イベントレポート

新しい“ThinkPad Pen Pro”を採用した「ThinkPad 10」

新しいThinkPad10、クイックショットカバーで自立させているところ

 Lenovoが発表した新しいThinkPad 10(別記事参照)は、重量約617g、薄さ9.1mmで、10.1型WUXGA(1,920×1,200ドット)液晶ディスプレイを採用したWindowsタブレットだ。重量やサイズ感は、Microsoftの「Surface 3」にかなり近く、Surface 3に匹敵するする強力な製品と言っても良い。

 ここでは、Lenovo Tech Worldの展示会場で公開された新しいThinkPad 10の実機を元にその利用感などをお伝えしていきたい。

 Lenovoの説明員によれば、今回の新しいThinkPad 10に採用されている「ThinkPad Pen Pro」はアクティブペン方式だが、タッチパネル側に工夫をすることで、デジタイザペンと同じような書き味を実現しているという。

SoCがBay TrailからCherry Trailへと強化されたThinkPad 10

 今回発表されたThinkPad 10は、日本では昨年(2014年)の9月に発表されたThinkPad 10の後継製品となる。

【表1】2014年版と2015年版のThinkPad 10のスペック比較
ThinkPad 10(2015年モデル) ThinkPad 10(2014年モデル)
SoC Atom x7-Z8700/8500 Atom Z3795
メモリ 2GB/4GB(LPDDR3-1600) 2GB/4GB(LPDDR3-1066)
ストレージ 64GB/128GB eMMC
液晶 10.1型(WUXGA)
ペン ThinkPad Pen Pro ThinkPad Pen
Wi-Fi IEEE 802.11ac IEEE 802.11n
Bluetooth Bluetooth 4.0
WWAN 3G/4G(オプション)
インターフェイス Micro HDMI 1.4a/microSDカード/USB 3.0 Micro HDMI 1.4a/micro SDカード/USB 2.0
カメラ 背面500万画素(LEDフラッシュ内蔵)/前面 120万画素 背面800万画素(LEDフラッシュ内蔵)/前面 200万画素
バッテリ 10時間(32Wh) 10時間(33Wh)
重量 617g 約590g(Wi-Fi/ペンなし)
サイズ 256.5×177×9.1mm 256.5×177×8.95mm
ボディーカラー グラファイトブラック ブラック
OS Windows 10 Windows 8.1

 最大の違いは、SoCがBay TrailのAtom Z3795から、Cherry TrailのAtom x7-Z8700/8500へと変更されていることだ。Cherry TrailはBay TrailからGPUが大きく強化されており、実行エンジン(EU)の数が4倍の16基(Z8700の場合、Z8500は12基)に増やされている。よって描画性能が大きく向上する。

 メモリは2GB/4GB、ストレージは64GB/128GBとなっており、こうしたスペックは、国内でも6月末から発売されるSurface 3に匹敵する。現在までのところMicrosoft以外にCherry Trailを採用しているメーカーはない。

 もう1つの大きな違いはWi-Fiで、従来モデルがIEEE 802.11n対応だったのに対して、新モデルではIEEE 802.11acに対応している。一方Bluetooth 4.0、さらにはワイヤレスWAN(3Gないしは4G)がオプション(市場により扱いが異なる)なのは従来同様だ。

オプションクイックショットカバーをカバーとして使っているところ
オプションのUltrabookキーボードと一緒にクラムシェルモードにしているところ
背面にはカメラと、指紋リーダー(オプション)がある
本体の右側面。Micro HDMI、USB 3.0、ボリュームスイッチなどが用意されている。スイッチは中にくぼむ形になっており、間違って押されないように配慮されている
展示されていたサンプルにはCPUはCherry TrailのES品が搭載されていた。OSもWindows 8.1 Proだったが、製品版ではWindows 10になる

周辺機器は従来のをそのまま使い回せる

 外見は、若干厚さが増えていることを除けばほぼ同じで、パッと見は従来モデルとほぼ変わらないデザインに見える。しかし、大和研究所のエンジニアによれば、外見は同じに見えるものの、内部は新設計になっている。

 もちろん、SoCがBay TrailからCherry Trailに変更されたのもそうだし、メモリもLPDDR3-1066からLPDDR3-1600に変更されていることなどもあり、性能面では大幅に向上している。しかし、その分で熱設計的には厳しくなり、その面も併せて再設計が行なわれたと考えられる。

 ただ、バッテリの容量自体は、従来の33Whから32Whへと減っているのに、駆動時間は同じ公称10時間となっている。Surface 3の28Whに比べて4Whほど多くバッテリが搭載されているので、概ね1割近く長い駆動時間を実現できると思われる。

 一方、周辺機器は、従来製品のThinkPad 10(14年モデル)と互換性がある。キーボード、タブレットドック、クイックショットカバーといった周辺機器は、新しいThinkPad 10でもそのまま利用することができる。従来モデルのユーザーにとっては投資対効果が大きく、企業ユーザーにとっては嬉しいニュースと言える。

静電容量方式のアクティブペンに変更されたThinkPad 10

 従来モデルとの最大の違いは、オプションで用意されているペンだ。今回のThinkPad 10向けに用意されているThinkPad Pen Pro(オプション、40ドル)は、デジタイザ方式のペンではなく、静電容量方式のアクティブペンとなる。

 従来のThinkPad 10では、注文時にデジタイザオプションを選択している必要があり、それを選ぶと大幅なコストアップになってしまっていた。というのは、デジタイザペンの場合は、本体側にデジタイザを内蔵する必要があるからだ。このため、デジタイザを内蔵していないThinkPad 10でペンを利用したいと思っても、本体を買い直すことしか選択肢がなく、柔軟性にやや欠けていた。

 そこで、新しいThinkPad 10では静電容量方式のアクティブペンを採用した。一般的なタッチ液晶で採用されているのと同じ方式だが、ThinkPad Pen Proでは電池で駆動するアクティブペンとなっているため、タッチを利用する場合に比べて精度が大幅に向上する仕組みになっている。

 また、本体側、つまりタッチパネルにも、アクティブペン利用時の精度を上げる工夫が入っているとのことで、書き心地がデジタイザペンと遜色ないという。これにより、コストアップ要因を避けることができ、ユーザーはオプションのThinkPad Pen Proを購入するだけで、ペンが利用できるようになった。

 さらに、このThinkPad Pen Proの仕組みは、今後ほかのタッチ機能を持つThinkPadにも採用していくという。例えば、ThinkPad YOGAのような2-in-1や、ThinkPad Helixのようなタッチが利用できるモデルでは、ThinkPad Pen Proに対応させる方針だという。

 こうしたモデルでThinkPad Pen Proが利用できるようになることは、低コストで使い勝手の良いペンが利用できるようになるため、ビジネスユーザーにとっては朗報と言えるのではないだろうか。

 ThinkPadを開発している大和研究所は、古くからペンには取り組んでおり、その書き心地にも定評がある製品をリリースしてきた。その大和研究所のエンジニアが遜色ないというのだから、かなり期待していいのではないだろうか。ただし、今回はThinkPad Pen Proそのものは展示されておらず、展示されていたのも試作機で、OSはWindows 8.1のままだった。このあたりは製品版でぜひともチェックしたいところだ。

価格は549ドルからで、出荷は8月から

 なお、ThinkPad 10の価格は549ドル(日本円で約6万5千円強)からで、当初は夏から出荷と公式にアナウンスされたが、Lenovo Tech Worldの基調講演の中で同社の会長 兼 CEOのヤン・ヤンチン氏が「ThinkPad 10は8月に出荷する予定」と発言した。このため、そう遠くない時期には入手できるようになると考えることができるので、低コストでペンが使える10型クラスのタブレットが欲しいユーザーであれば期待して良いだろう。

(笠原 一輝)