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IBM、相変化メモリでセルあたり3ビットのマルチビット記録を実現
~書き込み耐性1,000万サイクルの高耐久でDRAMを下回るコストを達成
(2016/5/18 16:03)
米IBM Researchは16日(スイス時間)、「相変化メモリ(PCM: Phase-Change Memory)」にセルあたり3ビットのデータを保持させることに成功したと発表した。
PCMは、中程度または大きな電流を素材に流すことでビットを記録し、低い電圧をかけることで読み取りを行なうというメモリ。同様の書き込み技術はBlu-rayディスクなどにも採用されている。
PCMは、DRAMと異なり不揮発性メモリのため、電源供給が行なわれなくてもデータを保持できるほか、書き込み耐性でも、フラッシュを利用したUSBメモリが平均3,000回程度であるのに対し、最低でも1,000万回の書き込みサイクルを実現できる。
これまでは、PCMにはセル当たり1ビットの記録のみが可能だったが、今回IBM Researchの研究者たちはセル当たり3ビットの記録に成功した。
本研究論文の著者でIBM Researchで不揮発性メモリの研究マネージャーを務めるHaris Pozidis博士は、「PCMでセル当たり3ビットの記録密度を達成したことは、PCMがDRAMを大幅に下回る、フラッシュメモリに近いコストを実現したことを示しており、重要なマイルストーンである」としている。
本研究ではPCMでマルチビットを格納するため、セルの物理的特性を計測する、ドリフトの影響を受けにくいメトリックスと、温度変化によって閾値を変更することで長期間の読み取りを可能としたコーディングおよび検出スキームという2つの新技術を開発。
これらの技術を利用し、世界で初めて高温環境下で100万サイクルの読み書きを行なった64KセルアレイのPCMで、セル当たり3ビットの記録を確認したという。
IBMでは、PCM単体での利用だけでなく、PCMを高速なキャッシュとしてフラッシュストレージと組み合わせた構成も想定しており、PCMにOSを記録しておくことで、スマートフォンを数秒で起動したり、金融取引などの超高速アプリケーションでデータベースを保持するといったことも考えられるとしている。
なお、本研究はフランスにて開催されている「国際メモリワークショップ(IMW 2016)」にて発表された。