米Intel副社長兼データセンター・コネクテッド・システム事業部長のカーク・スカウゲン氏は31日、都内で同社のデータセンター事業戦略について説明した。
スカウゲン氏によると、Intelの企業指命はコンピューティングテクノロジの開発と拡張によって、世界中の人々を繋ぎ、より豊かな生活を実現することにあるといい、クラウドが発展する中、データセンター事業はそのための主要な事業の1つとなる。
言うまでもなく、インターネットに接続する人や端末の数、そしてアクセスするデータ量は今後増加の一途を辿る。それに対応するには、単にサーバーの性能を上げるだけでなく、効率を向上させる必要がある。スカウゲン氏は、最新のXeonサーバーなら、1台でシングルコアCPUサーバー15台を置き換えることができ、浮いたスペースや電力などの経費削減により、投入コストも2~5カ月で回収できるとした。
また、Open Data Center Allianceを立ち上げて以来、1年で参加企業が4倍の280社に増えており、オープンなデータセンター構築に向けた具体的な利用モデルの定義などを通じて、より経済性の高いクラウド環境の構築に貢献していると述べた。
今後インターネットアクセスは増加の一途 | Open Data Center Allianceにより利用モデルを策定 |
MICアーキテクチャの概要 |
HPC(High Performance Computing)についても、22nm世代で1チップに50超のコアを内蔵する「MIC (Many Integrated Core)」アーキテクチャに基づくコプロセッサの提供により、2018年までに1EFLOPS(Exa FLOPS=1,000Peta FLOPS)を、2倍の電力増で実現する予定だとした。
MICアーキテクチャの採用については、すでにいくつかの団体が表明しているが、その1つである東京大学で大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻教授兼情報基盤センター長の石川裕氏が、現在開発中のスーパーコンピュータについて概要を解説した。
石川氏は、「これまでスパコンの主用途は科学技術計算だったが、最近ではゲノム情報解析など、大量のデータを並列処理したいという要求が増えてきた。そのためには、プロセッサの性能だけでなく、I/Oや並列処理性能が求められる」と説明。具体的には、ホストとなるXeonプロセッサ1つに対し、PCI ExpressバスでMICカードを複数接続し、ノード間はInfinibandで繋ぐ。
MICを選択した理由として石川氏は、MICがXeonと同じx86ベースであるため、単一のアーキテクチャでクラスタを構成できるという汎用性、OSを独自開発するにあたり必要なシステムアーキテクチャが開示されているというオープン性、そしてサポートの3点において優れているためと述べた。
最後にスカウゲン氏はプロセッサロードマップについて、すべて予定通り順調に進んでいることをアピールした。2011年内に2ソケットをサポートする8コアの「Sandy Bridge-EP」が登場し、その後にプロセスルールを22nmに縮小する「Ivy Bridge」が続く。Itaniumについては、8コアのPoulsonを投入し、その2年後に「Kittson」が予定されている。
スカウゲン氏が持つのがPCI ExpressのMICカード | 東京大学の石川裕氏 | ポストペタスケールシステムに向けた要求事項 |
MICを選択した理由 | Xeonのロードマップ | Itaniumのロードマップ |
(2011年 8月 31日)
[Reported by 若杉 紀彦]