イベントレポート

実測で888.5MB/sを実現するPCIe/NVMe SDカードの仕様が公開

~WDがいち早くデモを実施

SDアソシエーション、PCIe/NVMeインターフェイスを備えるSDカードの仕様を公開

 SDアソシエーションは、Mobile World Congress 2018会場にブースを構え、SD規格の最新状況を説明。その中で、現在策定中の最新規格となる、PCIe/NVMeインターフェイスを備えるSDカードについて紹介した。

 将来の規格として現在策定を行なっているという、PCIe/NVMe SDカード。ホストとの接続インターフェイスとしてPCI Express 3.0×1、プロトコルとしてNVMeを採用することによって、従来よりも非常に高速なアクセス速度を実現するとしている。

 カード側の端子は、UHS-IIと全く同じになるという。そして、UHS-IIカードに用意される上下2ラインの端子のうち、1ライン目はUHS-Iなど従来のアクセスを実現するために利用される。そして、UHS-IIで拡張された2ライン目の端子のうち4本を利用して、PCIe 3.0×1でのデータ転送を実現するという。そのため、PCIe/NVMe SDカードでは、UHS-II接続は利用できなくなるとのこと。

接続インターフェイスはPCIe 3.0 x1、プロトコルはNVMeに対応する
こちらは既存UHS-II対応SDカードの写真だが、PCIe/NVMe SDカードはこれと同じ端子構成となり、上側の端子で既存SDカードとの互換性を確保し、下側の端子でPCIe接続を実現するという

 このPCIe/NVMe SDカードは、まだ規格策定中ながら、Western Digital(WD)がいち早くMWC 2018の展示ブースで実動デモ展示を行なった。PCのマザーボード上に用意されているM.2スロットに、変換アダプタを介して取り付けられ、実際にCrystalDiskMarkを利用したベンチマークテストが行なわれていた。

 その結果を見ると、シーケンシャルアクセス速度はリードが888.5MB/s、ライトが428.4MB/sと、SDカードとは思えないほどの速さを記録。また、ランダムアクセス速度も4K(QD32)でリードが437.9MB/s、ライトが418.2MB/sを記録していた。

 WDの説明員によると、今回の展示はあくまでも技術アピールのためであり、規格も策定中ということもあり、製品化などはまだ何も決まっていないとのこと。それでも、これだけの速度が発揮されるSDカードは、今後のデータ大容量化を見据えると非常に魅力的な存在になるだろうと話した。

 ただ、課題もあるようだ。SDアソシエーションの説明によると、とくに問題となりそうなのが温度で、UHS-IIでも発熱の処理に苦慮することが多いそうで、さらに高速アクセスが可能なPCIe/NVMe SDカードではより発熱対策をしっかりと行なう必要がありそうとのこと。

 なお、SDアソシエーションとしては、既に規格が策定済みとなり、2017年2月に開催されたCP+で発表された、624MB/sの転送速度を誇る「UHS-III」をプッシュしたいとのこと。インターフェイスへの対応はUHS-IIIのほうが容易となり、PCIe/NVMe SDカードよりも遅いとはいえ、十分なアクセス速度を誇ることから、まずはこちらから普及を図りたいという。

 とはいえ、実際にベンチマークテストで900MB/sに迫る速度の実働デモを見ると、やはりインパクトは絶大だ。PCIe/NVMe SDカードの規格は、早ければ6月頃にまとめたいとのこと。製品化にはまだかなり時間がかかると思われるが、登場を期待して待ちたいと思う。合わせて、2TB超の容量を実現する、SDXCにかわる規格も策定中とのことで、そちらも近い将来に発表したいとした。

Western Digitalブースでデモ展示された、PCIe/NVMe対応SDカード
このように、PCのM.2スロットに変換アダプタを介して取り付けられ、ベンチマークテストが行なわれていた
こちらがベンチマークテストの結果。シーケンシャルリードは888.5MB/sを記録しており、ランダムアクセス速度もSDカードとは思えないほど高速だ
PCIe/NVMe PCカードもいいが、SDアソシエーションとしては、既に規格策定済みのUHD-IIIから普及を図りたいという