ニュース

ソニー、“音質にこだわった”microSDカード

〜技術面と品質管理からアプローチ

 ソニーは、“音質にこだわって設計した”というmicroSDカード「SR-64HXA」を3月5日に発売する。価格はオープンプライスで、税別店頭予想価格は18,500円前後の見込み。

 昨今ハイレゾ音源対応機器の増加に伴い設計されたという製品。容量は64GBで、速度はClass 10準拠となっている。

“microSDの音質”という新しいアプローチ

 一般的にmicroSDカードのスペックは「転送速度」や「容量」、そして「価格」に注目が集まっており、そこから再生される「音質」にこだわったものはない。SR-64HXAは業界で初めて音質に着目し、技術的な音質改善アプローチを行なった。

 具体的には、本来十分に高速なスペックを持つフラッシュメモリの制御パラメータについて、社内のサウンド事業部門の協力を得てチューニング。「オーディオに支障ない範囲」で必要以上に高速性を求めず、「信号を安定させる」ことに最大限に配慮して設定した。

 同社の測定によると、従来品と比較して、データ読み出し時に発生する電気的なノイズの低減に成功。これにより再生機器の部品や回路に悪影響を与えるノイズを減らし、最終的に音質向上に効果が認められたという。

 加えて一般的なmicroSDカードは、容量と速度が確保されれば部品や材料が変更される可能性はあるのだが、本製品に関しては部品と材料を厳選/管理し、音質を維持できるという。

 例えば将来的に部材や材料に変更が生じた場合でも、音質に影響を与えない範囲の変更に留める、また大きな変更が加わった場合、新製品としてリリースするなどを予定。つまり同一ロットでなくとも、同じ製品であれば同一の音質を実現できるとしている。

 本製品を使うことで、音源ファイルが本来持っている「スムーズな音の繋がり」、「澄んだ音場の広がり」、「1音1音の粒立ちの良さ」、「みずみずしさ」を再現できるとしている。なお、同社のウォークマンシリーズでの動作は確認しているが、他社のポータブルオーディオプレーヤーでも、回路設計によっては効果があるとしている。

試聴してみる

製品パッケージ

 事前に本製品とウォークマン「NW-ZX2」、および同社製ヘッドフォン「MDR-1A」、Etymotic Research製イヤフォン「ER-4S」との組み合わせで試聴する機会を得た。この時同社の一般的なUHS-I準拠microSDを挿したもう1台のNW-ZX2と比較した。筆者はAV WatchではなくPC Watchの人間なので、良い音を聴き比べるだけの耳は持っておらず、専門的な用語で説明することができない点はご容赦頂きたい。

 正直ピュアオーディオの世界は主観的であり、プラシーボ効果が大いに働くと筆者は思っているのだが、microSDから発せられるノイズが減っているだけでなく、高速性ばりに振ったパラメータではないためアクセス時の電源への影響が少なく、その電源の安定化が最終的に出力する音に影響する、などと技術的に説明されれば、確かにPC Watchの人間としても納得せざる得ない。

 ただmicroSDはカセットテープとは異なり、音声が逐次読み出されて再生されるわけではない。microSDから読み出されたデータは一旦CPUやDSPなどでデコード処理、場合によってはイコライザーで加工を行なわなければならないため、メインメモリ上にある程度蓄えられる。よってこのmicroSDが音質に与える影響は非常に限定的だと思われる。

 なお試聴にあたって、先述の通り、ソニーが用意していたMDR-1Aの方をまず試したのだが、NW-ZX2はAndroidベースのため、ボリューム調節がバーでしか表示されず、筆者が「心地良い」と思った音量に両機の設定を揃えても微妙に異なる可能性がある。そこでインピーダンスが高い手持ちのER-4Sを使い、ボリュームを最大まで上げて聴いた。

 と言った技術的な話を踏まえた上で聴いてみると、「うーん、大差はないけどあるかも知れないなぁ」と言ったところ。例えば普通のmicroSDだとボーカルのサ行が耳に刺さる印象がSR-64HXAだとちょっと柔らかくなったとか、ベースドラムが鳴るの手前で一瞬音が途切れる感じだったのがスムーズに繋がるようになったとか、ドラムがもっと低音まで伸びるようになったとか、そういった感じだ。

 一般的な64GBのmicroSDカードが4,000円前後であることを考えると、本製品は約5倍に相当する価格なわけで、プレミアム感によるプラシーボ効果は決して少なくない。しかし、筆者はプラシーボ効果を否定するつもりはないし、先の解説の通り、ソニーによる技術的な裏付けもされているため、ちゃんとした存在意義があると思う。音にこだわるユーザーにおすすめしたい。

 機会があれば、GPUの画質比較の時と同様、データの差異を可視化した上で検証してみたいところだ。

(劉 尭)