【MWC 2012レポート】
LG Electronics/HTC展示ホールレポート
~ アスペクト比4:3のスクリーンを搭載する「Optimus Vu:」など

アスペクト比は4:3。5型の1,024×768ドットというスクリーンサイズが特徴の「Optimus Vu:」

2月27日(現地時間)開催
会場:Fira de Barcelona(バルセロナ国際展示場)



●アスペクト比4:3の大型液晶を搭載するLGの「Optimus Vu:」

 韓国のLG ElectronicsはMobile World Congress 2012(以下、MWC)の開催にあわせて、5型の大型液晶を搭載する「Optimus Vu:」、Tegra3搭載のハイスペックモデル「Optimus 4X HD」、裸眼3D立体視対応の「Opitmus 3D MAX」などの新製品を発表した。これらの製品はいずれも同社のブース内でデモンストレーションされている。

 大型化の進むスマートフォンのスクリーンパネルだが、「Optimus Vu:」の5型というサイズ以上に注目を集めるのはそのアスペクト比だろう。同社の他製品も含め、一般的にスマートフォンと呼ばれる製品の多くが、16:9、あるいは16:10のアスペクト比を持つスクリーンパネルを採用するのに対して、「Optimus Vu:」のアスペクト比は4:3。1,024×768ドットのXGA解像度を持つ。同社の説明員によると、このアスペクト比は雑誌などの電子書籍を読むには最適な比率にあたるとしている。ちなみにAppleのiPadも現行製品は1,024×768ドットのスクリーンを採用しており、アスペクト比は4:3だ。iPadは多機能端末ではあるが、電子書籍ビューアとしても広く活用されており、この説明はそれなりに納得がいく。

 スクリーンのアスペクト比以外にもスタイラスを使った手書き入力にも対応。こちらは5型クラスでNoteという使い方を提案して先行する、SamsungのGalaxy Noteを意識した機能とみることができる。スペック面ではCPUとしてQualcomm製のSnapdragon 1.5GHzデュアルコアを採用。サイズは90.4×139.6×8.5mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は168g。リアカメラは800万画素、フロントカメラは180万画素。モバイルネットワーク機能としてLTEに対応していることも特徴。薄いながらも本体サイズの大きさを活かし、2,080mAhのバッテリを搭載。OSはAndroid 2.3(Gingerbread)だが、早期にAndroid 4.0(Ice Cream Sandwitch)へのアップグレードを予定している。

 製品はグローバルモデルとして発表されており、2012年第一四半期中に出荷を行なう。最初は韓国内のキャリアから出荷が始まる見通しだ。

「Optimus Vu:」を手にしたところ。大きいのは事実だが、Samsungの5.3型Galaxy Note同様に、手書きノートと言われればそれなりに納得できるサイズ私物のiPhone 4Sとの比較。iPhoneには保護用のジャケットが付いているが、それでもこれだけ大きさとスクリーンのアスペクト比が違う「Optimus Vu:」の背面。梨地加工で滑りにくくなっている。4G LTEの文字も見える。スタイラスペンが付属するが、本体内には収納できない
スペインでは商用LTEサービスがまだ行なわれていないこともあり「Optimus Vu:」のLTEデモは展示台に固定されたまま。手にすることができる製品はWi-Fiで稼働している。会場の一部はEricssonによるエリアを限定したLTE網が構築されており、他社ブースも含めて端末によってはそのLTE網を利用してデモが行なわれている場合もある
8.5mm、168gというサイズは、同サイズの紙のノートよりも薄く、軽いという紹介展示ブース内の純正アクセサリーコーナーでは、「Optimus Vu:」専用のケースなども展示されていた4:3のアスペクト比は、電子書籍ビューアとして雑誌等を見るのに最適な比率と紹介

 「Opitmus 3D MAX」は、昨年(2011年)のMWCで発表された「Opitmus 3D」のスペックアップ製品にあたる。特徴である3Dの裸眼立体視に対応したディスプレイ、3D写真や動画が撮影できるリアのツインカメラなどの基本デザインはそのままに、CPUをTI製のOMAP4430 1.2GHzにスペックアップした。スクリーンサイズは4.3型で800×480ドット。本体サイズは67.4×126.8×9.6mm(同)、重量は148g。バッテリ容量は1,520mAh。NFCもあわせて搭載する。

 韓国国内では3月にも出荷を予定し、順次世界市場に展開していく予定とのこと。なお「Opitmus 3D MAX」は「MHL(Mobile HighDifinition Link)」に対応する製品で、本体のMicro USB端子から、MHLアダプタを介してHDMI対応の大型ディスプレイにスクリーン表示が行える。ディスプレイ側が対応していれば、3Dでの表示も可能となる。従来モデルはMicroUSB、Micro HDMIの両端子を備えていたが、MHL対応とすることで、Micro USB端子に統一した格好だ。

裸眼3D立体視に対応する4.3型スクリーンを搭載する「Opitmus 3D MAX」。写真ではわかりにくいが、表示中の映像は3D動画になっている「Opitmus 3D MAX」の展示の様子。多くの来場者が、裸眼3D立体視の様子を確かめていたMicro USB端子は側面に付いており、充電や同期のほか「MHL(Mobile HighDifinition Link)」に対応。3D動画をHDMI出力することもできる

 クアッドコアを搭載するハイエンド製品としては「Optimus 4X HD」が発表・展示された。CPUとして1.5GHzのTegra3を搭載。スクリーンサイズは4.7型で1,280×720ドット。本体厚が8.9mmであることは公表されているが、幅と高さの正確なサイズと重量は、ブース内では紹介されていなかった。バッテリは大きさや厚さから想像するわりに大容量の2,150mAhを搭載するとされる。Vu:や3D MAXとは異なり、出荷時点からAndroid 4.0(Ice Cream Sandwitch)が搭載される。出荷予定時期は2012年の上半期。

Tegra3を搭載するハイスペックスマートフォン「Optimus 4X HD」「Optimus 4X HD」の背面。Vu:同様に梨地加工が施され、グリップしやすい
8.9mm厚とされる側面。見えにくいが、上部にはボリュームスイッチが配置されているこちらは底面にあたり、Micro USB端子が配置されている。「Opitmus 3D MAX」同様にMHLに対応し、大型ディスプレイにHDMI接続で出力が可能となる模様

 そのほか、グローバルモデルとしてOptimus L7/L5/L3といったディスプレイサイズの異なるL-Styleと呼ばれるシリーズも新製品としてブースの一角に展示されていた。スクリーンサイズは、それぞれ4.3、4.0、3.2型。ターゲットとする市場のニーズにあわせて、スペックを調整して販売されるとのこと。基本的には数字の大きい製品ほどハイスペックモデルになり、L7、L5はAndroid 4.0(Ice Cream Sandwitch)、L3はAndroid 2.3(Gingerbread)を採用する。前述した「Optimus Vu:」や「Optimus 4X HD」のような尖った製品ではないスタンダードモデルとして提供される予定。

4.3型の「Optimus L7」。Android 4.0を搭載して出荷される見通し4.0型の「Optimus L5」。こちらもAndroid 4.0を搭載3.2型の「Optimus L3」。Android 2.3(Gingerbread)搭載で、主に途上国などがターゲット
LG ElectronicsのスマートフォンはIPS液晶パネルを採用する。競合するSamsungのAMOLEDに対して、Ture HD IPSのアドバンテージをブース内でアピールしていたWPCのqi対応端末と充電台を使って、無接点充電に対応した製品(北米向け)と充電台がアクセサリコーナーで紹介されていた

●HTC Oneシリーズを投入して、ブランドの再構築を図るHTC
HTCブースの様子。発表されたHTC Oneシリーズのうちハイエンドの「HTC One X」、ミドルレンジの「HTC One S」の2モデルを展示した

 台湾のHTCは、MWC開幕前日にあたる2月26日にプレスカンファレンスを開催し、スマートフォン3機種を発表した。2011年は本体にFacebookのハードウェアボタンを備える「HTC Chacha」や7型タブレットにスタイラスペン入力を加えた「HTC Flyer」といった言うなれば変化球が数多くアナウンスされたが、2012年は一転してスタンダード路線へと転換している。

 HTCがプレスカンファレンスで発表したHTC Oneシリーズの端末は3モデル。うち、展示ホールには「NTC One X」と「HTC One S」が体験可能な状態で展示されていた。デザインとしては奇をてらった物ではなく、スタンダートな印象が強い。上位にあたる「HTC One X」はNvidiaのTegra3、1.5GHzを搭載。4.7型で1,280×720ドットのディスプレイを採用する。サイズと重量は69.9×134.36×8.9mm(同)で130g。ミッドレンジの「HTC One S」はQaulcommのSnapdragon S4デュアルコア1.5GHzを搭載する。こちらは4.3型で960×540ドットのディスプレイを採用する。サイズと重量は65×130.×7.8mm同)、119.5g。バッテリ容量はいずれも1,800mAh。

 ちなみにLTEの商業サービスが始まっている地域に対しては、「HTC One XL」という名称のXの派生モデルが用意される見込み。このXLは大きいというわけではなく、XのLTE版を意味する。外観デザインなどは変わらないが、XLが搭載するCPUはHTC One Sと同じQaulcommのSnapdragon S4デュアルコア1.5GHzとなる。ブースでは稼働デモが行なわれなかった「HTC One V」も含めて、いずれもAndroid 4.0(Ice Cream Sandwitch)搭載で出荷される。またHTC独自インターフェイスのHTC Senseも「HTC Sense 4」として継続される。

 HTCは2010年発売のNexus Oneを手がけ、Android端末のリードデバイスメーカーとして注目を集めたが、Nexus S以降のリードデバイスはSamsung Mobileへと移行している。また、HoneyCombやIce Cream SandwitchといったGoogleによる新OS提供の優先度も競合他社に対してやや下がるなど、スマートフォン分野のテコ入れが必要な状態にあった。そうした背景もあり、今回はスマートフォンのラインナップを一新する形で、HTC Oneシリーズをアナウンス。昨年夏に事実上の買収を行なったBeats Electronicsによる「Beats By Dr. Dre」の音楽機能をHTC Oneの全モデルに採用する意向だ。ちなみに、Beats By Dr. Dre採用の特別モデルとしては「HTC Sensation XE with Beats Audio」が昨秋にリリースされている。

 このBeats By Dr. Dreによる音楽機能だけでなく、カメラ機能の強化もHTC Oneシリーズを従来ラインナップと差別化する要因としてあげられる。「NTC One X」と「HTC One S」はいずれも裏面照射型CMOSによる800万画素のカメラ機能を搭載する。採用されているレンズはF値がF2.0とスマートフォンとしては明るめだ。ブース内には、動画撮影のコーナーと、暗所撮影のためのコーナーが設けてあり、ユーザーが実際にHTC One Xを手に取って、動画の撮影や再生をしながら、静止画を切り出せる機能などが体験できるようになっていた。前述の音楽機能に関しても同様で、展示されているHTC One XとHTC One Sには、ヘッドフォン側で「Beats By Dr. Dre」を冠するMonster Cableのヘッドフォンが接続されていて、いずれも自由に試聴することができた。好評のUI「HTC Sense」に加え、カメラ機能、音楽機能の強化を軸にしてHTC Oneシリーズを起ち上げ、ブランドの再構築をめざす。

 いずれの製品もグローバルモデルとして発表・展示が行なわれており、MWC会場内では日本市場に向けた取り組みなどは特に明らかにはされなかったが、日本市場向けにはKDDIとともに製品開発を進める合意が取り交わされている。


HTCブースに展示された「HTC One X」(右)と「HTC One S」(左)「HTC One X」のホワイトモデル。Android 4.0で出荷されることもあり、下部のボタンは「戻る」「ホーム」「アプリケーション切替」の3つになった「HTC One X」のブラックモデルの背面。「Beats Audio」のロゴが見える
ホワイトモデルの背面。カメラ周囲に盛り上がりがあるほか側面に5つの電気接点が見えるブース内に展示されていた「HTC One X」用と思われるスピーカードック兼充電台4.3型スクリーンでX比べてひとまわり小さい「HTC One S」
「HTC One S」の背面の様子。やはり「Beats Audio」のロゴが見える「HTC One S」の上部
ブース内ではやはり「Beats By Dr. Dre」を冠するMonster Cable製のヘッドフォンを使った音楽や映像の試聴も行なわれていたブース内で「HTC One X」を使って行われていた暗所撮影のデモンストレーション

(2012年 3月 5日)

[Reported by 矢作 晃]