを搭載した、4つの製品が発表された。7型は「ZenPad 7」、8型は「ZenPad 8」および「ZenPad S 8.0」、10.1型が「ZenPad 10.1」となる。

 いずれも、ZenFoneで採用されているASUSオリジナルのZen UIを採用しており、ZenFoneと同じ操作体系で操作できる。また、ASUS独自の色調拡張技術「VisualMaster」を採用しており、液晶TVに近い品質で動画などを再生可能。また、周辺機器にも工夫がされており、6つのスピーカーが内蔵されているフォリオケース、ZenPad S 8.0向けにはアクティブスタイラスペン、ZenPad 10.1にはキーボードドックなどが用意されており、さまざまな使い方が可能だ。

ZenUIを採用したタブレットとなるZenPadシリーズ、大多数にIntelのSoCを採用

 ZenPadはOSにAndroid 5.0を採用したタブレット。ディスプレイのラインナップは7型、8型、10.1型の3種類で、8型が2モデルあり、合計で4製品が用意される。最大の特徴はZen UIが採用されていることだ。Zen UIが採用された製品は全体的に低価格に設定されることが少なくないが、ZenPadも基本的には低価格を狙った製品になると考えられる(ただし、今回ASUSは価格には一切言及しなかった)。

 8型の1製品を除き、SoCにはIntelのAtom x3シリーズ(開発コードネーム:SoFIA 3G-R)と、Atom Z3500シリーズ(開発コードネーム:Moorefield)の2製品が採用されている。前者はIntel初のセルラーモデム内蔵SoCで、後者は現行のMeMo PadシリーズやZenFone2などに採用されているのと同じSoCだ。今回の発表会にはゲストとしてIntel 上級副社長 兼 クライアントコンピューティング事業本部本部長のカーク・スコーゲン氏がゲストとして呼ばれ、同社のSoCが製品に採用されていることをアピールし、記念撮影を行なった。

 記者会見ではASUS会長のジョニー・シー氏がいくつかの特徴を紹介した。例えば、VisualMasterと呼ばれる機能では、ハイエンド液晶TVなどで採用されている色調やシャープネスを調整する機能が備わっており、動画や静止画を再生する時に、より明るい色調でシャープな映像で楽しめるとアピールした。

 また、オプションとして提供されるフォリオケースには、6つのスピーカーが内蔵されているとし、外出時にそれを利用することで、より良い音で音楽や動画を楽しめるとした。8型のZenPad S 8.0には、「Z Stylus」と呼ばれるアクティブペンの機能が用意されており、1.2mmのペン先で150時間のバッテリ駆動が実現されていると説明された。さらにポートがUSB Type-Cになっており、Androidタブレットとしては初めてUSB Type-Cコネクタをサポートすることになるとアピールしている。

 ASUSの日本法人の広報担当によれば、現時点での日本での投入予定は全製品未定とのことだった。ただし、一部製品ではスペックの中に日本向けのSKU表記があるなど、日本向けに投入される可能性がある。

発表会ではファッション性を重視して、モデルによるファッションショー的な要素が取り入れられた
色調、コントラスト、シャープネスなどを調整する機能が用意されており、TVライクな動画などを楽しめる
フォリオケースの中に6つのスピーカーを内蔵している製品を用意
SoCにはAtom x3(SoFIA 3G-R)とAtom Z3500シリーズ(Moorefield)を採用
ZenPad 8.0ではZ Stylusと呼ばれるアクティブスタイラスペンが利用できる
Intel 上級副社長 兼 クライアントコンピューティング事業本部 本部長のカーク・スコーゲン氏(右から2人目)も発表会に駆け付け記念撮影

Atom x3-C3200シリーズを採用したZenPad 7.0、7型WXGA液晶を採用

 ZenPad 7.0は、SoCにSoFIA 3GことAtom x3-C3200シリーズを採用した製品となる。Wi-Fi版のZ370Cと、3G版のZ370CGがあり、メモリは1GBないしは2GB、ストレージは8/16/32GB(Z370C)ないしは8/16GB(Z370CG)となる。液晶ディスプレイは7型でWXGA(1,280×800ドット)となっており、IPS液晶が採用されている。

【表1】ZenPad 7.0のスペック

ZenPad 7.0
型番Z370CZ370CG
SoCAtom X3-C3200Atom X3-C3230
メモリ1GB/2GB
ストレージ8/16/32GB8/16GB
ディスプレイ7型 WXGA(1,280×800) IPS液晶
Wi-FiIEEE 802.11b/g/n
Bluetooth4.0
セルラー-3G
カメラリア500/800万画素

フロント30/200万画素
バッテリ駆動時間8時間

容量13Wh
OSAndroid 5.0
サイズ189×110.9×8.7mm
重量272g

 Atom x3-C3200シリーズは、IntelからはAtom x3-C3200RKとして発表されている製品で、Rockchipが販売するクアッドコアのSilvermont+ARMのMali 450のGPUという構成になっている。3Gモデムを内蔵したC3230RKが公式には発表されているが、Wi-Fi版のみのC3200という製品は今回初めてその存在が確認されたことになる。

 気になるAtom x3-C3200RKの性能だが、実際に展示機で触って見たところ、率直に言って最新のAndroidタブレットとしてはややもっさり感があった。例えば、Androidの設定を開こうとすると、アイコンをタッチしてからやや待たされる感がある。このあたりは元々低価格向けのSoFIA 3G-Rなので、性能よりも価格が重視される成長市場向けということだろう。もちろん、現時点では試作機の段階なので、実際の製品が登場するまでには改善される可能性もあるだけに期待したい。

 サイズは7型ディスプレイを採用しているということで、189×110.9×8.7mm(幅×奥行き×高さ)/272gとコンパクトにまとまっており、13Whのバッテリを採用して8時間駆動が可能になっている。オプションでスピーカー内蔵のフォリオケースが用意されているほか、オレンジなどのカラーバリエーションが豊富に用意されており、ファッショナブルなデザインも特徴。

ZenPad 7.0、Atom x3-C3200RKシリーズを搭載している
ZenPad 7.0の背面
Micro USB端子を採用している
スピーカー内蔵のケースが用意されている
さまざまなカラバリのケースが用意されている

8型WXGA液晶を搭載したZenPad 8.0、LTE版はSnapdragonを採用

 ZenPadシリーズには、8型の製品がZenPad 8.0、ZenPad S 8.0と2製品用意されており、ZenPad 8.0はより低価格向けの設定となっている。

【表2】ZenPad 8.0のスペック

ZenPad 8.0
型番Z380CZ380CXZ380K
SoCAtom X3-C3200RKAtom X3-C3200RKSnapdragon MS8916/8929(8939?)
メモリ1GB1GB1/2/3GB
ストレージ8/16GB8/16/32GB
ディスプレイ8型 WXGA(1,280×800ドット) IPS液晶
Wi-FiIEEE 802.11b/g/n
Bluetooth4.0
セルラー-LTE/3G
カメラリア500万画素200万画素500/800万画素

フロント200万画素30万画素200万画素
バッテリ駆動時間9時間10時間

容量15.2Wh
OSAndroid 5.0
サイズ209×123×8.5mm
重量346g

 Atom x3-C3200RKを搭載したZ380C、Atom x3-C3230RKを搭載したZ380CXの2製品と、Snapdragon 410(MSM8916)ないしはMSM8929という製品情報には存在しないSoCを搭載しているZ380Kの2製品が用意されている。MSM8929の説明として、64bitという表記がされていたので、おそらくMSM8939の誤記でSnapdragon 615だと考えられる。

 Atom x3-C3200RKを搭載したZ380CがWi-Fi版、Atom x3-C3230RKを搭載したZ380CXが3G版、Snapdragon 410/615を搭載したZ380KがLTE版という位置付けだ。日本で販売されるとすれば、LTE版のZ380Kになる可能性が高い。

 液晶ディスプレイは8型WXGA(1,280×800ドット)のIPS液晶で、15.2Whのバッテリを搭載しており、Atom搭載版が9時間、Snapdragon搭載版が10時間のバッテリ駆動が可能。サイズは209×123×8.5mm(同)、重量は346gとなっている。また、ZenPad 7.0と同じようにスピーカー内蔵のフォリオケースが用意されている。

ZenPad 8.0はWi-Fi版、3G版、LTE版という3つのラインナップが用意されている。
Micro USBコネクタを採用している
スピーカーを内蔵したフォリオケースが用意される

アクティブスタイラスが利用できるZenPad S 8.0、USB Type-Cコネクタを採用

 ZenPad 8.0と同じく8型のディスプレイを採用したZenPad S 8.0の最大の特徴は、QXGA(2,048×1,536ドット)というアスペクト比4:3のディスプレイを搭載していることだ。このため、電子書籍などの4:3のアスペクト比で作られているコンテンツに最適だ。

 もう1つの特徴はアクティブペンが利用できることで、細いペン先のアクティブスタイラスペンで、絵を描いたり手書き文字を入力したりできる。また、USB端子として、両方向で挿せるUSB Type-Cを採用しているのも大きな特徴と言える。

【表3】ZenPad S 8.0のスペック

ZenPad S 8.0
型番Z580CAZ580C
SoCAtom Z3560/3580Atom Z3530
メモリ2GB/4GB2GB
ストレージ16/32/64GB16/32GB
ディスプレイ8型QXGA(1,536x2,048)IPS(ゴリラガラス3)/アクティブペン対応
Wi-FiIEEE 802.11b/g/n
Bluetooth4.0
セルラー-
カメラリア800万画素500万画素

フロント500万画素200万画素
バッテリ駆動時間8時間

容量15.2Wh
OSAndroid 5.0
サイズ203.2×134.5×6.6mm203.2×134.5×6.9mm
重量298g317g

 SoCはZenFone2にも採用されているAtom Z3500シリーズ(開発コードネーム:Moorefield)で、SoFIA 3G-Rなどに比べて高い処理能力を持っているため、快適に利用できる。SoFIA 3G-Rが成長市場向けとされているのに対して、Atom Z3500シリーズはGPUにPowerVR 6300シリーズを採用したハイエンドな性能を持っており、日本市場など成熟市場向けの製品と言える。なお、ZenPad S 8.0はWi-Fi版のみとなっており、3G版やLTE版は用意されない。

ZenPad S 8.0
USB Type-Cコネクタを採用
オプションで用意されるアクティブスタイラスペン

クラムシェル型として使えるキーボードドックが用意されているZenPad 10.1

 ZenPad 10.1は10.1型WXGA(1,280×800ドット)液晶を採用したタブレット。キーボードドックが用意されており、ドッキングして利用するとクラムシェル型PCのように利用できる。

【表4】ZenPad 10.1のスペック

ZenPad 10.1
型番Z300CZ300CGZ300CL
SoCAtom X3-C3200RKAtom X3-C3230RKAtom Z3560
メモリ1/2GB2GB
ストレージ8/16/32/64GB
ディスプレイ10.1型 WXGA(1,280×800) IPS(ゴリラガラス3)
Wi-FiIEEE 802.11b/g/n
Bluetooth4.0
セルラー-3G3G/4G
カメラリア200/500万画素30万画素200万画素

フロント30/200万画素200万画素500万画素
バッテリ駆動時間8時間9時間

容量18Wh
OSAndroid 5.0
サイズ251.6×172×7.9mm(本体)/251.6×172×16.5mm(キーボード取り付け時)
重量500g(955g)510g(965g)

 採用されているSoCはZ300CがAtom x3-C3200RK、Z300CGがAtom X3-C3230RK、Z300CLがAtom Z3560の3種類。Z300Cがモデムなし、Z300CGが3Gモデム版、Z300CLがLTE版となる。なお、詳細スペックによれば、3G版、LTE版ともに日本向けのSKUという表示がされており、実際に製品として投入されるかはともかくとして、日本向けの製品が準備されていることは伺える。

 タブレット単体では251.6×172×7.9mm(同)/500gで、キーボードを取り付けた時には251.6×172×16.5mm(同)/965gとなる。バッテリは18Whで、Atom x3採用版が8時間、Atom Z3560採用版が9時間となっている。

ZenPad 10.1
キーボード側にもMicro USB端子が用意されている
タブレット本体とキーボードの接続端子
ヘッドフォン端子とMicro USB端子
Micro SIMカードスロット(左)とmicroSDカードスロット(右)
ネットワークの規格には3G版、LTE版にそれぞれ日本向けのSKUが記載されている。LTE版の日本向けはバンド1/3/8/9/18/19/26/41となっていた。

(笠原 一輝)