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Avast、中小企業向けに無料セキュリティソフトを提供

〜「他社の無償プリインストールはユーザーには無意味」

「Avast for Business」

 Avast Softwareは、中小企業向けセキュリティソフト「Avast for Business」日本語版の提供を6月より開始すると発表した。

 Avast for Businessは同社初の法人向け無料提供製品となる、中小企業向けセキュリティソフト。既に2月より提供が開始されているアメリカなどでは、リリースから数カ月で10万社以上から導入申し込みがあるという。設計時点から中小企業をターゲットに開発された製品で、ITリソースや予算が限られるなど、中小企業の抱える予算とセキュリティの問題の同時解決を謳う。対応OSはWindows、Windows Server、Mac OS X。

 提供される標準機能はアンチウイルス機能、ブラウザ保護、HTTP/HTTPSの脅威スキャン、レポート/アラート作成エンジンなど。

 それらに加え、ファイアウォール、サンドボックス機能、アンチスパム、データシュレッダー、仮想マシンによってオンラインバンキングなどを保護する「SafeZone」や、サーバー向け機能のMicrosoft Exchange/Sharepointの保護機能といったより高度なセキュリティ要件に対応する有料サービスも提供される。

 25日に都内で行われた記者説明会では、Avast Software最高経営責任者(CEO)のヴィンス・ステックラー氏、同社最高執行責任者(COO)のオンドレイ・ヴルチェク氏が登壇し、同社のセキュリティへの取り組みや昨今のネットワークセキュリティなどについて語った。

 Avastは186カ国、45の言語でサービスを展開しており、個人向けセキュリティソフト市場において世界シェアトップのプロバイダで、中国を除く世界のコンシューマ用PCの30%以上、PCやタブレット、スマートフォンなど2億3000万台のデバイスを保護。2014年度には新規ユーザー約3,000万人を獲得し、売上高及びEBITDA成長率が50%以上、評価額10億ドル以上を達成したという。

 しかし、日本においてはPC版でユーザー数190万人、市場シェア6%と他国と比べ低く、モバイルなども強化していくことでブランドの認知を高めていきたいという。

Avast Software 最高経営責任者 ヴィンス・ステックラー氏
同社最高執行責任者 オンドレイ・ヴルチェク氏
Avastの企業概要
2014年の実績
日本市場でのAvast。ユーザー数190万人、市場シェア6%と他国に比べ低い

 ステックラー氏は、Avastの強みはその2億3,000万以上のデバイスで構成されるネットワークにあると述べ、Avast製品ユーザーの端末は"センサー"の役割を果たし、不審な動作を行なったファイルを同社へ提供することで、送られたファイルは機械学習を行なう1,000台以上の分析用サーバーにより処理が行なわれ、定義ファイルがアップデートされることで、ネットワークを形成するそのほかのデバイスで新たな脅威を検知、無効化するという。

 今回発表されたAvast for Businessや、個人向けセキュリティソフト「Avast Free Antivirus」などの無償提供製品について、無償提供というのは製品の配信として良い方法であるとした上で、「他社のようにプリインストールで一定期間使用出来るといった形式は、パートナーのメーカーにとって無償なのであり、ユーザーにとっては無意味である」と述べ、Avast製品はユーザーにとって無償である点を強調した。

 また、無料製品はマーケティングが難しく、"口コミ"に依存しており、実際に使ってもらうことが重要で、それ故に製品が良くなければ広まらないという。無償だからこそ信頼を獲得できるクオリティを提供しなければいけないと述べた。

Avastの技術的優位性。従来型の人力で解析を行なう脅威対策では、今のウィルス対策としては間に合わない
世界最大の機械学習型保護ネットワーク。これまでに8.5兆件のURLを解析したという

 さらに、同氏はモバイル向けソリューションについても言及した。

 一般ユーザーは利便性や契約パケット通信量の上限を超えたくないといった考えから公衆無線LANに接続しており、そういった公衆無線LANの中には、脆弱なセキュリティや非暗号化接続となっているもの、パスワードが掛かっていないものなどが存在し、日本人の過半数のユーザーは、そういったネットワークに接続することで端末内の個人情報が無防備になっていることを理解していないと説明した。

 また家庭においても、多くの機器が家庭内ネットワークに接続するようになり、全ての接続の中心となるホームルーターがセキュリティ上の弱点となっていると述べ、Avastの製品ではパスワードが設定されているかなど、ネットワーク機器のセキュリティをチェックする機能があり、その検出結果では、大半のルーターが「admin/password」といった初期設定時のままとなっていたり、パスワードが掛かっていないのが現状だという。こういったルーターは「DNSハイジャック」などの脅威に晒されていると述べた。

 それらのセキュリティリスクなどを回避するため、Avastでは、スキャナなどホームネットワークセキュリティを搭載したPC向けセキュリティソフト「Avast 2015」、悪質なツールバーなどからブラウザを保護する「Avast Browser Cleanup」や、Android/iOS向けVPN提供アプリ「Avast SecureLine VPN」などを提供。さらに同じVPN機能に加え、スキャンによってWi-Fi接続のセキュリティ上の問題などを検知する「Avast SecureMe」日本語版をiOS向けに今夏提供予定であるという。なお、Androidでは同じ機能を備える「Avast Mobile Security」日本語版が提供されている。また、Androidデバイス向けメモリクリーナーアプリ「Avast Cleanup (英語版名称GrimeFighter)」、バッテリ持続時間延長アプリ「Avast Battery Saver」の日本語版の提供も5月末より開始するという。

東京でのWi-Fiハッキング実験。実際に実験でも訪問先ドメイン、視聴された動画、電子メールなどの傍受に成功したという。
日本人の63%、米国人の79%が、安全なネットワークよりもパスワード不要の保護されていないネットワークを好むとしながらも、日本で端末保護を目的としたVPN使用者はわずか5%で、米国でも6%のみ

(佐藤 岳大)