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ネットギア、1,733Mbps対応のIEEE 802.11ac無線ルーター

~1.4GHz駆動のCortex-A15コア+500MHzのオフロードエンジン搭載

Nighthawk R7500

 ネットギアジャパン合同会社は、4x4 MIMOにより1,733Mbpsの転送速度を実現したIEEE 802.11ac無線ルーター「Nighthawk R7500」を12月下旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は26,000円前後の見込み。

 Quantenna製の無線チップセットを採用し、IEEE 802.11acのWave 2ドラフトに準拠。4本のアンテナを搭載し、1アンテナ当たり433Mbpsの転送を行ない、これを束ねることで最大1,733Mbpsの転送速度を実現する。2.4GHz帯のIEEE 802.11nでも600Mbpsの転送速度を実現できる。

 Wave 2で策定されている160MHz幅には非対応だが、複数端末での同時通信に対応するMU-MIMOをサポート。例えば、クライアントが433Mbps止まりでも、4台同時にこの速度でアクセスできる。また端末の位置に追従して電波の送信方向や出力を変化させるBeamforming+技術を備える。

 CPUにはデュアルコアCortex-A15 1.4GHzを採用し、トラフィックを高速に処理。また、無線LAN専用のデュアルコアオフロードCPU(500MHz駆動)を備える。メモリは256MBで、128MBのフラッシュメモリを内蔵。USB 3.0ポートを2つ、eSATAポートを1基備えており、NASやプリントサーバーとしても利用できる。

 機能面ではDynamic QoSをサポートしており、アプリケーションと端末に応じて帯域幅の割り当てと優先度を動的に変更する。クラウド側でこのDynamic QoSのデータベースを持っており、アップデートをすることにより新しいアプリケーションやデバイスに対応する。

 有線LANはWANがGigabit Ethernet、LANがGigabit Ethernet×4。本体サイズは285×184.5×50mm(幅×奥行き×高さ)、重量は750g。

4x4 MIMOによるIEEE 802.11acに対応する
Cortex-A15 1.4GHzデュアルコアCPUを搭載
さまざまなアプリを認識し、帯域や優先度を自動的に変更する「Dynamic QoS」
ルーター内部で通信を分析する
ビデオのストリーミングなどに最適なバンド幅を提供する
デバイスごとにバンド幅を最適化する機能も備える
デバイスの種類やOSの種類まで認識する
クラウドによるアップデートで、Dynamic QoSで認識するアプリ/デバイスが増えるという
発表会で展示されたNighthawk R7500
背面にGigabit Ethernetなどを備える。LEDのオン/オフ切り替えスイッチや、電源スイッチも見える
本体左側面にeSATAを搭載
右側面にはUSB 3.0を2基備える
本体底面は通気口を多く備えており、通気性は良さそうだ

ルーター買い替えに最適

Jonathan Wu氏

 6日に都内で開かれた記者説明会には、米国本社で製品マーケティングディレクターを務めるJonathan Wu氏が来日出席し、製品投入の背景や特徴について説明。日本ではバッファローとNECプラットフォームズ(元NECアクセステクニカ)が大きなシェアを占める無線ルーター市場だが、同社は米国においては多くのセグメントにおいてダントツのシェアを保持しているほか、中国では「無線LANルーターのApple」と言われるまでに高級ブランドとして成長/認知されているという。

 海外では、2014年4月に3x3 MIMOの5GHz帯を2つ持つ「Nighthawk X6」という製品が投入されている。この製品の価格は299ドルと、現時点において個人向けルーターとしては破格とも言える高い値付けであったが、売れ行きは非常に好調だった。Jonathan Wu氏は「ブロードバンドの普及により、プロバイダが既に無線ルーターを提供している場合が多い。そのためリテールのルーター市場は、よりハイエンドを求めるユーザー向けにシフトしており、Nighthawk X6のようなハイエンド製品が受け入れられる要因となった」と分析。このNighthawk X6の投入、そしてNETGEARが持つシェアにより、無線ルーター市場のASP(平均売価)を押し上げることに成功するまでに至った。

 今回のNighthawk R7500(海外ではNighthawk X4という名前)は、Nighthawk X6に続く製品として投入されるもので、これも既存の無線ルーターに不満を感じているパワーユーザーの良い乗り換え先になるとしている。国内において現時点で1,733Mbpsを実現している無線ルーターはASUSの「RT-AC87U」が挙げられるが、RT-AC87Uの搭載CPUがCortex-A9/1GHzのため、CPUではNighthawk R7500の方が高速だ。

 なお、余談だが、Nighthawk X6も2015年に国内で投入する予定があるという。

NETGEARが手がける製品群
グローバルでの製品展開。主な市場は北米だ
北米や欧州でシェア1位を獲得している
北米ではダントツのシェアを維持
Wi-Fiルーターも35%以上のシェアとなっている
2013年以降、ハイエンド製品に対する需要が高くなっている
IEEE 802.11ac市場ではシェア1位
ハイエンドのIEEE 802.11n製品も1位
ミドルレンジにおいても35%以上のシェアを持つ
直近ではBelkinに抜かれているが、ローエンドでも高いシェアを持っている
Hubや中継器などにおいても高いシェアを持っている
ハイエンド製品の投入により、市場の平均売価が上昇した
299ドルという“破格”のNighthawk X6だが、非常に好調だという
米国では、1軒当たり9台以上のインターネット接続デバイスを持つ家庭が増えている
発表会で展示されたNighthawk X6。日本でも2015年に投入予定
LEDのオン/オフスイッチを備える
電源ボタンも備えている

 このほか、米国で5日(現地時間)に発表された、完全ワイヤーフリーを実現した無線ネットワークカメラ「arlo」も紹介された。こちらも2015年に国内投入するという。

 “100% wire-free”と呼ばれるこのネットワークカメラは、なんと単3形電池2本で駆動し、独自のWi-Fi技術を用いてベースステーションと通信、クラウドサービスを通して監視したり録画したりできる。録画は常時も可能だが、動体センサーを備えており、カメラの視野内に動きがあった場合にのみ録画でき、その場合“一般的な防犯用途”において約半年という、単3形電池2本で駆動するデバイスとは思えないほど長時間の稼働を実現するという。

 元々この技術は軍事用途で使われたものであり、兵士がこのカメラを利用して敵の動きを察知するために使われた。2年前に、NETGEARがこの技術を保有する会社を買収し、個人向け製品に応用したのが今回の製品となる。解像度は720pで、画角は130度。赤外線照射によるナイトビジョン機能も備えている。カメラは防水で、屋外に設置可能だ。

 ベースステーションは最大4台までのカメラを接続できる。標準で提供されるキットはカメラが2台、ベースステーションが1台で、米国価格は349ドル。通信距離はWi-Fiに準拠する。なお、録画はすべてクラウド上に保存されるが、フリーミアムモデルを採用し、無料で200MB利用できる。

世界初を謳う完全ワイヤーフリーのネットワークカメラ
完全ワイヤーフリーを実現したネットワークカメラ「arlo」
各種スマートデバイスに対応したアプリに加え、Webブラウザでもアクセスできる
最大4台までのカメラを一元管理可能だ
Webブラウザで実際に監視しているデモ
録画は日付ごとにソートされ管理できる。動きがあった場合のみ録画できる
arloのベースステーションとカメラ
本体背面のインターフェイス類
単3形乾電池2本で、約半年の利用が可能

(劉 尭)