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日本HP、ワークステーションのマーケティング戦略説明会を実施
~モバイルワークステーションやVR対応ディスプレイを展示
(2015/3/4 18:17)
日本ヒューレット・パッカード株式会社は4日、ワークステーション製品のマーケティング戦略に関する説明会を東京・江東区の日本HP本社で行なった。
日本展開前の新製品群について改めて紹介するとともに、ワークステーションクラスの製品に関する現在のマーケティング戦略について説明するもの。会場には1月に米国で開催していた2015 International CESにおいて同社のブースで初公開された「ZBook Mobile Workstation」やVR表示対応ディスプレイ「Zvr」などを展示していた。
展示製品の国内発売時期・価格は未定だが、日本市場に合ったものを投入する予定だという。具体的には「サイズ、重量、性能のバランスを見て決めたい」とのこと。製品について詳しくは、2015 International CES HPブースのレポート記事で参照されたい。
ワークステーションの核は「パフォーマンス」「革新性」「信頼性」
ワークステーションビジネスの製品戦略について、プリンティング&パーソナルシステムズグループ コマーシャル・ソリューションズビジネス ワールドワイド・プロダクトマネジメントディレクターのジョシュ・ピーターソン氏が説明。製品に関してはパフォーマンス、革新性、信頼性の3つの大原則を核としながらも、顧客との関係性を重視する姿勢を示した。
「イノベーションはエンジニアがどこかのラボで起こすものと考えがちだが、真のイノベーションとは、顧客の話にしっかり耳を傾け、ニーズや課題点を把握することによって生じるものと考えている。お客様からフィードバックを頂いた上で、常に必要とされる新しい機能や技術を提供することを何よりも大事にしている。もちろんその中で、品質や信頼性を犠牲にはしない」。
ワークステーションの技術トレンドとしては、分野を3つに分けて紹介。デスクトップではエントリークラスの需要が高まってきており、価格と性能のバランスが求められているという。性能面での変更点としては、CPUやグラフィックスの刷新、M.2ストレージの採用、ペン・タッチの導入などを挙げた。
モバイル分野では「ただ単に薄くて軽いというだけでは不十分」との認識を示した。従来とは違った形状・形態が求められるとともに、ワークステーションとして高い性能も必要な要素とする。薄型・軽量の「ZBook Mobile Workstation」がその一例。
ワークステーションの仮想化については、プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括パーソナルシステムズ事業本部 ソリューション製品本部長の小島順氏が国内市場の状況を補足した。「大手顧客からセキュリティ強化、ビッグデータを扱う際に必要とされる性能、ITの管理の煩雑さの解消を背景として、仮想化の引き合いは増加傾向。ワークステーション本体を直接操作するのではなく、リモートで操作したいという需要もある」。
なおHPでは2014年より米国で仮想化ワークステーション「DL380z Gen9」を展開中。NVIDIAのGRIDボードを搭載し、16ユーザーまでのグラフィックス仮想化に対応する。
プレゼンでは業務用途の液晶ディスプレイについても言及。同社がワークステーション向けに展開するディスプレイとしては湾曲型液晶、4Kおよび5K、VRをの3カテゴリを挙げた。日本では特に映像やアニメーション制作といったDCC(Digital Content Creation)分野で4Kおよび5Kの需要が伸びるとしている。
小島順氏は、日本におけるワークステーションビジネスについて解説した。
「日本市場におけるワークステーションは、ほとんどCADやCG制作用途に使われていると思われがち。確かにエンジニアリング分野の割合は市場の半分近くを占めているが、いわゆる組み込みやサーバーの代用として使われるケース(Other Commercial)も相当数存在する。DCCに関しては、市場全体から見れば8.8%と少なめの割合だが、HPとしてはもう少し多くて12%とメイン顧客の一端を担っている。日本HPとしては今後、エンジニアリングとDCCだけではなく、その他の分野も伸ばしていきたい」。