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湘南T-SITEにCCC初のアップル販売店をオープン

~Apple IIeやMacintosh 128Kも展示

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が企画運営する「湘南T-SITE」

 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が企画運営する複合文化施設「湘南T-SITE」が、このほどオープンし、同施設内に、アップル製品の販売を行なう「T-SITE Apple Authorized reseller」と、アップル製品の修理などを行なう「T-SITE Apple正規サービスプロバイダ」が開設された。

 12月10日、関係者を対象にその様子が公開された。

 湘南T-SITE内には、1983年に発売されたApple IIeや、1984年に発売されたMacintosh 128K、1989年に発売されたiMacも展示されており、アップルファンにとっても気になる店となりそうだ。

T-SITE Apple Authorized reseller
T-SITE Apple Authorized resellerの店内の様子。落ち着いた雰囲気になっている
アップルマニアには注目のMacintosh 128KとApple IIeを隣接するSHONAN Loungeに展示
展示されているMacintosh 128K。展示協力は多摩美術大学メディアセンター
Apple IIeも展示。今後3カ月ごとに展示機種を変更することも検討しているという
当時の製品商品紹介のパンフレットも展示している
こちらは1998年に発売されたiMac
店を入ってすぐの場所にはiPhoneを展示した
iPhoneの隣のテーブルにはMacが展示されている
さらに逆方向のテーブルにはiPadを展示

ライフスタイル提案型の店舗に

 湘南T-SITEは、パナソニックが展開する神奈川県藤沢市の「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(Fujisawa SST)」の中にオープンしたもので、CCCにとっては、2011年にオープンした東京の代官山T-SITEに続く、2つ目のT-SITEとなる。

 湘南T-SITEは、趣味とエンターテイメントをテーマにした1号館、スローフードとスローライフをテーマにした2号館、親と子のコミュニケーションにフォーカスした3号館で構成。「T-SITE Apple Authorized reseller」および「T-SITE Apple正規サービスプロバイダ」は、1号館2階に位置する。

 T-SITE Apple Authorized resellerは、CCCが運営。同社がアップル製品の店舗を展開するのは、今回が初めてとなる。

カルチュア・コンビニエンス・クラブのCCCデザイン湘南プロジェクト・咲山一郎氏

 CCCデザイン湘南プロジェクト・咲山一郎氏は、「T-SITEは、人々のライフスタイルを追求した施設。その中で、デジタルライフスタイルという切り口から、アップル製品を提案しているのが、T-SITE Apple Authorized resellerである。シンプルな操作性で、新たなライフスタイルを提案できる点で、アップル製品を選択したが、アップル製品そのものを売るというよりも、それによってどんな生活を提案できるか、といった点に力を注いでいる」と、店舗のコンセプトを語る。

 量販店では、アップルが指定する什器を使用しているケースが多いが、T-SITE Apple Authorized resellerでは、T-SITE全体を大きな「家」としてデザイン。このコンセプトに合わせて、木を素材に使った売り場づくりとしているのが特徴。「家に帰ってきたような雰囲気で製品を見ることができる。照明も店舗としては、少し暗い感じにしているが、これも、家というコンセプトに則った演出のひとつ」とする。

 湘南T-SITE全体のデザインは、代官山T-SITE同様に、クライン・ダイサム・アーキテクツ(KDA)が行なっており、T-SITE Apple Authorized resellerおよびT-SITE Apple正規サービスプロバイダの店内デザインもそれを踏襲している。

 一番出入りが想定される入口部分には、iPhoneを展示。「最も多くの人が使用しているアップル製品はiPhoneである。そうしたユーザーに対して、iPhoneをきっかけにして、次にどんな使い方ができ、生活を豊かにできるかといったことを提案できる売り場構成にした」という。

 iPhoneに隣接する場所には、Macを展示するコーナーと、iPadを展示するコーナーをそれぞれ配置。iPhoneとの連動によって、アップル製品がもたらすライフスタイルの広がりをみせるようにした。

 さらに、周辺機器やアクセサリの展示に力を注いでいるのも特徴だ。これもライフスタイル提案という意味では、重要なものになる。

iPhoneやiPadなどの各種アクセサリを展示
ここに来れば掘り出し物があるというイメージを作りたいという
iPhoneに装着すれば、この台に乗せるだけで充電が行なえる
手触りを確認したり、機能性を確かめることができるアクセサリ展示を行なっているのが特徴だ

 「展示しているすべての製品が、スタッフ自らが選んだもの。特に、アクセサリの展示においては、手に触れて直接確認できるものを増やし、製品が持つ手触りの良さを感じてもらえるようにした。アクセサリにおいては、機能性の高いものを選んでいるのも特徴で、それも試すことができる。さらに、iPhoneを台に置くだけで自動充電する製品や、ランプの上にiPhoneを置くだけで名刺などをスキャンできる製品、子供が音楽を聞く際に耳への負担を少なくするヘッドフォンなど、ありそうでなかった選び抜いた周辺機器を展示している。ここに来れば、新しいものや掘り出しものに出会えるというワクワク感を、常に提供できる店舗を目指したい」とする。

 さらに、スピーカーの展示スペースを広く確保。ヘッドフォンによる試聴環境のほか、イヤフォンの試聴環境を充実することに力を注いでいるのも、T-SITE Apple Authorized resellerの特徴だ。

 「一般的に店頭におけるイヤフォンの試聴は、盗難防止のワイヤーが付いており、Bluetoothモデルでありながら、ワイヤレスならではの良さが体験できないことが多い。T-SITE Apple Authorized resellerでは、試聴用のものにはワイヤーを接続せず、自由に聞いてもらえるようにした」という。

 試聴用イヤフォンは、店内の椅子の横に配置されたイヤフォンケースの中にしまわれており、スタッフに相談すればこれを出してくれる。「靴屋で靴のサイズを合わせるような感覚で、座ったり、立ったりしながら、最新のイヤフォンを体験することができる」という。

 また試聴用のワイヤレスイヤフォンやヘッドフォン、スピーカーは、スタッフが所有するiPhoneとBluetoothですべて接続されており、すぐにコンテンツを聞くことができる環境も作っている。

 CCCは、音に強いこだわりを持ってきた企業の1社だ。イヤフォン、ヘッドフォン、スピーカーの展示にも、そうしたこだわりが感じられると言えよう。

 「アップルを体験するならば、ここと言われる店へと発展させたい」と、咲山氏は今後の抱負を語る。

 これだけ強いこだわりを持つ店舗だけに、今後は、T-SITEオリジナルのアクセサリなどの登場にも期待したいところだが、残念ながら、現時点ではそうした計画はないという。

Bluetooth対応イヤフォンを展示。まるでイヤリングの展示コーナーのようだ
試聴用のワイヤレスイヤフォン。盗難防止用ワイヤーがない状態で試聴できる
各種スピーカーやヘッドフォンの展示にも力が入る

気軽に相談できるサービス窓口を目指す

 一方、アップル製品の修理を行なうT-SITE Apple正規サービスプロバイダは、T-SITE Apple Authorized resellerは隣接する場所に設置している。

 こちらは、カメラのキタムラが運営しているサービス専門窓口だ。

 同社はすでに同地区においてApple正規サービスプロバイダとして展開しており、今回の店舗はそれを移転した格好になっている。

 「カメラのキタムラは、全国43店舗で正規サービスプロバイダとしての展開を行なっている。その中でも、T-SITE Apple正規サービスプロバイダは、最も広いフロアスペースを取っている。対面式のカウンターだけでなく、テーブルを配置するといった工夫も凝らしており、単にハードウェアの修理のために訪れてもらうのではなく、アップル製品に関する相談を気軽にしてもらえるような環境も作っている」という。

 ここでも、クライン・ダイサム・アーキテクツによる、湘南T-SITE全体のデザインコンセプトに合わせた什器が使われている。

T-SITE Apple正規サービスプロバイダ
修理窓口とは思えないほど広いスペースを確保している
ジーニアスバーを意識した対面式のカウンターを用意している
什器はT-SITE独自のものを採用している
テーブル席を用意して気軽に相談できるようにした
ここにも書籍を展示。T-SITEならではの取り組みだ

新たなライフスタイルの発信基地に

 湘南T-SITEは、「単に商品を売る場所ではなく、Fujisawa SSTの住人や周辺住民に加え、湘南の地を訪れる人々の感性を刺激し、新しいライフスタイルを育て、そのライフスタイルを街の外に発信し続ける拠点」と位置付ける。

 「湘南の海」をコンセプトにした空間設計や、湘南カルチャーをリードする複合施設として、湘南に遊びに来ている人々が、湘南T-SITEに立ち寄ってから帰る「湘南カルチャーの発信拠点」を目指すとしており、感性豊かな人々に響く商品のみをセレクトして店頭に配置。趣味や仕事、料理、子育てといった領域から、新しい情報が楽しめる様々なジャンルの雑誌を揃えるほか、購入前の本や雑誌をコーヒーを飲みながら読んだり、食事ができる「コミュニティ・カフェ」を通じて、豊かなライフスタイルを発見できる空間を創造するという。「コミュニティ・カフェ」では、最新家電を利用した料理教室も実施する。

 「ライフスタイル提案に満ちた本を集めた湘南 蔦屋書店と、30の個性豊かなショップが繋がる文化複合施設が湘南T-SITE。スローフード&スローライフ、生活を豊かにするテクノロジーの楽しみ方、希望を与える子供との時間の過ごし方など、湘南ならではの素敵な時間を提供する」としている。

 また、「従来の大型商業施設では、変化を追うようにショップを入れ替えて部分的な対応でしのいでいくが、湘南T-SITEでは、変化が起こる前に、施設内のショップと共に新しいライフスタイルについて考え、常に時代の先をゆくライフスタイルを提案し続けるほか、ショップとショップが連携することで複合的な価値を提供することも可能になる」としている。

湘南T-SITEはFujisawa SSTの中にある
Fujisawa SSTは、パナソニックの藤沢工場の跡地になる
Fujisawa SSTの全景。湘南T-SITEは南側にある
湘南T-SITEは3つの棟で構成している
湘南T-SITEの構成図
湘南T-SITEのテナントマップ。30店舗が入居している
湘南T-SITEは、代官山T-SITEに比べて2倍の規模を誇る
湘南T-SITEと代官山T-SITEとのターゲットの違い
すべてのテナントに本が置かれている
デザインはクライン・ダイサム・アーキテクツが行なった

パナソニックの白黒TV工場跡地を利用

 Fujisawa SSTは、パナソニックの創業者である松下幸之助氏が打ち出した1県1工場の戦略に基づき、1961年に、同社工場としては初めて関東に進出した藤沢工場跡地を活用したスマートタウンプロジェクトだ。藤沢工場では白黒テレビや冷蔵庫の生産を行なっていた経緯があり、かつてのパナソニックにとっては、基幹工場のひとつだった。

 Fujisawa SSTでは、東京ドーム4個半にあたる約19ヘクタール(約6万坪)の土地に、約1,000戸の住宅と3,000人が暮らす、100年続くサスティナブルな街づくりを目指している。

 2014年4月には第1期戸建街区が完成し、約100軒が入居。さらに、このほど、オープンする「湘南T-SITE」のほか、中核施設となる「Fujisawa SST SQUARE」などがオープンしたことで、パナソニックでは、「街をつくる」ステージから、「街を育む」ステージへと移行したと位置付け、11月27日には、神奈川県の黒岩祐治知事などを招き、グランドオープン式典を行なっていた。

 グランドオープン式典では、カルチュア・コンビニエンス・クラブの武田宣副社長が挨拶。「T-SITEは、本屋というよりも、時間を豊かに過ごすための生活提案を行なう場。Fujisawa SSTでは、どのようなことができるかを考えた結果、スローライフ、スローフードの生き方を提案し、子供が来て楽しめる、また子供と来て楽しい店舗を目指した。店内には、世界一となる120mのマガジンストリートを作り、コンシェルジュとコミュニケーションし、本を通してなにかを発見してもらいたいと考えている。また、ネットに代替されないことを実現する施設にしたい。街の人たちとのコミュニケーションの場として、イベントを月100回ほど開催する。湘南T-SITEに入居する30店舗のテナントのすべてで本を扱ったり、蔦屋書店において、各テナントの商品を扱うことも考えている」などと述べた。

純正アクセサリとともに、ジョブズ氏に関連する書籍も展示

 T-SITE Apple Authorized resellerやT-SITE Apple正規サービスプロバイダの店舗内においても、本が陳列され、アップル創業者であるスティーブ・ジョブズ氏に関する書籍なども展示されていた。

湘南T-SITEの店内の様子
CCCが運営する蔦屋書店
代官山T-SITEの2倍となるマガジンロードを持つ
さまざまなテナントが入居している
スターバックスは湘南の海をイメージして緑のタイルを採用。この店舗だけの取り組みだという
3Dプリンタを利用できるコーナーも用意している
Fujisawa SSTのコンセプトに合わせて湘南T-SITEの屋根には太陽電池パネルが置かれる
湘南T-SITEに隣接するCAR LIFE LAB.。クルマと書籍が一緒に展示されている
来年2月頃まで実施する予定の「e-driving」の実演
額と耳たぶから脳波や心拍などを測りながら10分間試乗すると気持ちを測定できるという

(大河原 克行)