【CES 2012レポート】Panasonicブース編
~スマートフォンで操作できるデジカメや20型4K2K液晶パネルを展示

無線LAN搭載のLUMIXとスマートフォンをWi-Fiで接続し、スマートフォンから撮影のコントロールが行なえる

会期:1月10日~13日(現地時間)
会場:米国ネバダ州ラスベガスコンベンションセンター/ベネチアンホテル



 Panasonicブースは、例年通り同社の薄型TV「VIERA」シリーズや、デジタルカメラ「LUMIX」シリーズの展示に大きなスペースが割かれており、AV関連機器の展示が中心となっている。そのPanasonicブースの中で、AV機器とはやや異なる性質の製品もいくつか展示されていたので、それらを紹介していこう。

●Wi-Fi経由でスマートフォンから操作できるデジタルカメラ

 さまざまな製品の次世代技術を紹介するコーナーに、Wi-Fi機能を内蔵するデジタルカメラ「Wi-Fi LUMIX」とスマートフォンを連携させ、スマートフォンからデジタルカメラを操作し、ズーム操作や撮影ができるというデモ展示が行なわれていた。

 デモ展示に利用されていた「Wi-Fi LUMIX」は、プロトタイプとして紹介されていたが、ハードウェアは既に発売されている「LUMIX FX90」と同じものだ。ただ、搭載されているソフトウェアが異なっており、Wi-Fi経由でスマートフォンとピアツーピア接続し、スマートフォン側からズーミングや撮影などの操作を可能としている。

 また、スマートフォン側にはズーミングや撮影の操作を行なうボタンに加えて、Wi-Fi LUMIXが捉えている映像がライブビューで表示される。つまり、スマートフォンをライブビューファインダーとして利用しながら、ワイヤレスで撮影のコントロールが可能というわけだ。実際に操作を試してみたが、表示される映像やズーム、シャッター操作など、タイムラグをほとんど感じることなく操作できた。

 ちなみに、現時点ではWi-Fiによる接続はピアツーピアのみで、インターネットを介して接続し操作するといったことはできない。また、展示は技術デモで、実際の製品のこの機能が盛り込まれるかどうかということも、現時点では何も決まっていないそうだ。

このプロトタイプLUMIXは、ハード自体は発売済みのLIMIX FX90で、内部のソフトウェアが異なるスマートフォントの接続はピアツーピアで行なわれ、インターネット経由での接続には対応しないスマートフォンからズームやシャッターの操作が行なえる。またライブビュー映像もスマートフォンに表示される
スマートフォンでWi-Fi LUMIXを操作している様子

●無線LAN技術を利用したウェアラブルカメラ

 こちらは、Wi-Fi LUMIXのデモと同じ技術を利用した、ウェアラブルカメラのプロトタイプだ。ヘッドフォンのように頭に装着することで、自分が目で見ているのとほぼ同じ、前方の映像が撮影できる。また、撮影コントロールはWi-Fi LUMIXと同じようにスマートフォンを利用する。こちらもスマートフォンでズーミングや撮影のコントロールが行なえるのはもちろん、ライブビュー映像も表示される。同様のコンセプトの製品が、すでに他社から登場しているため、目新しさは感じられないものの、今後スマートフォンで活用できる製品のバリエーションが増える可能性があるという意味で、注目すべき存在と言っていいだろう。

参考展示のウェアラブルカメラ。こちらもWi-Fi LUMIX同様の技術でスマートフォンから操作するカメラは、このように頭に装着して利用。自分の視点とほぼ同等の映像を捉える操作は全てスマートフォン側で行なう。もちろんライブビュー映像も表示される

●20型の4K2K液晶パネルを参考展示。PC用モニターとしての応用を期待

 Panasonicブース内に用意された、次世代表示パネルの技術展示コーナーでは、20.4型ながら3,840×2,160と、いわゆる4K2K相当の表示解像度を備えるIPSα方式の液晶パネルが参考展示されていた。

 20.4型のパネルサイズに3,840×2,160ドットという非常に高精細な表示解像度を実現しているため、216dpiと世界最高の画素密度を実現。実際にパネルに近付いて映像を見ても、画素を直接感じることはほとんどない。

 また、これだけの高い画素密度を実現しながら、独自の画素配列を実現することで、高透過率や高コントラストを実現し、輝度も450cd/平方mと高い。しかも、消費電力は同サイズのフルHDパネルとほぼ同等レベルと、低く抑えられている。さらに、パネル自体が非常に薄いという点も特徴の1つで、厚さはわずか3.5mmしかない。ちなみに、バックライトには直下型のLEDバックライトが採用されているそうだ。

 今回展示された20型の4K2K液晶パネルは、特定の用途をターゲットとして開発したものではなく、これからこのパネルを使って新しいものを生み出していくと考えているそうだ。まずは業務用のディスプレイなどをターゲットとしていきたいと考えているようだが、現時点では、具体的な商品化はまだ何も決まっていないという。

 ただ、話を聞いてみた限りでは、想定する製品としては、TV向けよりも、PC用のディスプレイが中心という印象を受けた。もちろん、メインターゲットとなるのは、医療関係など特殊業務向けが中心になると思われるが、説明を行なっていた開発担当の方に話を聞いてみたところ、個人向けPC用ディスプレイとしてどういった用途に使われる可能性があるのか、ということに強い興味を示していたため、個人向け製品に採用される可能性も十分に考えられる。また、このパネルの製造技術自体も、特に課題となるような部分はないそうで、量産もほぼ問題なく行なえるそうだ。そういった意味で、今後この4K2Kパネルを利用した商品展開には大いに注目したい。

20.4型ながら3,840×2,160ドットの表示解像度を実現した「20型4K2K IPSα液晶パネル」。非常に高精細で、近付いて見てもほとんど画素が感じられない輝度やコントラストにも優れており、非常にクオリティの高い映像が表示されていたパネル自体は厚さが3.5mmと非常に薄い
バックライトは直下型LEDバックライトを採用しているそうだ同じサイズのフルHDパネルとの比較も行なわれていた
こちらはフルHDパネルの表示映像。小さな文字はやや潰れて見えるこちらは4K2Kパネルの表示映像。小さな文字までくっきり表示されている

●堅牢性重視の業務用Androidタブレット「TOUGHPAD」を各種展示に利用

 VIERAコーナーでは、タブレットやスマートフォンからVIERAの操作が行なえるアプリ「VIERA remote App」の最新版となる「VIERA remote App Ver.2.0」のデモコーナーが用意されていた。VIERA remote App Ver.2.0はiPhoneやiPadに加え、Android端末でも利用可能だが、Android端末のデモ用として、昨年発表された堅牢性重視の業務用Androidタブレット「TOUGHPAD FZ-A1」(以下、TOUGHPAD)シリーズが利用されていた。

 TOUGHPADは、同じく優れた堅牢性を実現することで、野外業務などで利用するノートPCとしておなじみの「TOUGHBOOK」シリーズのノウハウを継承し開発されたAndroidタブレットだ。素材に肉厚のマグネシウム合金を採用するとともに、周囲をエラストマー樹脂で囲った一体成型ボディは、120cm落下試験や、IP65準拠の耐水/防塵性能をクリアする優れた堅牢性を有する。

 仕様は日本で発表されたものと同じで、1,024×768ドット表示対応の10.1型液晶、1.2GHz動作のMarvell製CPU、内蔵ストレージは16GB、500万画素メインカメラと200万画素インカメラ、IEEE 802.11a/b/g/n対応無線LAN、Bluetooth 2.1+EDRなどの機能を備える。OSはAndroid 3.2を採用。北米市場でも業務用として発売され、一般向けとして発売する予定はないとのこと。

 VIERA remote App Ver.2.0のデモコーナーでは、もちろん主役はアプリの方だが、横に並べられているiPadなどと比べて存在感があるとともに、アプリの動作の紹介は基本的にTOUGHPADを利用して行なわれていたため、非常に目立つ存在であった。そのためか、アプリよりもTOUGHPADについて詳しく話を聞く来場者の姿も多く見られた。

TOUGHPAD FZ-A1

(2012年 1月 13日)

[Reported by 平澤 寿康]