Galaxy Note 10.1を展示
2011年はMobile Morld Congress(以下、MWC)開幕の前日に大規模なプレスカンファレンス「Samsung Mobile UNPACKED」を開催して、「Galaxy S II」と「Galaxy TAB 10.1」を発表したSamsung Mobile。2012年は大規模なイベントこそ行わなかったものの、MWCにあわせたタイミングで、専用スタイラス「S-Pen」を使うGalaxy Noteのラインナップを強化、10.1型となる「Galaxy Note 10.1」を発表した。また、プロジェクター機能を内蔵するスマートフォン「Galaxy Beam」など、同社のGalaxyシリーズの拡充を行なっている。
27日には展示ホールの同社ブース内で、Samsung Electronicsの製品戦略担当上席副社長Hankil Yoon氏からGalaxy Noteカテゴリの説明があり、欧州やアジア地域に続いて北米で販売のはじまる5.3型の「Galaxy Note」と10.1型の「Galaxy Note 10.1」について、GalaxyスマートフォンやGalaxy Tabとの違いなどが紹介された。
市場にはモバイル機器でより本格的なコンテンツ制作のニーズがあり、それに応えるのがGalaxy Noteであると説明 |
Hankil Yoon上席副社長によれば、現在のスマートフォンやタブレットなどに代表されるモバイル機器は、コンテンツを消費することに使われるに留まっているという。コンテンツ自体の制作は、まだPCに依存している部分が大きいという考え方だ。スライドで示されたように、YouTube、Flickrそして各種SNSなどの利用でモバイル機器からの発信も始まっているが、それは限定的な内容であってコンテンツ制作そのものではない。Galaxy Noteはモバイル機器でありながら、本来のコンテンツ制作により近づけるようS-Penによる各種手書き入力をはじめとする機能を搭載する。Galaxy Noteの取り組みは、モバイル機器をコンテンツ制作の道具として使えるようにするもので、これを市場からのニーズと位置づけていた。
Galaxy Tab 10.1の大きな画面とGalaxy NoteのS-Pen入力の融合から生まれたユーザービリティが10.1型にはあると解説 |
Galaxy Noteの手書き入力については本誌のIFAレポートやCESレポートなどでも紹介しているが、ワコムのデジタイザ技術をもとにしたS-Penと呼ばれる専用のスタイラスペンを利用する。詳しくは後述するが、発売済みのGalaxy Noteとは異なるペンがGalaxy Note 10.1には付属しており、より多機能な手書き入力が可能になる。
Galaxy Noteには標準で手書き入力メモや手書きスケッチが描ける専用アプリがインストールされている。IFAレポートで既報のとおり、S-Pen入力のSDKを提供することで、サードパーティーによるS-Pen対応Appも徐々に増えつつあるとして、代表的な9つのAppが紹介された。加えて、Galaxy Note 10.1の発表に併せて、Adobe製ソフトウェア「Adobe Photoshop Touch」と「Adobe Ideas」のS-Pen対応も発表された。
Galaxy Noteと同じS-Pen対応の標準搭載Appをはじめ、Adobe製のPhotoshop Touch、Ideasをプリインストール。Android 4.0(Ice Cream Sandwitch)で出荷される |
前者は写真の編集/加工を中心としたペイント系のアプリで、後者はドロー系のアプリ。iOS向け、そしてAndroid向けに販売が始まり、iTunes StoreやAndroid Marketで購入することができる。Galaxy Note以外にも対応端末は存在するが、S-Pen入力に対応するという点で、Galaxy Noteは他の機種にないアドバンテージが得られる。Galaxy Note 10.1の発売時には、この2つのAdobe製Appがプリインストールアプリとして提供されるという。
Yoon氏の説明では言及されていないが、世界のああちらこちらで行なわれているApple製のiPadとGalaxy Tabの類似性による各種訴訟においても、S-Penの存在はGalaxy Note 10.1を差別化する重要な要素になるものと想像される。本来のユーザーエクスペリエンスとは異なる部分だが、10.1型へのS-Pen入力搭載にはこうした背景も見え隠れする。
なおYoon氏によれば5.3型、10.1型の位置づけは主に利用シーンによって差別化されるとして、画面サイズのとおり前者はスマートフォンの延長線上におかれるNote、後者はタブレットの延長線上におかれるNoteになる。具体的な例として5.3型はビジネスシーンでのメモ、10.1型はクリエイティブデザインの現場や学生、あるいは子供向けのツールとしての利用シーンが想定されている。
●10.1型の大きなカンバスになるGalaxy Note 10.1
ブースに展示されたGalaxy Note 10.1。販売開始日は明示されていないが、前述のHankil Yoon上席副社長のスライドによれば、2012年の第1四半期中の模様 |
同社のブースにおいてはやはり一番目立つ部分に展示してあるのがGalaxy Note 10.1だ。製品スペックは、名称のとおり10.1型のWXGA+ TFT液晶パネルを搭載。アスペクト比はGalaxy Tabと同様の16:10で、フルHD再生に対応する。CPUは1.4GHzのデュアルコアで、Android 4.0(Ice Cream Sandwitch)で出荷される。外向きのカメラは3メガピクセル、インカメラは2メガピクセル。本体サイズは256.7×175.3×8.9mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は583g。
【17時訂正】記事初出時、アスペクト比は16:9としておりましたが、正しくは1,280×800ドットの16:10となります。お詫びして訂正します。
Galaxy NoteであることからS-Penが付属する。すでに発売されている5.3型に付属するS-Penに比べると、より太く、しっかりとしたものだ。いわゆる入力機器としてのペンタブレットのスタイラスペンに近い。また、ペン先の反対側は別機能が設定してあり、いわゆる「消しゴム」として入力データの削除に利用できる。ペン先側、消しゴム側ともに筆圧感知に対応しており、強く書けばより太いラインが描け、強く消せばより広い範囲を一度に消せることになる。こうした機能をもった代わりに5.3型のように本体へS-Penを収納することはできない。
5.3型を使った製品デモはスケッチ機能が中心で、ブース内の数カ所でいわゆる専門の似顔絵描きによる似顔絵作成サービスが行われており、いつも行列が伸びていた。この似顔絵描きは市内中心部にあるカタルーニャ広場に特設のプレハブを設置してデモンストレーションが行われているほか、市内のGalaxy Note取り扱い店舗の一部店頭でも実施されていた人気のサービスでもある。
●拡充されるGalaxyのラインナップ。プロジェクター機能搭載のGalaxy Beamも
同社ブースにはGalaxy Note 10.1以外にも、既存の5.3型Galaxy Noteをはじめとして、同社のモバイル機器が一通り展示されている。10.1型、7.0型のGalaxy Tabが、スペックアップしてGalaxy Tab 2の名称で展示されていた。いずれもAndroid 4.0(Ice Cream Sandwitch)を搭載する。
「Galaxy S Wi-Fi 5.0」は欧州エリアのワンセグ放送に相当するDMB/DAB+にも対応 |
ほかにも、いわゆるモバイルネットワーク機能を持たない「Galaxy S Wi-Fi」が3つの画面サイズでリニューアルされていた。画面サイズはそれぞれ、3.6型、4.2型、5.0型。最大サイズの5.0型は、欧州エリアのワンセグ放送に相当するDMB/DAB+にも対応する。OSはいずれもAndroid 2.3(Gingerbread)。
ユニークな製品としては、プロジェクターを内蔵したスマートフォン「Galaxy Beam」がある。端末は1GHzのデュアルコアCPUを搭載。OSはAndroid 2.3(Gingerbread)。本体サイズは64.2×124×12.5mm(同)で重量は145.3g。プロジェクタ機能は640×360ドットで15ルーメンの明るさをもつ。基本的に本体ディスプレイの表示をプロジェクタ機能で投影する。専用アプリにより投影時の本体側画面のオン/オフや明るさの調整が行なえる。発売は2012年の第2四半期中を予定。
Galaxy Noteを含むすべての製品はいずれもグローバルモデルとしての発表であり、日本市場に向けたローカライズや製品化の情報はまだ明らかにされていない。
(2012年 2月 29日)
[Reported by 矢作 晃]