Spansion社長兼CEO ジョン・キスパート氏が来日記者会見
~今後は自動車向けソリューションを強化

ジョン・キスパート氏

2月21日 発表



 日本スパンション株式会社は21日、都内で記者会見を開催し、米Spansion本社から来日したジョン・キスパート社長兼CEOが、2011年の総括および2012年以降の展望について説明を行なった。

 同社は、MirrorBit技術に基づいたNORフラッシュメモリの販売や、そのライセンス事業などを行なっているが、2011年の売上高は11億ドルを達成した。売上高を市場別に見ると、民生品が33%、自動車/産業用機器が28%、コンピュータ/通信が13%、ゲームが12%、ロイヤリティが10%、その他が4%だった。地域別では、アジア太平洋が31%、日本が29%、ヨーロッパが20%、アメリカが16%、韓国が4%だったという。

 特に第4四半期の売上高に絞ってみると、日本が37%と高いシェアを誇る。外資の半導体企業であるにもかかわらず、日本国内におけるシェアが高い理由は、自動車に特化したソリューションと、そのサポート体制によるものという。

 ジョン氏は「自動車は大容量メモリよりも、品質、信頼性、性能への要求が高い。我々はNOR型のフラッシュメモリのテクノロジーリーダーであり、このニーズに応えられる。また、我々の日本法人は顧客に近いところにおり、他社と比較して充実したサポートを提供できる。そのため、我々の日本におけるシェアは高い」と説明した。

 同社は第4四半期中に、業界初の容量4GbitのパラレルNOR型フラッシュメモリ、容量128Mbit/256Mbitの世界最速シリアルNOR型フラッシュメモリの生産を開始した。2012年についてはさらに4Mbit~64Mbitの低容量SPI、128Mbit~1Gbitの大容量SPI、1Gbit~8Gbitの組み込み向けSLC NANDという4つの武器で、市場シェアの拡大を図るとしている。

2011年通期のハイライト2011年第4四半期のハイライト2011年第4四半期売上高の市場別と地域別の構成比

 2012年以降、自動車のセグメントにおいては、ADAS(先進運転支援システム)/クラスタ/テレマティクスなどを代表とするソリューションで、パラレルNOR型/シリアルNOR型/SLC NAND型フラッシュメモリが牽引されるだろうとした。ただし、自動車は非常に長い時間をかけて開発されるため、現世代の製品が搭載されるのは2015年頃になるだろうとした。

 また、コンピューティング/通信、そして民生品分野では、基地局やスイッチ、セットトップボックスやデジタルTVなどのソリューションで、シリアルNOR型とSLC NAND型フラッシュメモリが、ゲームやそのほかの産業では、サウンドやグラフィックス、医療やスマートエネルギーなどのソリューションで、パラレルNOR型フラッシュメモリが牽引されるだろうとした。

2012年の主力製品各分野における牽引材料

 独自のMirrorBit技術も2012年で10年目に突入するが、今後も45nmへの微細化や、シンプルな構造による低コスト/高信頼性/高性能を武器に、NOR型フラッシュメモリとしてのリーダーシップを発揮していきたいとした。また、チャージトラップ採用のNANDフラッシュメモリや、フローティングゲート採用のNOR型フラッシュフラッシュメモリも用意することで、さまざまなニーズに対応していきたいとした。

同社の技術の推移MirrorBit技術の特徴

 今後はNORやSLC NANDフラッシュメモリ、ライセンス事業に加えて、メモリが主体となる半導体PSS事業に注力していく。SoCは一般的に半導体面積のうちロジックが80%前後、メモリが20%前後を占めるソリューションのことを指すが、PSSではメモリが80%前後、ロジックが20%前後という、逆のパターンの製品のことを指す。考えられるソリューションとしては、大量なデータ読込みが必要となる音声/ジェスチャ/顔/画像認識技術を採用した製品であり、これもやはり自動車のナビゲーションシステムなどによって市場が拡大するだろうとした。

今後予想される売上構成比2012年強化する点
メモリを中心としたPSS事業本日のまとめ

(2012年 2月 21日)

[Reported by 劉 尭]