2010年に世界一となった中国製スパコン「天河一号A」とは
中国北京で開催されたGPU Technology Conference ASIA 2011(GTC ASIA 2011)の会期は12月14日、15日の2日間だったが、翌16日にNVIDIAのHPC担当者およびGTCに参加した東京工業大学の松岡聡教授や青木尊之教授らスパコン関係者が、中国一のスパコンである「天河一号A」を擁する国家超級計算天津中心を訪問した。
国家超級計算天津中心(National Supercomputing Center in Tianjin)は、GTC ASIA 2011会場である北京国家会議中心から170kmほど離れた天津市浜海新区にあり、スパコンおよびそれを用いた科学や技術の研究開発などを行なっている。
同施設を訪問した一同は、劉光明主任らによる説明を受けた後、天河一号Aの実物を見学した。
天河は早くからCPU+GPUのヘテロジニアスな構成を取り入れており、2009年11月のTOP500において天河一号が561TFLOPSの性能で5位にランクインした。当時はXeon+Radeonだったが、その後、Xeon+Teslaを採用した改良型の天河一号Aへと進化し、2010年11月のTOP500において2.331PFLOPSの性能で見事世界一へ躍進した。
現在のプロセッサ構成は、Xeon X5670を14,336基、Tesla M2050を7,168基となっているが、これに加えて独自開発した「FT-1000」というCPUも2,048基搭載している。XeonとFT-1000の用途の違いについては不明だが、FT-1000は周波数が800MHz~1GHzで、8コアを内蔵し、1CPUで64スレッドを同時実行できる。このほか、スパコンの性能を決める上で重要な柱となるインターコネクションを司るスイッチ用「GALAXY NRC」と、インターフェイス用「GALAXY NIC」というチップも独自開発している。そのほかのスペックとしては、メモリが262TB、ストレージが2PBを搭載する。
Xeon、Tesla、FT-1000は、それぞれ異なるブレードとして1Uラックに収められ、4CPU+2GPUの2ラックで1つのコンピュートノードを構成する。1つのラックには16のノードが収納され、システム全体では120台のコンピュートラック、14台のストレージラック、6台の通信ラックがある。
2011年11月現在では理研と富士通が開発した「京」が世界一となり、天河一号Aは2位となっているが、すでに1EFLOPS(Exa FLOPS)に向けた研究開発に着手しているという。
以下に取材の模様を写真でお伝えする。
(2011年 12月 19日)
[Reported by 若杉 紀彦]