イベントレポート

MicrosoftとSCEがプレスカンファレンスを開催

〜PlayStation Nowが7月にオープンβ化。Xbox Oneは純ゲーム指向に

会期:6月10日〜6月12日(現地時間)

会場:米ロサンゼルス Los Angeles Convention Center ほか

 米ロサンゼルスで6月10日〜12日(現地時間)に、恒例のゲームイベント「E3」(Electronic Entartainment Expo)が開催される。会期前日となる9日には、コンソールゲーム機のプラットホームを抱える米MicrosoftとSCE(Sony Computer Entertainment)が、相次いでメディア向けのカンファレンスを行なった。2012年までは両社に加えて任天堂もE3開催に合わせたプレスカンファレンスを催していたが、2013年からはストリーミング中継のNintendo Directを実施する形に移行している。2014年も、E3会場の展示ホール開場より1時間早い10日午前9時(日本時間11日午前1時)から、岩田聡社長らが登場するNintendo Directをストリーミングすることを予告している。

 2013年はMicrosoftが「Xbox One」を、SCEが「PlayStation 4」を北米および欧州でホリデーシーズンに合わせて出荷したため、その前哨戦にあたるE3 2013でもスペックや価格、ローンチタイトルなど幅広い情報が提供された。日本市場では、PlayStation 4が2014年2月に出荷を開始し、Xbox Oneは9月4日に出荷開始を予定している。事実上の世界ローンチを終えて、2014年は収穫を始めるべく、主力タイトルを続々と紹介するスタイルでのカンファレンスとなった。

PlayStation Nowを北米地域の全PlayStation 4、PlayStation 3に開放

カンファレンスに登壇したSCEグループCEOのアンドリュー・ハウス氏

 SCEは北米市場向けにPlayStation 4のカラーバリエーションモデルとなる「グレイシャー・ホワイト」を追加する。北米では9月9日の出荷を予定しており、価格は449ドル。本体とコントローラのほか、ホリデーシーズン向けの大型タイトル「Destiny」とPlayStation Plus 30日間無料利用権をセットにするバンドルパッケージだ。付属するコントローラの「Dual Shock 4」も本体と同じグレイシャー・ホワイトだが、「PlayStation 4 Camera」は同梱されない。なお、これらは北米での発表内容で、日本市場における情報は別途告知されている。

 バンドルされるDestinyは、Xboxの看板タイトルである「HALO」の開発スタジオ「BUNGIE」の最新作。2013年の同カンファレンスで開発が発表された。Xbox OneでもHALOシリーズは継続してリリースされるが、すでにHALOの開発はMicrosoft傘下の開発スタジオに移行しており、BUNGIEの開発リソースの多くは、このDestinyに注がれている。北米地域では、マルチプレイβ版をPlayStation 4ユーザー向けに7月17日より公開。さらに、α版を木曜日にあたる6月12日から提供するとしている。

PlayStation 4のカラーバリエーションモデル「グレイシャー・ホワイト」を9月9日に出荷。大型タイトルの「Destiny」などがバンドルされる
北米地域では、7月17日(現地時間)からDestinyのβ版を公開する
加えてDestinyのα版は、今週木曜日から入手可能

 また、日本では「PS Vita TV」として発売されたVita互換の小型コンソールを、「PlayStation TV」として、北米市場にも投入する。こちらは国内仕様のホワイトから一転、ブラックで提供される。北米における価格は99ドル。日本と同様にDual Shock 3と8GBメモリ、Vita用のタイトルをバンドルしたパッケージも用意され、こちらは139ドルで出荷される。発売時期は今秋。

 日本市場向けには、HDMI出力によるVitaタイトルのプレイに加えて、PlayStation Storeの映像配信、あるいはネットワークレコーダ「nasne」のクライアントとして番組視聴や、録画管理機能などをアピールしていた。一方、米国ではPlayStation 4のタイトルをストリーミングでプレイすることが出来る「PS4 Link」機能を前面に出して、いわゆるセカンドルームでのコンソールゲーム機としても訴求するものと見られる。

 PS4 Linkと同様に、「PlayStation Now」に対応する点もPlayStation TVの訴求点になる。PlayStation Nowは、PlayStation 4の発表に合わせてGaikaiの事業を買収し、ゲームのストリーミングプレイを実現する技術とサービスになる。PlayStation 4自体には下位互換性がないため、PlayStation 3のタイトルを継続プレイするための手段として、PlayStation 4向けの移植とストリーミングプレイの2本立ての対策が取られているとも言える。

 PlayStation Nowは、北米地域でPlayStation 4およびPlayStation 3向けに7月31日からオープンβサービスを開始する。すでに1月からクローズドのサービスは展開しているが、全ユーザーにサービスを拡大する。オープンβの時点では、100本以上のPlayStation 3向けのタイトルを提供する予定。今秋以降、前述したPlayStation TVおよびPS Vita向けに順次対象を拡大する。その後、北米地域で販売されているソニー製の液晶TV「BRAVIA」にも対応する見通し。日本および欧州地域についても、準備を進める。

日本市場向けにはホワイトだったカラーをブラックに変更し、名称も「PlayStation TV」にあらためて北米市場向けにも投入する
2015年にはDisneyも参入することでプラットホームの価値を強調
北米における価格は99ドル。Dual Shock 3コントローラやメモリ、ゲームタイトルのバンドルパッケージは139ドルの価格設定
PlayStation TVは、国内でのTV放送クライアントの役割に対して、PS4 Linkでのストリーミングプレイ、PlayStation Nowのコンソールとしても訴求される
北米地域ではこれまでユーザーを限定して行なってきたPlayStation Nowのサービスを、7月31日付けでPlayStation 4および3の全ユーザーに開放する
PlayStation Nowは、北米で出荷される「BRAVIA」にも対応予定
紹介されたパブリッシャーのPlayStation 3タイトルが100本程度提供される見通し
エンターテインメント分野では、コミック原作をベースにTVシリーズの制作も行なう

 カンファレンスでのSCEの発表によれば、95%のPlayStation 4はPSN(PlayStation Network)ヘ接続されており、累積で12.5億時間のオンラインマルチプレイが行なわれている。マルチプレイのセッション数は10億回を超え、PlayStation 4の売り物でもあるプレイ動画のシェア数は、2.2億件に上る。シェア動画の投稿先として、新たにYouTubeが追加される。こうしたシェア機能の好調さを背景に、標準でインストールされている「The PLAYROOM」の機能の拡張も実施する。

展示ホールの同社ブースでは、今春のGDCで開発発表されたモーフィアスのデモンストレーションも行なわれる
モーフィアスで体験できるタイトルの紹介

 カンファレンスの中心となる2014年のホリデーシーズン向けのタイトルは、前述したDestiny、「Little Big Planet 3」、「Far Cry 4」などナンバリングタイトルを中心に充実したラインナップを揃えた。ほかにも、独立系の開発スタジオの参入も多い。開発のしやすいプラットホームが短期間に相当数普及していることで、開発リソースや資金がコンソールゲーム市場に再流入している。カンファレンス全体のバランスとしては、紹介されたタイトルのおよそ3分の2が2014年のホリデーしズン向け、残りの3分の1が、2015年発売に向けた大型タイトルのアナウンスやプレビューといった内容になっていた。個々のタイトルの詳細については遼誌のGame Watchで継続してレポートを行なっている。

PlayStation 4のPlayStation Networkへの接続率は95%に達する
オンラインプレイの累積時間は、12.5億時間
オンラインマルチプレイが行なわれた回数は10億回以上
シェアされているプレイ動画は、2.2億件あまり
プレイ動画の投稿先にYouTubeが加わる。投稿先として選択できるほか、フレンドがYouTubeに投稿したプレイ動画も、ライブタイルに加わる
プレイ中の様子をシェアするThe PlayRoomの機能も拡張する
カンファレンスの同日夜からPlayStation 4向けに9.99ドルで配信される「ENTWIND」。開発が容易になったことで、コスト面などの障壁がなくなりインデペンデント系の開発者がソーシャルゲームに対抗しうる価格帯で、ゲームを提供できるようになる
看板タイトルの1つ「Little Big Planet 3」は11月に出荷される
BANGIEによるDestiny
The Last of UsのPlayStation 4版も今夏登場
最初の一場面が予告編に登場しただけで会場が盛り上がる「GTA 5」
アンチャーテッド4(Uncharted 4 A Thief's)の予告編がカンファレンスの最後に公開された

コンテンツハブからゲーム指向に方向転換するXbox One

Xbox部門のヘッド、フィル・スペンサー氏が登壇
日本では9月4日の出荷を予定している「Xbox One」

 Microsoftのカンファレンスは冒頭に「今日はゲームとゲームと、そしてゲームの話をする」という前置きがあった通り、90分間のカンファレンスはひたすら2014年のホリデーシーズンと2015年に発売されるタイトルのデモプレイと、予告編の上映に終始した。

 2013年までは、Xboxをリビングの中心となるデバイスと位置付けて、米ケーブルTV各社との連携なども訴求していたが、2014年は大幅な方針転換を行なっている。Xbox Oneのハードウェア的な特徴としては、HDMI入力とHDMI出力の双方を備え、ケーブルTVのセットトップボックスと出力先のディスプレイの間にXbox Oneを配置することで、ケーブルTVのサービスなどと連携することも目指していた。

 一転、ゲーム中心へと転換したのは、北米市場について競合するPlayStation 4に対して出荷台数などで劣勢が伝えられるからと推測される。当初はKinectをXbox Oneの必須デバイスとして同梱していたため、価格競争力でもPlayStation 4の後塵を拝することになり、今春にはKinectを別売とする廉価パッケージを出荷している。

 カンファレンスでのデモプレイにおいても、Kinectが登場する場面はなく、予告編として流されたDance Central 3などはKinect前提かも知れないが、ほかのハードコアゲームはコントローラ主体のプレイスタイルになっている。

 Xbox Oneの独占タイトルが「HALO」シリーズだ。PlayStation 4と同様にXbox Oneも下位互換性はないため、看板タイトルの1つであるHALOを、全シリーズワンパックにした「THE MASTER CHIEF COLLECTION」として11月11日(現地時間)に出荷する。同パックには、2015年に発売するナンバリングタイトル「HALO 5 : Guardians」のβアクセス権が付属する。マルチプレーヤーβは12月にリリース予定。また、既存タイトルのグラフィックスは、Xbox Oneのグラフィックスレベルに合わせて更新されている。

 ローンチタイトルだった「Forza 5」では、新たにニュルブルクリンクのコースデータを追加。ユーザーに無償でコンテンツを提供する。ほかにもフランス革命を舞台にした「Asassin's Creed : Unity」をはじめ、Call of Dutyシリーズの新作など、大型タイトルが続々とアナウンスされた。

 日本市場向けには、Xbox Oneのローンチが9月4日と発表されている。すでに出荷されているタイトルと、この日のカンファレンスで発表されたタイトルの中には国内ローンチ向けの主力タイトルが何本か含まれるものと推測される。

カンファレンス最初のデモンストレーションは「Call of Duty : ADVANCED WARFARE」
ローンチタイトルの「Forza 5」には、ニュルブルクリンクのコースデータを提供
「Assasin's Creed : Unity」はフランス革命が舞台。マルチプレーヤープレイにも対応する
カプコンの31周年記念タイトル。中身はDEAD RISING 3のダウンロードコンテンツ
マルチプレイRPG「Fable Legends」
HALOは過去四作品をXbox One仕様のグラフィックスに作り直して、パッケージ化
The Master Chief Collectionとして11月11日に出荷される。HALO 5のβアクセス権も付属する
配信専用のインデペンデント系タイトルも紹介された

 10日の展示ホール開場以降も、PC関連の周辺機器やPC関連タイトル、サービスなどを中心にレポートをお届けする。

(矢作 晃)