CFD販売株式会社は、日本ギガバイト製ゲーマー向けハイエンドマザーボードとなる「G1-Killer」シリーズ3製品を3月4日より順次発売する。価格はオープンプライス。
いずれもIntel X58 Expressチップセットを採用し、マルチビデオカードに対応。また、Creative Technology製オーディオコントローラSound Blaster X-Fi(最下位モデル除く)や、Bigfoot Networks製ネットワークコントローラKiller E2100を搭載するほか、コンデンサなどに高品位なコンポーネントを採用し高品質、高耐性を謳う。
ラインナップは、上位から「G1. Assassin」、「G1. Sniper」、「G1. Guerrilla」で、店頭予想価格は順に51,000円前後、40,000円前後、35,000円前後。G1. Guerrillaのみ発売は3月中旬となる。
日本での発売に合わせ、台湾本社でマーケティング本部副本部長を務めるティム・ハンドリー氏が来日し、新製品の狙いや特徴について解説した。
製品ラインナップ | GIGABYTE TECHNOLOGY本社のティム・ハンドリー氏。製品イメージにあわせ、アーミーの出で立ちで登場した |
G1-Killerシリーズの大きな特徴は4つある。1つはマルチビデオカードに対応する点で、同社では「Super Sight」と呼んでいる。PCI Expressレーン数が多いX58を活かし、最上位の最大で3wayまでのSLIと4wayまでのCrossFireXに対応。残り2製品もPCI Express x16スロットを3基備える。
2つ目の特徴は「Super Hearing」と名付けられ、上位2モデルがEAX Advanced HD 5.0に対応するSound Blaster X-Fiを搭載(最下位はソフト処理)。コンデンサについてもハイエンドオーディオ製品に利用されるニチコン製を採用。また、アンプは150Ωの負荷に対応。これにより、ハンドリー氏は、高品質なヘッドフォンを使って、敵の足音から方向や距離も判別できるようになり、ゲームを有利に進められるとした。
G1-Killerシリーズには4つの大きな特徴がある | 1つはマルチGPU対応 |
2つ目はSound Blaster X-Fiおよびニチコン製コンデンサなどの搭載による高音質 |
3つ目は「Super Speed」。これは、オンボード実装されたネットワークコントローラKiller E2100とMarvell製SATAコントローラSE 9182のことを差す。前者はネットワーク遅延が少ないことで定評のチップで、オンラインゲームで有効。後者については、X58とGen2のPCI Express x1 2レーン分を使って接続され、従来の4倍にあたる10Gbpsの帯域を確保した。
このチップからは、2ポートのSATA 6Gbpsが伸びている。この合計帯域は12Gbpsに達するが、ハンドリー氏によると実効転送速度の面ではほとんど損失がないという。実際、同社の検証によると、現在SATAの帯域が最も大きいIntel P67 Expressとの比較で、G1-Killerシリーズはほぼ同じ転送速度を実現し、ICH10R配下のSATA 3Gbpsと比べると、50%高速な結果が出たという。
このほか、AssassinではUSB 3.0×2、eSATA、オーバークロックボタンのついた5インチベイ用アクセサリが付属し、これもSuper Speedに含まれている。
なお、X-FiとKiller E2100は、専用のメモリも実装され、CPUやメインメモリに負荷をかけることなく動作するという。
ネットワークコントローラKiller E2100を搭載 | MarvellのSATAコントローラSE9182はPCI Express x1を2レーン使って接続し、高速性能を実現 |
4つ目は、高信頼性/高耐性を実現するための高品位コンポーネント採用のことを指し、Super Shieldと呼ばれる。これらの一部は従来製品でも実現されていたが、特徴的なものとしては、ライフルの弾倉を模したヒートシンクや、5つの温度センサーとファンヘッダー、また、従来型とEFIを切り替え可能で、3TB超のHDDからのブートに対応するハイブリッドタイプのDual BIOSなどが紹介された。なお、このハイブリッドBIOSは今後の製品のみならず、既存製品もアップデートを提供予定という。
冷却性にも配慮 | そのほか、同社製品でおなじみの機能も踏襲 |
各製品の詳細な仕様は以下の通り。
G1. Assassinは、PCI Express x16×4(内2基はx16、2基はx8接続)、PCI Express x1×2、PCIを装備。これにより、4way CrossFireXに対応するが、フォームファクタはXL-ATXとなるため、通常のATXケースには収納できない。対応ケースはCoolerMasterやThermaltakeなどから発売されており、同社サイトで対応品リストを公開している。
メモリはDDR3-2200/1600/1333×6で、最大容量は24GB。ストレージインターフェイスは、SATA 6Gbps×2、SATA 3Gbps×6、Power eSATA(フロントベゼル経由)で、RAID 0/1/5/10に対応。このほか、USB 3.0×8、USB 2.0×8を備える。
G1. Sniperは、PCI Express x16が3基(内2基がx16、1基がx8接続)、eSATAがオンボード×2に(電源非対応)、USB 3.0が4基、USB 2.0が8基となり、フォームファクタはATXに準拠する。
G1. Guerrillaは、SniperからSound Blaster X-Fiを省略したモデルとなる。
G1. Assassin | 弾倉をもした特徴あるヒートシンク | CPUソケット周辺のヒートシンクも重装備。LEDも内蔵される |
I/Oパネル | Sound Blaster X-Fi | Killer E2100 |
ちょっと分かりづらいが中央の正方形のチップがSE9182。白いのがそれにつながるSATA 6Gbpsのポート | G1. Sniper | I/Oパネル。なお、G1. Guerrillaは展示がなかった |
●新市場を作るのでなく、競合からシェアを奪う
同社の2011年の戦略 |
G1-Killerシリーズシリーズは同社にとって初のゲーマーに特化した製品。その投入の背景について、ハンドリー氏は、「現在世界のマザーボード市場は成熟しており、成長率はちょうどIntelのボックスCPUと同じ年3~5%程度でしかないため、新たな市場を作り出すのは難しく、同じパイを競合他社から奪うしかない。また、単体マザーボード市場は、エントリーからハイエンドへと移行しており、そこでシェアを取るために本シリーズを開発した」と語った。
ハンドリー氏は、2004年にGIGABYTEに入社。当時の同社のマザーボード出荷数は約1,200万枚だったが、移行、順調に成長を続け、現在では約2,000万枚に伸びている。この規模の出荷をしているのは同社以外にあと1社しかなく、この2社だけで世界のシェアの約半分を占めるという。
こういった状況で、シェアを伸ばしていくのには困難が伴うが、2006年に他社に先駆けて日本製コンデンサを採用したり、PCの電源がオフでもUSB機器を高速に充電できるオン/オフチャージ技術など、高品質化と独自技術で他社との差別化を図っていくとした。
X58以外のプラットフォームへのG1シリーズ展開については、最新のIntel 6シリーズはPCI Expressのレーン数が少ないことなどから見送られたが、それを望む声が多いため、現在では製品化の可能性がかなり高まっているという。また、今回のシリーズの売れ行きを見て、AMDプラットフォームへの展開も検討していくという。
●B3ステッピングのIntel 6シリーズはすでに出荷開始また、説明会では、リコールされたIntel 6シリーズ搭載製品の最新状況についても説明があり、ハンドリー氏は、問題が修正されたB3ステッピングのチップを搭載したバージョンを先週から出荷が開始したことを明らかにした。
新バージョンの製品は、パッケージに大きく「B3 Stepping」のロゴが入るだけでなく、製品の型番の末尾にも「B3」が付与され、基板上にも印刷されるなど、徹底した訴求が行なわれる。
B3ステッピング搭載品はこのようなロゴがパッケージに貼られる | また、型番自体にもB3がつくなど、別製品と言えるほど変更が加えられる |
(2011年 3月 3日)
[Reported by 若杉 紀彦]