イベントレポート
Intel、WindowsベースのVR HMD「Project Alloy」を明らかに
~コンピュータとセンサーが統合された一体型VR/ARシステム
2016年8月17日 11:53
Intelの開発者向けイベント「IDF(Intel Developer Forum)」が、8月16日~8月18日(米国時間)の3日間にわたり、米カリフォルニア州サンフランシスコのモスコーンセンター西ホールにおいて開催されている。
IDFは例年、中国の深センでIDF Shenzhen(別レポート参照)として4月に行なわれ、夏から秋にかけてIDF San Franciscoとしてサンフランシスコで8月~9月と2回開催されており、Intelの最新戦略が公開されたり、最新製品が展示される注目のイベントとなっている。
初日の8月16日午前9時(日本時間8月17日午前1時)から、Intel CEOのブライアン・クルザニッチ氏による基調講演が行なわれた。この中でクルザニッチ氏は、「Project Alloy(プロジェクトアロイ)」で呼ばれる、VR/ARの両方をカバーするMR(Merged Reality)デバイスを紹介し、実際にステージ上で紹介した。
Project Alloyは、HMDに、コンピューティング機能、RealSenseカメラを利用した各種のセンサー機能などが全て統合されており、現在のVR HMDのように、PCや別途センサーが必要なく、全てコードレースで利用できるのが大きな特徴となる。
PC、センサー、カメラ全てがHMDに統合された一体型型のProject Alloy
クルザニッチ氏は「現状のVR HMDはケーブルが付いていたり、センサーが別途必要だったりと取り回しがあまり良くない。そこで我々は新しいデザインを導入することにした」と述べ、よりユーザーが使いやすいようなデバイスとして設計したのが“Project Alloy”だとした。
クルザニッチ氏によれば、Project Alloyはコンピュータの機能そのものや、各種のセンサーなどが全てHMDに統合されており、「これはオールインワンのHMDだ」と述べる。これだけで1つのコンピュータとして動作し、かつHMDとしても利用できるユニットになる。
従来のVR HMDとの大きな違いは、RealSenseカメラをセンサーとして用意し、現実の物体の位置をVRの世界で利用する、という使い方ができる。また、カメラを利用してキャプチャーした物体を、VRの世界の中に登場させることも可能で、クルザニッチ氏の基調講演のデモでは、デモ担当者の腕をVRの画面の中に登場させ、それでスイッチを押したり、という使い方をしていた。
このほかにも、衝突認知や回避機能なども用意されており、安全にVR空間を動き回ることが可能になる。
なお、MRデバイスという意味では、MicrosoftのHoloLensに近いデバイスとなるが、HoloLensが半透過型のディスプレイを搭載しているのに対して、Project Alloyは液晶ディスプレイを採用していると見られており、その点が最大の違いとなるだろう。
Windowsベースのシステムになっており、OEMメーカーのシステムが2017年後半に投入へ
既に述べた通り、このProject Alloyには、何らかのコンピュータ機能が搭載されており、今回は特に何も明らかにされていないが、IAアーキテクチャであることは間違いない。というのも、この発表には別記事で紹介している通り、Microsoft Windows/デバイス事業部担当 上級副社長 テリー・マイヤーソン氏が招かれており、このProject AlloyがWindowsベースであることが明らかにされたからだ。
Microsoftは6月のCOMPUTEX TAIPEIでWindows HolographicというVR/MR向けのプラットフォームを発表しており、HoloLensのプラットフォームをOEMメーカーなどにも開放する取り組みになる。明言こそされてはいないが、Project AlloyもWindows Holographicベースである可能性が高い。
Intelは、Microsoftと協力してこのProject AlloyのデザインをOEMメーカーなどにも、ハードウェアやソフトウェアを作成するためのオープンAPIを提供する計画で、クルザニッチ氏はOEMメーカーが自社デザインのProject Alloyベースの製品を2017年の後半に登場する見通しだと説明した。