イベントレポート

Firefox OSが正式発表。2013年の半ばにはエンドユーザー向け製品を出荷

〜会場に展示されたFirefox OS対応スマートフォンを紹介

会場:スペイン バルセロナ Fira Gran Via

会期:2月25日〜28日(現地時間)

 Mobile World Congress開幕前日の24日(現地時間)に、Mozilla Foundationはプレスカンファレンスを行なってFirefox OSを正式に発表。商用ビルドが動作するFirefox OS対応端末を紹介するとともに、端末を製造するメーカー、パートナーシップを結ぶ通信事業者などの紹介を行なった。2013年の中頃には新興国市場を中心にして流通を開始する。

 Firefoxは、Mozillaが開発を続けているPC用のWebブラウザとして知られている。Firefox OSも、このブラウザ技術をベースとしたモバイル向けのOSとして開発が進められてきた。オープンソースOSとして開発されていて、事業者によるカスタマイズの自由度も高い。

 Mozillaの発表によれば、「Firefox OSを搭載するスマートフォンは、全てがオープンなWeb標準技術に基づいて開発された初めての製品であり、全ての機能をHTML5アプリケーションとして開発できる。Webアプリはデバイスのあらゆる基本機能にアクセスし、モバイルデバイスで一般的に見られるHTML5の障害を回避して、優れたパフォーマンスを提供できる」としている。併せて「プラットフォームの柔軟性により、通信事業者は各社の顧客固有のニーズに合わせてインターフェイスを簡単にカスタマイズし、ニーズに応じたサービスを提供できる」と、導入のメリットを説明している。

Mozilla CorporationのCEO、Gary Kovacs氏。「オープンでみんなが参加でき、どこでも使えるプラットフォームが必要」とFirefox OS提供の理由を説明
Mozillaの製品担当上級副社長であるJay Sullivan氏が対応製品の概要を説明
展示ホール内にあるMozillaのブース

 HTML5で記述されているアプリケーションは、オンラインでの利用だけでなくFirefox OS搭載のスマートフォンにも保存され、一般的なスマートフォンのアプリケーションと同様に非接続状態でも利用可能なほか、HTML5で記述されたWebページと同様にネットワーク接続時には最新の状態に更新し表示されることで、アプリケーションを常に最新の状態で利用することができる。この仕組みをプレスカンファレンスでデモを行なった、Mozillaの製品担当上級副社長であるJay Sullivan氏は「アプリケーションとWebの間の壁を壊す」と紹介した。

 アプリケーション配信のプラットフォームとしてはMozilla自身が「Firefox Marketplace」を提供するものの、通信事業者が独自の配信プラットフォームを運営したり、開発者が直接アプリを配信することも可能になっていて、こちらにもオープンな姿勢が貫かれている。

Firefox OSのプレスカンファレンスに登壇したQualcommのCEO、Paul E.Jacobs氏。MWCの会期中は八面六臂の活躍で、幾多のカンファレンスに同氏の姿がみえる
Firefox OSへの賛同を示す、端末製造企業、通信事業者などの一覧がスライドで示された
定番と言えるサービスやアプリケーションが、Firefox OSでも利用できる
地図機能をデモンストレーション。使われているのはNOKIAが提供するHere Maps

ホールにはFirefox OS対応のスマートフォンが展示される

 発表があったFirefox OS対応のスマートフォンを製造するのは、Alcatel(TCL)、LGおよびZTE。やや遅れてHuaweiも対応スマートフォンの製造を開始する。このうち、ZTEとAlcatel One Touchは、それぞれのブースで稼働するデモ機の展示を行なっていた。

Firefox OS搭載のスマートフォンを製造する4社。LG、ZTE、Alcatel One Touchが先行し、Huaweiはやや遅れて製造を開始するという

 Alcatel One Touchによる製品は「One Touch Fire」。Snapdragon S1 1GHzを搭載する。スクリーンサイズは3.5型で、解像度はHVGAの320×480ドット。背面カメラは320万画素。前面側にカメラはない。最大32GB利用可能なmicroSDカードスロットを搭載する。メモリは256MB。Firefoxのイメージカラーであるオレンジと、Alcatel One Touchのイメージカラーであるスカイブルーの2色の端末が展示された。

 ZTEは「ZTE Open」をプレスカンファレンスで正式に発表。搭載するプロセッサはSnapdragon S1 7225A 1GHzで、前述のOne Touch Fireと同様。背面カメラは320万画素。無線LAN機能はIEEE 802.11b/g/nに対応。Bluetooth 2.1+EDRやmicroSDカードスロットも搭載する。本体サイズは62×114×12.5mm(幅×奥行き×高さ)で、バッテリ容量は1,200mAh。こちらもオレンジとブルーの2色が展示されていた。

Alcatel One Touchでの展示の様子。2台の「One Touch Fire」が什器に設置されているほか、説明するスタッフの手にも数台の製品が握られている
「One Touch Fire」。Firefoxのイメージカラーであるオレンジの製品
「One Touch Fire」の背面。320万画素の背面カメラと“Powerd by Firefox OS”の文字が見える
Alcatel One Touchのイメージカラーであるスカイブルーを使った「One Touch Fire」
「ZTE Open」。Snapdragon S1 7225A 1GHzを搭載する
「ZTE Open」の背面。カメラは320万画素
やはりZTE OpenにもFirefoxのイメージカラーであるオレンジの製品が用意されている。画面はFirefox Marketplaceの様子
Qualcommのブースには、プロトタイプと思われるグレーのZTE Openが展示されていた

 また、アプリケーション開発者向けにはスペインのベンチャー企業であるGeeksphoneから、Developer Preview版となる「keon」「peak」の2製品が発表済みで、これから数週間以内に提供される見込み。このDeveloper Preview版の端末はオンライン販売される。

 「keon」は前述した年内出荷の商用端末に近いローエンドな仕様で、プロセッサはQualcommのSnapdragon S1 7225AB 1GHzを搭載する。スクリーンサイズは3.5型。解像度は320×480ドット。カメラは300万画素。RAMは512MB。microSDカードスロットを搭載する。無線LAN機能はIEEE 802.11b/g/nで、Bluetooth 2.1+EDRも搭載。バッテリ容量は1,580mAh。通信方式はUMTS 900/1,900/2,100(3G/HSPA)とGSM 850/900/1,800/1,900(2G/EDGE)。

 一方m「peak」はハイエンドに近い仕様で、プロセッサはQualcommのSnapdragon S4 8225 1.2GHzを搭載する。スクリーンサイズは4.3型となりIPS液晶で540×960ドットの解像度を備える。背面カメラは800万画素、keonにはない200万画素の前面カメラも搭載する。メモリは512MB。microSDカードスロットを搭載する。無線LAN、Bluetooth、通信方式などはKeonと同様。バッテリ容量は1,800mAhと大容量化されている。

スペインのベンチャー企業Geeksphoneのブース。本社はマドリッドにあり、数十人規模の企業とのこと
Developer Preview版端末の「keon」。Snapdragon S1 1GHzを搭載する。液晶サイズは3.5型
同じくDeveloper Preview版端末の「peak」。こちらはハイスペックモデルでQualcomm Snapdragon S4 8225 1.2GHzを搭載。4.3型のIPS液晶を搭載する
実際にNexus Sにα版のFirefox OSを導入した様子。独TelekomのプリペイドSIMを使ってローミングで動作させている

 またXDA DevelopersではNexus SやGalaxy Nexusなどをはじめとする、既存のAndroid端末に対してインストールが可能なFirefox OSのα版が提供されている。筆者もバルセロナ到着直前に、ドイツのプリペイドSIMでローミングさせている手持ちのNexus Sへインストールを行なってみた。

 端末自体が2年以上の前の製品であり、OSもα版ということもあって、やや動作のサクサク感には欠けるものの、OSの目指すところや操作イメージはおおまかに知ることができた。個人レベルでこうしたトライアルができることもオープンなOSならではということだろう。

 Firefox OS搭載端末の導入を検討しているのは、日本のKDDIを含む以下の17通信事業社。

・America Movil
・China Unicom
・Deutsche Telekom
・Etisalat
・Hutchison Three Group
・KDDI
・KT
・MegaFon
・Qtel
・SingTel
・Smart
・Sprint
・Telecom Italia Group
・Telefonica
・Telenor
・TMN
・VimpelCom

 さらにTelstraも歓迎の意向を示している。

 このうち2013年の中頃といわれる最初の導入国は、ブラジル、コロンビア、ハンガリー、メキシコ、モンテネグロ、ポーランド、セルビア、スペイン、ベネズエラの各国。Telefonica系列のキャリアが大半を占める。KDDIは今後1〜2年内を目途としている。

MWCにブース出展したスペインの通信事業者大手Telefonica(テレフォニカ)。スペイン国内ではMovister。欧州のO2ブランドもTelefonica系企業だ
Telefonicaブースの一角でデモンストレーションされているFirefox OS
Telefonicaブースの展示。手前にあるのが開発者向けの「Peak」。奥にはHuaweiの既存Android端末にFirefox OSのα版がインストールされて動作している

 また、スペイン通信事業者大手のTelefonicaは25日にニュースリリースを出し、ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia Z」、「Xperia Tablet Z」をTelefonicaで扱うことに加えて、Firefox OSを使った端末の開発を、Telefonicaとソニーモバイルコミュニケーションズの両社で検討することを明らかにした。前述した端末製造メーカーに、ソニーモバイルコミュニケーションズが今後加わる可能性がある。

(矢作 晃)