エプソン、国内最小/最軽量クラスのA4ページプリンタ
~トナーは5,239円から

LP-S120

7月下旬より順次発売
価格:オープンプライス



 エプソンは、国内最小クラスのA4ページプリンタ「LP-S120」、「LP-S520」、「LP-S620」を7月下旬より順次発売する。価格はすべてオープンプライスで、店頭予想価格は順に14,980円前後、29,980円前後、49,980円前後の見込み。

 LP-S120はモノクロ、LP-S520とS620はカラーに対応したページプリンタ。現像ユニットの感光体とLEDヘッドを一体化することで高さを抑えるとともに、インクジェットプリンタのように、使用時のみ給排紙トレーを引き出して使う構造とすることで奥行きを抑え、トレーをすべて閉じたときの本体サイズを「国内最小クラス」に抑えたという。

給紙トレーは利用するときに引き出すタイプ

 また、印刷枚数が少ないエントリーユーザーを想定し、約1,000枚印刷可能なSサイズトナーを用意。カラー/モノクロともに5,239円と、価格を大幅に抑えた。

●LP-S120

 LP-S120はモノクロ対応のA4ページプリンタ。本体サイズは358×197×208mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約4.6kgと、国内最小/最軽量クラスを実現した。また、ファンレス機構とし、アイドル時は無音を実現した。

 主な仕様は、最大解像度が1,200×1,200dpi、印刷速度が24ppm。対応用紙はA4~A5、封筒、はがきで、給紙枚数が150枚、排紙枚数が100枚。CPUは32bit RISC CPU(150MHz)を搭載し、RAMは64MB。ウォームアップ時間は25秒以内、ファーストプリント時間は11秒。

 インターフェイスはUSB。対応OSはWindows XP/Vista/7/Server 2003/Server 2008(同R2)、およびMac OS X 10.4.11以降。

 最大消費電力は970W以下で、印刷時消費電力は平均370W。トナーは2,200ページ印刷可能なMサイズの「LPB4T15」が11,424円、1,000ページ印刷可能なSサイズの「LPB4T14」が5,239円。Mサイズには環境推進トナーの「LPB4T15V」も用意される。ランニングコストは4円。

LP-S120トレーを閉じたところインターフェイスはUSBのみ
【動画】LP-S120で印刷を10枚したところ

●LP-S520、LP-S620

 LP-S520、LP-S620はカラー対応のA4ページプリンタ。本体サイズは394×304×234mm(同)、重量は約10.6kgと、こちらも国内最小/最軽量クラスを謳う。

 LP-S520の主な仕様は、最大解像度が600×600dpi(スクリーン処理で1,200×2,400dpi)、印刷速度がカラー10ppm/モノクロ12ppm。対応用紙はA4~A5、封筒、はがきで、給紙枚数が150枚、排紙枚数は100枚。CPUは32bit RISC CPU(192MHz)を搭載し、RAMは64MB。ウォームアップ時間は25秒以内、ファーストプリント時間はカラー17.3秒、モノクロ15秒。

LP-S520トナーは側面から交換できる操作はボタンのみで行なう

 LP-S620の主な仕様は、最大解像度が600×600dpi(スクリーン処理で1,200×2,400dpi)、印刷速度がカラー12ppm/モノクロ15ppm。対応用紙はA4~A5、封筒、はがきで、給紙枚数が150枚、排紙枚数が100枚。トレーカバーにも優先給紙機能を備えており、10枚セットできる。CPUは32bit RISC CPU(384MHz)を搭載し、RAMは128MB。ウォームアップ時間は25秒以内、ファーストプリント時間はカラー15秒、モノクロ12.5秒。

 インターフェイスは共通でUSBを備えるが、LP-S620はさらにEthernetを装備。また、LP-S620のみ状態表示が行なえる液晶ディスプレイを備える。対応OSはWindows XP/Vista/7/Server 2003/Server 2008(同R2)、およびMac OS X 10.3.9以降。

LP-S620液晶ディスプレイを備えるUSBに加えてThernetを装備

 最大消費電力は790W以下で、印刷時消費電力はLP-S520が平均265W、LP-S620が平均310W。

 トナーは、カラーで1,400ページ印刷可能なMサイズの「LPC4T8C」(シアン)、「同M」(マゼンタ)、「同Y」が8,799円、モノクロで2,000ページ印刷可能なMサイズの「LPC4T8K」(ブラック)が11,130円。C/M/Y/Kともに約700ページ印刷可能なSサイズの「LPC4T10」シリーズが5,239円。Mサイズには環境推進トナーの「LPC4T8V」シリーズも用意され、価格はカラー系が7,035円、ブラックが8,925円。ランニングコストはカラー18.6円、モノクロ4.3円。

●エントリー向けで市場拡大、シェア30%目指す
中野修義氏

 14日に都内で開かれた製品発表会では、エプソン販売株式会社 取締役 販売推進本部長の中野修義氏が挨拶。エプソンのビジネスプリンタの全体の販売戦略を、「ビジネスユーザビリティの実現」、「節電」、「A4機ラインナップ拡大」の3つから展開するとした。

 ビジネスユーザビリティの面では、ユーザーのニーズに合わせた技術、低価格製品、必要十分なスペックや機能を備えた製品の投入により、ユーザー視点の製品を開発していくことで、さまざまなニーズに応えられるようにしたいとした。

 節電は、電力不足やエネルギーコスト削減などが企業にとって課題となっている昨今、もっとも重要なテーマとし、これまでも節電についてCMなどで展開してきたとする。アンケートの結果からも、プリンタを買い替えることで節電につながる市場の需要喚起に成功したという。

 そして、A4機を印刷量の少ない中小規模ビジネス事業者が購入しやすいよう、イニシャルコストを抑えたモデルを投入することで、シェアと売上拡大を目指すとし、今回の製品がその第1弾であるとした。

 これらの戦略のもと、2011年は、A4ページプリンタ約54万台の市場で、30%のシェア、台数にして16万台の出荷を目指すとした。


3つの戦略ビジネスユーザービリティの実現節電に関する広告の展開
エプソンの節電に関する広告の展開後の反応A4機のラインナップ拡大30%のシェアを目指す
高畑俊哉氏

 続いて、セイコーエプソン株式会社 情報画像企画設計第一統括部 副統括部長の高畑俊哉氏が、製品のコンセプトについて紹介。A4ページプリンタの市場は増加傾向にあり、特に需要が伸びているのは中小企業向けとし、新製品はこの市場に注目したという。

 2011年度の製品開発コンセプトは、「省スペース」、「省電力」、「省力化」という3つの省に、プラス「高画質」とする。

 まず省スペース面では、最新の「LP-S520」は2004年に発売した「LP-V500」と比較して体積が68%削減されているほか、モノクロの「LP-S120」も2009年に発売した「LP-S100」と比較して体積が48%ダウンしている。本体のみならず、LP-S120に使われているトナーも個装箱体積が96%ダウンした。

 省電力面では、1日あたりの消費電力試算で、カラーは旧モデルと比較して約65~67%、モノクロも約35%削減できたという。低消費電力を実現した背景には、低温で定着する「低融点トナー」の採用や、加熱時間を短縮できる「ベルト定着方式」の功労が大きいという。

 省力化では、感光体を本体と一体化し、トナーのみの交換で利用できるようにしたことや、カラーモデルではカラートナーが切れてもモノクロトナーのみで印刷を継続できる機能の搭載などによりユーザービリティを向上させたとした。

 最後の高画質については、他社と比較して細い斜線や4pt前後の文字も印字できることをアピールした。


ページプリンタの市場A4レーザープリンタの市場A4カテゴリのラインナップの充実
開発の3つのコンセプトA4カラー機の大きさ比較A4モノクロ機の大きさの比較
トナーも少し小さくなったLEDヘッドの仕組みカラーでは約65~67%削減
モノクロでも約35W削減できた低融点トナーの採用により高速化を実現交換はトナーだけで、感光体は交換できない
使いやすさへの配慮高速/コンパクトながら高画質を謳う
鈴村文徳氏

 新製品の販売戦略について、エプソン販売株式会社 LP・BIJ MD部 部長の鈴村文徳氏が紹介。ユーザーアンケートや調査の結果、「消耗品が高い」、「印刷速度が遅い」、「プリンタの本体サイズが大きい」などの不満の声が多いため、新製品はこれらの課題を解決できるものだとアピールしていくとした。

 特に、ランニングコストに関する意識調査では、CPP(Cost Per Page、つまり印刷1枚の単価)の次に、CPC(Cost Per Cartridge、カートリッジ1本の単価)が重視されていることがわかったという。今回、5,000円前後のSサイズのトナーを新たに用意することで、CPCに関する不満を解決できるとし、印刷量の少ない、イニシャルコストを重視するユーザーにメリットを訴えていくとした。

 また、小型/省スペースに関しても、全国の多数の店舗で実際に触れられる実機を用意することで、実際に体感してもらえるようにする。省電力に関しても、春から続いているCMなどで積極的にアピールしていきたいと述べた。


トナーの価格一覧新製品のターゲットユーザー調査によるプリンタへの不満の声
ランニングコストではCPPだけでなくCPCも重視されている印刷量が少ないユーザー向けの製品多くの販売ルートで取り扱う
店頭などへの展開春から続いている節電に関するプロモーションも続いて行なう

(2011年 7月 14日)

[Reported by 劉 尭]