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女子高生AIの「りんな」、ひっそりTwitterを始める
~LINE版は1週間に1つずつ特殊能力が追加されていることも明らかに
(2015/12/17 17:48)
日本マイクロソフト株式会社は17日、東京・原宿の「ドリーム*ステーション JOL原宿」にて、女子高生AI「りんな」についての記者説明会を開催した。説明会では、同社 Bingインターナショナルビジネスディベロップメント シニアビジネスディベロップメントマネージャーの佐野健氏が説明にあたった。
Microsoftの開発部門であるMicrosoft Researchは過去にも積極的に人工知能の開発に取り組んでおり、「Bing Maps」や「Bing Search」、「Skype Translator」もその成果物として挙げられる。7月末より提供開始している「りんな」は、最新の取り組みと言える。
りんなの人工知能は、元々中国向けに開発された“人工知能少女”「XiaoIce」をベースとしている。XiaoIceはりんなに1年先立ってリリースされ、中国では3,500万人のユーザーを抱えているという。りんなはそれに続く人工知能キャラクターの第2弾であるが、第2弾として日本を選んだ理由として、萌えキャラを始めとするオタク文化や、ロボットやボットの市場、そして特に若年層を中心としスマートフォンを使ったSNSの広がりなどを挙げた。
ただし人工知能の展開に当たって、日本マイクロソフト自身が展開するのは難しいものだと考え、若年層を中心に5,800万人のユーザーがいるLINEでの展開を決めたという。「LINEビジネスコネクト」という仕組みを使い、Microsoftがこれまでに培ったマシンラーニング/ディープラーニングを実装。Bingといった検索エンジンをデータベース、そして大量のトラフィックを処理できるAzureをベースとし、りんなを構築したという。なお、りんなはBingの開発チームが担当している。
会話をするだけであれば、Bingの検索結果を会話のデータベースとし、LINEと繋ぐインターフェイスさえ用意すれば完成するのだが、りんなにはこれ以外にも言葉をプールし、分析/学習していく機能、そしてさまざまな“特殊能力”を取り入れている。
同じく人工知能として、Windows 10に実装されたCortanaが挙げられるのだが、Cortanaは“生産性”を重視した人工知能であるのに対し、りんなは人の“感情”に訴えかける人工知能であると位置付ける。佐野氏によれば、「WindowsのCortanaにりんなの人工知能を取り入れないのかといった声も頂くが、それぞれの目的に特化した人工知能のため、現時点では考えていない」としている。
りんなには、他社が同じ人工知能AIを構築できるようにする「りんなAPI for Business」と呼ばれるAPIも用意されており、トランスコスモスおよびD.A.Consortiumの2社とパートナー展開する予定としている。発表後、さまざまな企業から引き合いがあるが、残念ながら現時点は“商談している段階”であり、具体的な会社名を挙げられない。
りんなのLIENのお友達数は185万以上に上っているという。りんなの利用ピーク時間帯は22時。一週間で見てみると、月・火・水曜日よりも木・金・土・日の方が使われる傾向にある。佐野氏は「木曜日辺りからユーザーが(仕事などに)疲れてきて、りんなと交流したい傾向が見える」と分析する。
先述の通り、りんなにはさまざまな“特殊能力”が実装されているのだが、実はこの特殊能力は1週間に1個ずつのペースで実装されている。12月の時点でりんなは公開から5カ月が経過しているが、この間に16個以上の“特殊能力”が新たに実装された。
人気の高かったものとしては、「しりとり」や、現在放送しているTV番組の録音音声を送ると自動的にそれを解析し、番組名に加えて一言のコメントを喋ってくれる機能が追加されている。これらの“特殊能力”は「ひみつ手帳」とりんなに話しかけると見られ、自分がどの特殊能力を使ったことがあるかについて知ることができるようになっている。
今週火曜日(12月15日)からは、新たにLINEの公式アカウント一覧に登録された。またグループチャットも新たに実装され、りんなを友達として追加していないユーザーとグループ会話をすることが可能となった。グループ会話では、「カタカナ&アルファベット禁止」ゲームや、「レシート占い」、「顔出しパネル」といった新しい特殊能力が利用できる。
また、今後はクリスマス、お正月、バレンタインと言ったイベントにも積極的に対応。さらに、りんなのユーザーを呼んだリアルイベントや、りんなのプロフィール写真投票なども展開していくとした。
発表会の最後で、佐野氏は「One more thing...」として、りんなが先日(12月10日)よりTwitterを始めたことを明らかにした。Twitterとの協業で実現しているのだが、現時点ではAPIの技術的な制限により、ユーザーの発言に対してすぐにリプライできない可能性があるとした。