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HDMI Licensing、2.0規格で定められた新機能を解説

HDMI 2.0の概要
9月12日 開催

スティーブ・ベヌーティ氏

 HDMI Licensingは12日(日本時間)、HDMI 2.0で定められた新機能についての記者説明会を都内で開催した。発表会では、HDMI Licensingの社長を務めるスティーブ・ベヌーティ氏が解説にあたった。

 HDMI 2.0は、HDMI Forumとして初めて策定された規格である。従来HDMIはフォーラムではなく7社からなるコンソーシアムで、HDMI 1.4bの規格までを策定したが、市場の需要の拡大でさらなるメンバーの参加が必要だと判断され、2011年10月にHDMI Forumを立ち上げた。

 HDMI Forumは非営利互恵団体で、メンバーシップから選出される11のメンバーからなる理事会で運営。メンバーの参加費は年間15,000ドルで、メンバーとなることでHDMIそのものの開発/推進に携われる。現在88社が参加しており、技術開発を行なうテクニカル ワーキング グループと、市場開拓を目指すマーケティング ワーキング グループの2つからなる。

 なお、HDMI Forumのメンバーでなくとも、製品のライセンス料を支払うことでHDMI規格に準拠した製品を開発できる。2013年第1四半期の時点で1,281社がHDMI規格を採用し、2012年時点で6億8,716万の機器を既に出荷、今後も増加するという。

HDMI Forumの設立背景
HDMI Forumの概要
HDMI Forumの役割と目的
HDMI Forumのメンバー
HDMI採用機器の出荷台数
HDMIのライセンシング企業数
HDMIライセンシング企業の国別の分布

 HDMI 2.0の規格についてだが、これは9月4日に発表されている概要の通り。HDMI 2.0では帯域幅が18Gbpsまで引き上げられ、4K@50/60(2160p)の高精細映像、アスペクト比21:9フォーマットのサポートを新たに追加。

 また、デュアル表示にも対応し、同一スクリーン上で2つのビデオを同時視聴したり、アクティブシャッター方式メガネなどにより、1つのスクリーンで2人のユーザーに異なるコンテンツを表示させたりできるようになった。主にゲームでの利用が期待されるという。

HDMI 2.0と以前のHDMIの帯域幅の比較
4K@50/60(2160p)のサポート
デュアル表示にも対応する
21:9のアスペクト比の対応

 オーディオ関連では、32チャンネルを新たにサポート。これによりX/Y軸のみならず、Z軸、つまり3次元にスピーカーを配置することでより、リアルな音声体験を実現できるという。また、このチャンネルを2ストリームに分け、先述の2人のユーザーに異なるコンテンツを届けたり、片方は英語、もう片方は日本語といったマルチランゲージの配信などに利用できる。サンプリングレートも、最大1,536kHzまで拡張された。

最大32チャンネルのオーディオをサポート
オーディオのマルチストリームにも対応
サンプリングレートは最大1,536kHzに引き上げられた

 ダイナミック自動リップシンクは、異なるデバイス間でのビデオストリーム/オーディオストリームの同期を自動的に行なうことを目的としたもの。これまでであれば、例えば映像はTV、音声はユーザー好みのアンプ経由で出力する場合、音声のプロセッシングがすぐに完了するのに対し、ビデオの処理に時間がかかるといった場合、画像と音声がズレるといったことが発生し、これをユーザー自身が手動で補正しなければならなかったが、この機能を使うことで対応デバイス間で自動的に同期が図られることになる。

 CEC(Consumer Electronics Control)も拡張され、1つのリモコンで再生や録画、スタンバイ、オーディオなどさまざまなコントロールが可能になる。

 HDMI 2.0は規格のバージョンこそ上がったが、従来のカテゴリ2ケーブル/コネクタと互換性を維持したのも特徴。ユーザーはケーブルを新たに買い換える必要はないという。

CECの拡張に対応
ダイナミック自動リップシンクを追加し、機器間の出力を同期する
HDMIケーブルは従来のカテゴリ2で共通

 なお、HDMI 2.0については規格上はバージョンで定められているが、最低480pのビデオと2チャンネルのオーディオが出力できることが保証されており、基本的それ以外のものはオプション扱いとなる。そのためHDMI機器にロゴなどとしてバージョンを表記することは推奨されない。

 HDMI 2.0を策定するにあたってベヌーティ氏は、「我々は常に市場の先をリードする必要があると考えており、そのためHDMI 2.0の規格は2年~5年先を見越したスペックとなっている。2020年のオリンピック開催時には、4Kのみならず8Kの放送も始めるといった動きもあるが、もちろん我々はそれに対応できるようにするべく、8Kのテストパイロットも実施している。今後も簡潔性、信頼性、使いやすさなど、ユーザーの観点に立ち、将来的にさらに増えるであろう、HDコンテンツを再生できるさまざまな形状デバイスを念頭においた規格の策定に努めていきたい」と語った。

HDMI規格の比較
HDMI規格のオプションの比較
HDMI Forumの使命

(劉 尭)