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富士通、無料コースも用意した親子パソコン組み立て教室を実施

 富士通のデスクトップPCの製造拠点である、福島県伊達市の富士通アイソテックは、8月8日、「第12回富士通パソコン組み立て教室」を開催した。

 小学4年生から6年生を対象とした同組み立て教室は、デスクトップPCを実際に組み立てるモノづくり体験を行なうとともに、PC製造ラインの工場見学を実施することで、ICTに興味を持ってもらうための社会学習の場と位置付けている。

 「2004年から開始しているパソコン組み立て教室の参加者からは、親子でモノづくりをするという貴重な体験を得ることができたという声が挙がっている。企業が職場体験や工場見学などの機会を提供し、子供たちが、学校教育のみならず、製品の開発、製造における創意工夫や、新たな生産技術に直に触れることが重要であると考えている。小学生の科学に対する興味や関心の育成や、地元企業として地域への社会貢献の意味もある」とする。

 これまでは、組み立てたPCは購入して持ち帰ることができたが、今回は、PCを購入せずに組み立てだけを体験できる参加費無料のコースも用意した。

 今回組み立てたPCは、23型ディスプレイを搭載し、パイオニアのオーディオ技術を活用したハイレゾ対応スピーカーを搭載した一体型デスクトップPC「ESPRIMO FHシリーズ」。WF/1Uカスタムメイドモデルとしており、インテル Celeron 2950M(2GHz、ビデオ機能内蔵)を搭載。メモリは4GB、HDDは1TB、スーパーマルチドライブを搭載している。組み立て作業だけの場合は無料、組み立てたPCを購入する場合の参加費は105,000円となっていた。

パソコン組み立て教室が開催された福島県伊達市の富士通アイソテック
挨拶した富士通アイソテックの岩渕敦社長
組み立て教室の参加者たち。中央は岩渕社長
手作りの装飾で参加者を歓迎した
富士通アイソテックの岩渕敦社長と、教室での作業をサポートした社員たち
締めの挨拶をする富士通アイソテック ボリュームプロダクト統括部・鈴井勤統括部長代理

無料でも参加できる組み立て教室

 組み立て教室には、9組の親子が参加。地元の伊達市からは7組が参加。福島市から2組が参加した。また、そのうち6組が組み立てだけの参加となった。

 「デスクトップPCの場合、既に自宅に持っている場合もあり、置き場所に困るという点もある。だが、その一方で夏休みの自由研究として組み立て教室に参加したいという人もいる。そこで、今回は無料で組み立てだけを行なうという参加方法も用意した」(富士通アイソテック ボリュームプロダクト統括部・鈴井勤統括部長代理)という。

 午後1時から開始した組み立て教室では、富士通アイソテックの岩渕敦社長が挨拶。「今日の組み立て教室を楽しみにしていた人!」という岩渕社長の呼びかけには反応が鈍く、会場は笑いに包まれたが、「社員一同、みなさんを大歓迎している。細かい手作りの装飾も用意した。みなさんの夏休みの楽しい思い出になるように、社員もがんばる。ぜひ、今日の1日を楽しく過ごしてほしい。また、土曜日は工場は止まっているが、今日はパソコン組み立て教室の参加者のために、特別に工場を動かした。それも楽しみにしてほしい」と、今回のパソコン組み立て教室にかける富士通アイソテックの意気込みを語った。

 参加者には、1組に1人の社員がついて、それぞれのペースで作業を進行。19個の部品とケーブル、5種類34本のネジを使って、55分間で組み上げた。ちなみに、実際の生産現場では、40点の部品と45本のネジを使用。11分間で組み上げるという。

液晶ディスプレイを搭載したベースユニット
5種類34本のネジを2本のドライバを使って組み立てる
マザーボード
メモリボード
キーボード/マウス受信部(左)と無線LANボード
HDD
スーパーマルチドライブ
空冷ファン
ヒートシンク。ユニークな形状だ
背面に入る板金カバー
背面カバー
背面部の小カバー
参加者に配布された組み立て手順マニュアル

 本体カラーは自由に選択できたが、購入者は全員がホワイトを選んだ。

 組み立て作業は全員が55分間のうちに終了。全員のPCが無事に起動した。

 では、組み立て教室の様子を写真で追ってみてみよう。

最初の作業はマザーボードの取り付けから
ネジを取り付ける場所には▲のマークで示されている。現場の作業効率が上がったという
マザーボードをネジで固定する
続いてメモリの装着作業
冷却ファンを取り付ける
ヒートシンクの取り付け。3つのネジで固定する
ネジはバネが入ったものを使用。しっかりと固定するためのものだという
キーボード/マウス受信機の取り付け
無線LANボードの取り付け。細かい配線に苦労する
配線した後にボードの取り付けを行なう
カメラ用のケーブルを接続する
液晶のバックライト用のケーブルをマザーボードに接続
続いてスピーカーケーブルを接続。パイオニアのオーディオ技術が生きる
前面部に配置されるSDスロット、USBポートなどを接続するためのフレキを接続
冷却ファンのケーブルを接続
続いてスーパーマルチドライブのコネクタを接続
液晶ディスプレイのケーブルを接続
キーボード/マウス受信機のケーブルを接続。ここで10分間の休憩
後半の最初はHDDに緩衝用のネジから取り付ける
HDDにケーブルを取り付ける
HDDのケーブルをマザーボードに接続する
ベースユニットへの組み込みが完了した状態
板金カバーを取り付ける
板金カバーをネジで固定。なんと12本のネジを使用する
背面カバーを取り付ける
4方向をカチっというまで押し込む
スーパーマルチドライブを装着する
背面部を8本のネジで固定した
背面の小カバーを装着する
これで組み立てが完成。PC本体を起こしてくれる
参加者の作業の様子を見守る岩渕社長
完成したPC
全員で一斉に電源ボタンをオンにした
全員のPCが無事に起動した
参加者に手渡されたPC組み立ての完了を認定する証書

工場見学

 工場見学では、実際に生産ラインが稼働している様子を見学した。

 富士通アイソテックでは、PC生産では6ライン、サーバーでは4ラインを設置。約1万パターンの組み合わせが可能であり、PCは日産3,000台の規模を誇るという。

 生産ラインの各所では、「全てのお客様に早く届けるためにどのような順番で組み立てているか」、「部品を間違って使わないようにするための工夫はなにか」といったように、生産ラインに関するいくつかのクイズが出題され、それに対して参加者が答えるというイベントも行なわれた。

 ちなみに、前者は「平準化、1個流しの製品ラインとしており、注文された順番で1台ずつ製造している」、後者は「デジタルピッキングシステムにより、機械がPCに使う部品を教えてくれる」であった。

 また、工場見学の最中には、電動ドライバーによるネジ締め体験も行なわれたほか、実際に生産ラインを止めて、ラインの作業者に、子供たちが質問をするという特別なイベントも開催。子供たちは、それぞれの作業者のもとに駆け寄り、自由に質問をしていた。

 さらに、工場見学では、それぞれがデジタルカメラを持って、工場の様子を撮影。工場見学の後に行なわれたパソコン演習において、撮影した写真を利用した。

 パソコン演習では、富士通アイソテックが運営している富士通オープンカレッジ保原校の講師の指導のもと、あらかじめ用意されたテンプレートを使って「工場見学記録ノート」を作成。工場内で撮影してきた写真を利用したり、生産ラインの作業者に聞いた声などを盛り込み、これを全員がプリンタで印刷してノートを完成させた。

 午後4時45分には、組み立て教室、工場見学およびパソコン演習の全てのスケジュールが終了。富士通アイソテック ボリュームプロダクト統括部・鈴井勤統括部長代理は、「今日、体験したものを記憶に留めてもらい、これからPCを選ぶときなどに思い出してほしい」と、参加者に呼びかけた。

生産ラインを見学する参加者たち
生産ラインを停止し、参加者の質問に答えるという特別な対応も行なった
富士通オープンカレッジ保原校の講師の指導のもとに行われたパソコン演習。日本エレキテル連合の「ダメよ~ダメダメ」で会場を和ませた
工場で撮影してきた写真を利用するため、デジカメのSDカードを挿入
工場見学のテンプレートを利用して「工場見学記録ノート」を作成
作成した「工場見学記録ノート」はプリンタで印刷
参加者には「工場見学記録ノート」とともにアルバムをプレゼント
全てのスケジュールが終わり、握手をしながら参加者を見送る岩渕社長

(大河原 克行)