イベントレポート
【Digital Experience/ShowStoppers編】
~“Gorilla Glass”でおなじみのCorningからThunderbolt/USB 3.0対応の光ケーブルが登場
(2013/1/10 01:49)
International CESの開催にあわせて、コンベンションセンター近隣のホテルでは数々の関連イベントが併催されている。代表的なものが「Digital Experience」と「ShowStoppers」だ。前者はCESの開幕前夜、後者はCES開幕日にそれぞれ開催されるのが恒例で、今回も7日、8日にそれぞれ盛大に催された。
これらのイベントの特徴は、CESの一般会期とは異なり来場者を世界中から訪れている報道関係者に絞っている点が挙げられる。CES会場における一般向けの展示では、バイヤーやエンドユーザーがブースに訪れるため、商談スペースを設置したり、エンドユーザーにも分かりやすい演出が必要となる。しかし、こうした併催イベントは出展社側がメディア向けに紹介したい製品を絞り込んで、マンツーマンで積極的なアピールをする場として機能している。中にはCESには出展せず、これら併催イベントだけに出展する企業や、スタートアップ企業も多い。本稿ではこの2つのイベントで紹介されていた新製品をいくつか紹介する。
Thunderbolt、USB 3.0対応の光ファイバーケーブルが登場
スマートフォン、タブレットを中心に採用されている強化ガラスと言えば「Gorilla Glass」がすっかり製品の代名詞となった。一般的には、アルミノケイ酸ガラスと呼ばれる特殊ガラスの1つで、高強度/高剛性が特徴。同様の強化ガラスを開発、提供しているメーカーはほかにもあるが、知名度ではGorilla Glassが飛び抜けている。
そのGorilla Glassを提供するCorningは、International CESにあわせて第3世代にあたる「Corning Gorilla Glass 3」を発表した。2013年半ばから、このGorilla Glass 3を採用したスマートフォンなどのデバイスが順次登場する見通しとなっている。
Gorilla Glass 3は素材としてメーカー向けに部材として提供される製品だが、他方でCorning社はコンシューマー向けに光ファイバーケーブルも発表した。「Corning Optical Cables」として紹介されたケーブルは、ThunderboltとUSB 3.0にそれぞれ対応する二種類の製品。Thunderbolt対応の光ファイバーケーブルとしては、2012年末から出荷を開始している住友電工の製品に次ぐ2番目の製品となる。
光ケーブル化する最大のメリットは機器間の総延長が伸ばせること。銅配線では3mとされているが、今回発表されたCorning社の製品で最長のThunderboltケーブルは100mが用意されている。銅配線とは異なりホストPC側から電力を供給することはできないので、セルフパワーで利用可能な機器に限られるものの、“周辺機器”の常識から考えれば果てしない距離に設置が可能だ。USB 3.0対応製品は最大延長が30mまで。やはり電力供給はできないので、セルフパワーの周辺機器が対象となる。
もう2つ、光ファイバーケーブルの特徴として折り曲げに弱いという点があるが、同社は独自の技術でこれを改善し、一般的な光ケーブルでは折れてしまうような状況でも、データ伝送が可能であると紹介されている。
Thunderbolt、USB 3.0対応製品ともに、今四半期(2013年3月)末までに出荷を予定する。Thunderboltは長さの違いで数種類、USB 3.0は一般的なAタイプとBタイプを持つ製品と、Bコネクタのオス/メスが両端にある延長ケーブルの2種類が複数の長さで提供される見通し。市場想定価格は現時点では未定とのこと。
Thunderbolt関連では、ストレージメーカーのLaCieが5つのドライブベイを搭載するThunderbolt対応のRAIDストレージ「LaCie 5big Thunderbolt RAID」を出展した。RAID 0で運用した場合、最大20TBの容量を実現する。2TB×5台構成の10TBモデルが1,199ドル(税別)、4TB×5台構成の20TBモデルが2,199ドル(同)。
PCでもThunderboltポートをもった製品はいくつか出荷されているが、LaCieではMacProを除く事実上の全製品にThunderboltを搭載するMacにターゲットを絞り、Mac対応の周辺機器として発売する。
併せて同社は、フィリップ・スタルク氏がデザインしたUSB 3.0対応ストレージと、5台のドライブを搭載可能なNAS「LaCie 5big NAS Pro」も出展。IntelのデュアルコアAtomプロセッサを搭載している。
センサー内蔵のスプーン、フォークも登場。デジタルヘルスケア製品群
HAPILABSが出展したのは、モーションセンサー内蔵のフォーク「HAPIfolk」。フォークを握った手の動きを検知することで、口に食べ物を運ぶペースの速さや食事時間などを測定する。こうしたデータを可視化することで、早食いや大食いなど、肥満につながる食事方法を抑制するという。デモ機はフォークだけでなくスプーンもあった。
初期製品だけあって、ちょっとお洒落とは言えないデザインではあるものの、BluetoothによってスマートフォンやPCと接続。収集されたデータを可視化し、適切なアドバイスを表示する。フォーク・スプーンはUSB 接続で充電を行なう。
「HAPIfolk」に限らずデジタルヘルスケア製品は、利用したからといってそれが直接体調を良くしたり、ダイエットにつながるものではない。さまざまなデータを可視化するこで、体調管理やダイエットなどの方向性を定め、モチベーションを維持するのが狙いだ。