エイサー、10万円を切る3D Vision対応ノートPC
~日本市場で国内メーカーより率先して3Dを訴求

12月3日 発売
価格:オープンプライス



 日本エイサー株式会社は、NVIDIA 3D Visionに対応した15.6型ノートPC「AS5745DG-A54E/L」を12月3日より発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は99,800円前後となる見込み。

 アクティブシャッターを採用するNVIDIAの立体視技術である3D Visionに標準対応するノートPC。対応コンテンツに乏しいTVと違い、PCではBlu-ray 3D、3D写真、3Dストリーミング、そしてゲームなどすでに対応するコンテンツが多数あるので、購入して即、立体視を楽しめる。

 これに加え、本製品にはイーフロンティアが開発した「Shade 3Dブラウザ」を搭載。これは、3D Visionに対応した3D CGのビューワソフト。Shadeはもとより、各著名ソフトのほか、インターネット上に100万点以上アップされている、GoogleのSketchUp方式で作成されたモデリングデータを表示できる。SketchUpデータは、Google 3Dギャラリーから検索可能およびダウンロードができる。

 このほか、エイサーの独自ソフトである「Arcade Deluxe」を使うことで、Blu-ray 3D以外に、2DのDVDや各種動画を3Dに変換することもできる。

 主な仕様は、Core i5-460M(2.53GHz)、メモリ4GB、HDD 640GB、GeForce GT 425M(1GB)、Intel HM55 Expressチップセット、BD-ROM/DVDスーパーマルチコンボドライブ、1,366×768ドット/120Hz表示対応15.6型液晶ディスプレイ、Windows 7 Home Premium(64bit)を搭載。

 インターフェイスは、USB 2.0×4、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 3.0+HS、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン、SDカード/メモリースティック/xD-Picture Cardスロット、130万画素Webカメラ、音声入出力などを装備。3Dメガネの赤外線エミッタは本体に内蔵する。スピーカーは第3世代ドルビーホームシアター対応。

 本体サイズは、約379×250×31.9~57.7mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約3kg。

AS5745DG-A54E/Lキーボードはテンキー付き右側面に光学ドライブ、とUSB 2.0
左側面にディスプレイ出力とGigabit Ethernetなどスピーカーは第3世代ドルビーホームシアター対応前面にカードリーダを装備
天板は光沢のある黒イーフロンティアのShade 3Dブラウザ。3D Visionに対応FinePix REAL 3Dで取った3D写真も標準で表示可能

●「適正価格」での投入により、日本で3Dを率先して普及

 19日に行なわれた製品発表会では、エイサーおよびNVIDIAの関係者のほか、3Dコンテンツに関わるゲストが登壇した。

日本エイサーのボブ・セン氏(左)とNVIDIAトム・リン氏(右)

 まず、日本エイサー代表取締役社長のボブ・セン氏と、NVIDIAでエイサーグローバルアカウントマネジメント セールスディレクターを務めるトム・リン氏が順に登壇し、今回の製品が両社の協業の成果であることを語った。

 続いて、日本エイサーマーケティングコミュニケーション課マネージャーの瀬戸和信氏が、新製品の狙いについて説明した。まず瀬戸氏は、消費者は3Dに関心を持っているものの、その表示に対応する映画も、TVも、PCも価格が割高であり、購入を躊躇しているという事実を指摘。

 そういった中、今回の製品は実売価格が10万円を切る見込みで、3D非対応の製品と同程度の「適正価格」に抑えた。この価格を実現した1つの要因として、3D対応製品でありながら、敢えてプレミアム仕様にしなかった点が挙げられる。

 瀬戸氏は、比較として東芝の3D対応製品を挙げ、この製品がCore i7や書き込み可能なBDドライブなどハイエンドな構成になっているのに対し、AS5745DG-A54E/Lは、Core i5と読み込みのみのBDドライブ(DVDは書き込み可能)といった構成になっている。一方でGPUは、前者が一世代前のGeForce GT 350Mなのに対し、後者は最新のFermiアーキテクチャであるGeForce GT 425Mを採用した。

 また、エイサーは現在、世界で第2位の出荷台数を誇っており、部品調達に関して、他社よりも有利な購買を行なうことができる。

 これにより、各種3Dコンテンツを楽しむ上で、必要十分な仕様を満たしつつも、普及価格帯を実現した。引き合いに出された東芝製品の価格は約20万円。こういった他社製品の価格について瀬戸氏は、「日本には現在、本気で3D PCを普及させようと考えているメーカーは無いのではないかと思う」と述べ、高すぎる日本のPC業界に風穴を開け、率先して3Dの普及に努めたいとの考えを示した。

日本エイサーの瀬戸和信氏3D対応製品を買わない最大の理由が高いから東芝製品とのスペックと価格の比較

 コンテンツについても、3Dを普及させる上でもっとも重要と考えており、Blu-ray 3D、ゲーム、3D写真などおきまりのコンテンツへの対応で済ませるだけでなく、より多数の3Dコンテンツに手軽にアクセスできるよう、Shade 3Dブラウザをプリインストールした。

 ネット上には、フィギュア系やプラモデル系など日本人ユーザーに好まれる作品も多くアップされていることから、日本独自の取り組みとして、プリインストールすることを決めた。

 同社は、すでに3D Vision対応の液晶ディスプレイやプロジェクタも国内に投入しており、引き続き積極的に3Dの訴求に努めていくとした。

 NVIDIAジャパンマーケティング本部マーケティングマネージャーの平柳太一氏は、米国での事例となるが、ゴルフのマスターズトーナメントや、ナスカーレーシングといった人気番組が3DでPC向けに配信された事例を紹介。

 加えて、NVIDIAも独自に3D Vision購入者向けに、3Dコンテンツを配信する「3D Vision Live(仮称)」というサイトを米国で立ち上げており、、2011年初頭にも、ユーザーが撮影した3D写真をアップロード/共有する機能を追加予定という。共有された写真は、ブラウザ上で立体視できる。

 また、ゲストとしてイーフロンティア営業統括部営業グループマネージャーの坂口秀之氏がShade 3Dブラウザの紹介をしたほか、デジタルマンガ協会事務局長の立野康一氏と、キュー・テックCGIディレクター/S3D監督の三田邦彦氏が登壇。

 立野氏は、日本の3大マンガ協会の1つである、デジタルマンガ協会には、著名な漫画家が多数会員として名を連ねており、その多くがマンガの3D化に大きく注目していることを紹介。今回のエイサーの製品は、価格も安く、読者、著者の双方にとって期待できる製品だとした。

 また、三田氏も同様に、3D対応ノートPCは、制作の場面で役立つだけでなく、今後発展するであろう3Dコンテンツを制作する人材の裾野を広げ、産業の活性化にも一役買うだろうと述べ、新製品を歓迎した。

NVIDIAの平柳太一氏米国ではNVIDIA自身が3D Vision対応動画をストリーミング配信しているイーフロンティアの坂口秀之氏
Shade 3Dブラウザは、GoogleのSketchUpに対応。多数の作品をGoogle 3Dギャラリーで検索/ダウンロードできるデジタルマンガ協会の立野康一氏キュー・テックの三田邦彦氏
立野氏は、2Dから変換したマンガの例を紹介。フォトセッションより、セン氏とリン氏

(2010年 11月 19日)

[Reported by 若杉 紀彦]