OEMベンダー向けにノートPCのエコシステムを構築
Shuttle CEOのDavid Chen氏 |
会期:1月7日~10日(現地時間)
会場:Las Vegas Convention Center
Sands Expo and Convention Center/The Venetian
PCのベアキットの提供などで知られるShuttleは、Intenational CES期間中にプレスカンファレンスを開催。ローカルOEMベンダー向けに対して、ノートPC製造のエコシステムを提供することを発表した。その他、同社ブースに展示された新製品と併せて紹介する。
●フォームファクター策定を含むノートPC製造のエコシステムローカルOEMに対して提供されるeSPAは、ノートPCに関するエコシステムを提供するというもの |
Shuttleが今回のプレスカンファレンスで発表したのは、ノートPC製造メーカー、とくに小中規模のローカルOEMベンダーに対する、ノートPC製造のエコシステムを提供するというものだ。目標として掲げたのは、2011年末までにローカルOEMベンダーのマーケットシェアを2倍にするということ。
そのためにeSPAという支援のためのWebサイトを立ち上げている。ここでは例えば、Shutlleの体制により、さまざまなパーツを組み合わせて容易に製品製造を行なえることや、従来はローカルOEMの負担となっていた品質テストや規格適合テストを団体別に依頼する手間を、Shuttleが一元的にカバーするといったサービスが提供される。
興味深いのはハードウェアのフォームファクターを策定したことで、マザーボード形状、サイズが同じで、異なるプラットフォームの製品を提供する。
フォームファクターは、SPAおよびmicroSPAという2種類の規格を策定しており、ターゲットとする液晶サイズ、本体サイズに合わせて選択できる。デスクトップにおいてATXにしろ、ITXにしろ複数サイズのフォームファクターを投入しているのと同じことである。上位サイズのSPAは、13.3型以上の製品をターゲット、小型のmicroSPAは10.1~13.3型をターゲットとする。
チップメーカーではなく、PCの製造ベンダーが主導する規格だけに、プラットフォームもIntel、AMD、VIAとさまざまなものが提供される。例えばAtomを使ったSPAマザー、といったものは計画されていないが、ターゲットとする液晶サイズに合わせて適すると考えられたプラットフォームが、各フォームファクターに提供されることになる。
また、SPA/microSPAのマザーには外部GPUを取り付けたバージョンも提供される予定となっており、単純な組み合わせだけでも200近いバリエーションを現状で構築可能。具体的なCPUやGPUのモデルを考慮すれば、その組み合わせは非常に幅広いものとなる。
言うまでもなく、こうした規格化を行なうことで、製品設計の低コスト化を図れる。ノートPCの低価格化が著しい昨今において、小中規模ベンダーが競争力を持つための手段として提示されたソリューションがSPAの一連のプロジェクトなのである。
また、このSPA/microSPAのマザーボードには、i-Powerと呼ばれる各種電力管理技術が搭載される。ノートPC製品ゆえ省電力機能などは必須だが、このなかの機能のうちi-Power USBは、USBへの供給電力を最大1.5Aへ引き上げるものとなっている、一部メーカーが似たような手法を用いているものだが、Shuttleではこのi-Power USBを用いた外付けビデオカードユニットを紹介。
もちろんUSB接続でビデオカードを使うわけではなく、このユニットはドッキングステーションとして機能するので、その電力供給に使われる。ビデオカード用には専用インターフェースが提供され、電源供給はACアダプタが行なわれる格好となる。こうしたユニットを提供することで、ノートPCの耐用寿命を延ばすことができるとしている。
●そのほかのShuttle製品
一方、Shuttleのブースでは、おなじみのベアボーンキットを始めとした製品展示が行なわれていた。
CES期間中に発表されたIntel H55を搭載するキューブ型ベアボーンも早速投入。ベアボーンキットとしての型番は「SH55J2」で、PCI Express x16に加え、PCIスロットを1基装備。300W電源を内蔵する。
また、Intel X58を搭載した「SX58J3」も展示。LGA1366のCore i7に対応。PCI Express x16スロットを2基搭載しており、CrossFire/SLIの両技術をサポートする。電源は500W。
このほか、液晶一体型のAll-In-Oneタイプにも新モデルを投入。プラットフォームはAtom D510で、液晶サイズは15.6型。この液晶はマルチタッチに対応しており、Shuttle独自のアプリケーションにより、画面全体を覆うようなソフトウェアキーボードも用意される。
Intel H55を搭載する「XPC SH55J2」。さっそくClarkdale対応キューブを投入した | Intel X58を搭載する「XPC SX58J3」 | SX58J3のデモ機はGeForce GTX 295を搭載した環境となっている。 |
Atom D510を搭載した液晶一体型PCの「X50 V2」 | マルチタッチ液晶を搭載。ソフトウェアキーボードを装備するほか、タッチ操作時も半透明のアイコンで操作のイメージを表示してくれる |
(2010年 1月 12日)
[Reported by 多和田 新也]