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AMD、Xbox OneとPS4にMantleを提供の用意
~Kaveri用HSA対応4Kデコーダは6月に公開か
(2014/3/28 17:14)
日本AMD株式会社は28日、「HSA」に関する記者説明会を開催。この中で米国AMD本社コンテンツおよびアプリケーション・サポート・シニアディレクターのNeal Robison氏は、「Mantle」をXbox OneとPlayStation 4(PS4)に提供の用意があること、Kaveri用4Kデコーダソフトが6月頃に公開の見込みであることなどを明かした。
AMDが1月に発売した新APU「Kaveri」(コードネーム)は、HSA(Heterogenous System Architecture)に初めて対応する製品で、HSAを利用することでソフトウェアは、CPUとGPUを同等に扱うことができる。具体的には、Kaveriの4基あるCPUコアは約118GFLOPS、8基あるGPUコアは約737GFLOPSの演算性能を持つが、HSAに対応したことで、約850GFLOPSの1プロセッサとして利用できるようになる。HSA対応プログラムの発展はまだこれからではあるが、HSAは、ARM、Imagination Technologies、MediaTek、TI、Qualcomm、Samsung Electronicsといった企業が普及団体を作って訴求を図っている。また、Kaveriは、初めてOpenCL 2.0に完全対応するAPUでもある。
加えて、KaveriのGPUコアは最新GPUと同じ「GCN」アーキテクチャであり、単体Radeonと同じように独自グラフィックスAPIであるMantleにも対応する。Mantleは従来のDirectXに相当するものだが、ハードウェアをより直接的に扱う設計になっており、DirectXでのさまざまなボトルネックを解消。すでにリリースされている「バトルフィールド4」ではDirectX版に比べ約40%の性能向上を果たしている。
これらの情報はすでに公となっているものだが、質疑応答の場でRobison氏は、いくつかの新情報を明らかにした。
1つは、Xbox OneおよびPS4に対するMantleの提供。両コンソールとも、GCNコア内蔵のAPUを採用している。これについて同氏は、「ゲームコンソールでは、(PCと違って)ハードウェアは固定されているが、ソフトウェアで拡張を行なうことはできる。我々は、双方に対してMantleを利用できるようにする予定だ。ただし、それを実際利用するかどうかは彼ら次第となる」と説明した。まだ可能性レベルの話ではあるが、実現すれば新世代のゲーム機とPCゲームの互換性が上がり、AMDハードウェアへの最適化が促進される。
【お詫びと訂正】前述の内容に一部誤りがあったので、修正いたしました。
Microsoftが近頃発表したDirectX 12では、Mantleのように、ハードウェアに対してより近くなり、ボトルネックを解消し、性能を引き上げるが、その開発にはAMDも協力を行なっている。DirectX 12が登場すると、独自規格であるMantleはややメリットが薄れるものの、Robison氏は、「DirectX 12の登場は2015年末であり、それに対してMantleはすでに利用可能で、我々は2年のリードを持っていることになる。また、Linux版も検討している」と述べたほか、実現性は不明だが、ValveからSteamOSに対するMantle対応の打診があったことも明らかにした。
HSAおよびOpenCLの用途としては、今後普及拡大が見込まれる4K(UltraHD)の動画規格であるH.265(HEVC)のエンコード/デコードが挙げられるが、これについて同氏は「この数カ月で利用可能になる。もっと具体的に言うと6月のCOMPUTEXに何かを予定している」と、明言と言っていいほどかなり具体的な投入時期についての示唆をした。
なお、Mantleの名前の由来については、「地球の中心にあり高温な存在である核をGPUになぞらえ、それを薄く覆う層となるマントル」というのが公式な見解を説明した。最新のRadeon R9シリーズのコードネームである「Volcanic Islands」を下支えする、あるいは「Core」(核)プロセッサをも覆い尽くす存在といった意味合いはないそうだ。